NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2009年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

10月29日号

Todd Stern米国気候変動特使、オバマ大統領訪中時の米中二国間気候変動合意は期待していないと発言

Todd Stern米国気候変動特使は月、11月15日〜18日に予定されているオバマ大統領の中国訪問が米中間の二ヶ国気候変動合意に結びつくことはありそうにないと語った。同氏によると、むしろ、オバマ大統領と胡錦濤中国国家主席は、コペンハーゲン会議での合意に向けて協力していくことになるであろうという。

米国と中国は、(i)強制的排出削減に両国がどこまでコミットすべきか;(ii)気候変動と戦う貧困国に富裕国はどれほどの財政支援を行うべきかという問題で何年もの間こう着状態に陥っていたが、両国は来月のオバマ大統領訪中を、12月のコペンハーゲン会議に向けて両国の共通点を見出して可能な限りの協力関係を構築する良い機会であると見ている。Stern特使によると、オバマ大統領訪中では、米国と中国はクリーンエネルギー及びテクノロジーでの協力に関する協議を、民間部門も巻き込んで継続する予定であるという。

世界最大の温室効果ガス排出国である米国と中国の合意は、世界規模での気候変動対策の成功を握る鍵であると見なされているが、11月のオバマ大統領による中国訪問はコペンハーゲンでの国連サミットに先立って両首脳が一対一の会談を行う最後のチャンスとなる。(New York Times, October 28, 2009; Wall Street Journal, October 29, 2009)

 


米航空宇宙局(NASA)の考える次の大きな一歩は何か

数十年にわたって活躍してきたスペースシャトルが2010年末で引退することに伴い、米航空宇宙局(NASA)は岐路に直面している。

ブッシュ前政権は2004年に、火星への有人飛行を念頭に置いて宇宙飛行士を月に長期滞在させるという極めて野心的な「宇宙探査ビジョン(Vision for Space Exploration)」という計画を提案したが、オバマが大統領就任直後に指名した10名構成の大統領諮問委員会(委員長はNorman Augustine氏)は有人宇宙飛行計画案を疑問視し、現行の予算レベルと研究速度では2020年までに月面着陸することは不可能であると宣言するに至っている。但し、Augustine委員会はブッシュ前政権のビジョンを全く捨て去ったわけではなく、様々な興味深い目的地に宇宙飛行士を送り届ける大型ロケットの建造に焦点をあてたフレキシブル・パス(Flexible Path)を提言している。これは、地球接近小惑星とのランデブーや月周回、宇宙望遠鏡の修理や火星接近飛行等を念頭においたプランであるが、NASAのMichael Griffin前局長は、実際には偉大な宇宙計画がないにも拘わらず、優れた宇宙計画を持っていると主張できるような何かを安上がりに実施することを考えているにすぎないと、同プランを酷評している。

NASAは先頃、スペースシャトルの後継となる「アレスI−X(Ares I-X)」の試験機を公表した。世界最長327フィートというロケットに、NASAは有人宇宙飛行機としての望みを託しているが、2015年という有人飛行打上げ目標の達成は疑わしく、2017年または2018年が現実的であると見られている。「アレスI-X」の試験機の打上げ(注:1)は10月27日に予定されていたが、悪天候の為に打上げが延期となった。

Augustine委員会は、将来の宇宙飛行イノベーションの原動力は商業部門にあるとして、アレス計画の廃止を提言し、米国は商業ロケット計画に50億ドルを投資することで2016年までに有人宇宙飛行が可能になると指摘している。老朽化するスペースシャトルのもたらす危険を考慮すると、スペースシャトル計画の廃止時期延期が選択肢となることはありえない。こうした中、NASAは商業有人宇宙輸送(commercial passenger space transportation)のコントラクト調査で11月に5,000万ドルのグラントを授与する見通しであるという。(Washington Post, October 27, 2009; Reuters, October 22, 2009; New York Times, October 28, 2009)

 


注釈:

1:「アレスI-X」試験機は10月28日午前11時に、ケネディ宇宙センターからの打上げに成功。発射2分後のモジュール切り離しにも成功した。


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