NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2009年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

1月13日特別号

上院エネルギー・天然資源委員会、次期エネルギー長官に指名されたSteven Chu博士の承認公聴会を開催

上院のエネルギー・天然資源委員会が1月13日、次期エネルギー省(DOE)長官に指名されているSteven Chu博士(注:1)の承認公聴会を開催した。同委員会委員長のJeff Bingaman上院議員(民主党、ニューメキシコ州)によると、Chu博士は民主党と共和党の双方から支持を受けていることから、今週後半にも委員会の承認が得られるであろうと語っている。

Steven Chu博士の上院エネルギー・天然資源委員会における発言の概要、および、主要な質疑応答は下記の通り:

Chu博士の発言

  • 気候変動は差し迫った問題である。現在の道を歩み続ければ、我が子または孫の時代には気候システムに破壊的な変化を引き起こす危険を冒すことになる。我々はまた、石油依存に端を発する経済および国家安全保障面での脅威にも直面している。昨年の石油・ガソリン価格の高騰は景気後退の一因となっただけでなく、全国各地の家計に大きな負担をかけている。現在、価格が低下しているとはいえ、米国経済が将来の価格変動に弱いことには変わりない。エネルギー自立に向けて一層の努力を払い、それによってエネルギー供給システムをより安定したものにしなければならない。
  • オバマ次期大統領は、こうした課題への対応には持続した行動が必要であることを認識しており、包括的かつ長期的で、野心的な計画を提案している。多くの点でオバマ次期大統領の計画は、上院エネルギー・天然資源委員会による近年の成果に立脚している:
    • 風力、ソーラー、地熱、その他再生可能エネルギー資源に対するコミットメントの拡大
    • 電化製品とビルディングの積極的な省エネ努力
    • 自動車およびトラックの燃費改善
    • プラグイン・ハイブリッド車の開発推進
    • 石炭火力発電所からの炭素排出を回収・貯留する技術に対する投資の拡大
    • 原子力発電および核廃棄物の長期的な管理・処分計画に対するコミットメントの持続
    • 国内における石油・天然ガスのレスポンシブルな開発
    • 新たなエネルギー技術研究開発に対する一層のコミットメント
    • 送配電システムの強化
    • 温室効果ガス排出を削減するcap-and-trade制度
  • オバマ計画のこうした要素は、統合して実施されれば、我が国をより良いエネルギー未来・環境未来への軌道に乗せ、雇用や産業を創出し、エネルギー技術分野での米国リーダーシップを回復し、将来の経済繁栄の為の基盤作りに役立つことになる。
  • DOEをこうした重大な努力におけるリーダーとすることが私の主要目標となるが、過去4年間のローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)所長としての成果に立脚して、この目標を達成する意向である。私はLBNLの一流科学者数名にエネルギー・気候問題に目を向け、DOE科学局のミッション志向型科学とエネルギー革新へ繋がる応用研究との間の溝を生めるようにと挑んだほか、産学との協力にも努力した。これらの努力は実を結んでいる。私はこのアプローチをDOE傘下の国立研究所ネットワーク全体に拡大適用したいと思っている。
  • DOEのミッションが非常に広範であることを認識している。このため、核不拡散問題、核兵器製造施設に50年以上も放置状態の廃棄物の浄化、送電網の近代化等、更なる優先事項が私の注意や関心を引くことになろう。
  • 21世紀における米国繁栄の鍵は、我が国の知的資本、特に科学技術分野での知的資本を育成・促進する能力にある。米国最大の物理科学支援機関として、DOEは現在および将来の科学者・エンジニア部隊の養成・開拓・雇用で重要な役割を果すものである。
  • DOEのミッションやプログラムは多岐にわたるが、長官としての私の努力は、マネジメントとプログラム実施の改善という目標にまとめられる。今後の課題に対応するためには、同省を更に能率的かつ効果的に運営する必要がある。従って、私の最初の優先事項は強力なリーダーシップとマネジメントチームを配置することである。
  • DOE長官に承認されるならば、DOEの数多くのミッションに対して明確かつ力強いリーダーシップを発揮することを約束する。持続可能で安定したエネルギー未来へ移行するという野心的かつ緊急なミッションに着手する上で、議会の委員会、特に同委員会との密接な協力関係を期待する。我々が直面している課題には、超党派の協力と持続的な努力が必要である。オバマ次期大統領もまさにこういう努力にコミットしている。私もDOE長官に承認された暁には、大統領と我が国のために最善を尽くす覚悟である。


主要な質疑応答

  1. クリーンコールに対する見解
    Chu:石炭は米国エネルギーミックスの重要な一要素であり、石炭を一次エネルギー源として放棄することがあってはならない。石炭利用を止められると考えている者もいるが、仮に米国がそうしたとしても、中国とインドがこれを止めることはない。石炭を可能な限りクリーンに使用する方法を見つけることは絶対に必要なことであり、炭素回収・隔離技術の開発に懸命に取り組む覚悟である。
  2. 原子力発電に関する見解
    Chu:米国総電力の5分の1、炭素を放出しないクリーンな電力の70%を提供する原子力発電は、エネルギーミックスの重要要素である。米国の現在の核燃料リサイクル戦略は理想的ではないものの、燃料リサイクルは核廃棄物処理に対する長期的解決策の一環であり、綿密に考察していく問題である。
  3. 海上石油・天然ガス開発に関する見解
    Chu:米国の石油・天然ガス埋蔵量には限界があり、エネルギー効率の改善こそが真に輸入石油への依存度を軽減できる要素である。しかしながら、海上石油・天然ガス開発のある程度、広範なエネルギー計画に含まれるべきである。
  4. 米国の送電網についての見解
    Chu:米国の総電網システムの刷新が絶対に必要であり、これが現在検討されている莫大な経済刺激策においても注目されるものと期待している。

Richard Burr上院議員(共和党、ノースカロライナ州)による、連邦政府にはもっと幅広い総電網立地の権限が必要であるかという質問に対しては、Chu博士は明言を避けた。(Associate Press, January 13, 2009; CongressNow, January 13, 2009; Statement of Steven Chu, January 13, 2009)



注釈:

1:Steven Chu博士は1997年にノーベル物理学賞を受領した科学者で、2004年よりDOE傘下にあるローレンス・バークレー国立研究所の所長


Top Page