NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2009年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

12月17日号

Biden副大統領、製造部門の活性化とクリーンエネルギー雇用創出を狙ったイニシアティブを発表

Joe Biden副大統領は12月16日、落ち込んでいる米国製造部門の活性化とクリーンエネルギー雇用創出を目的とする新イニシアティブを発表した。新イニシアティブの柱は、風力タービンやソーラーパネルおよび電気自動車といったクリーンエネルギー製品の製造工場に対する50億ドルの税額控除で、2009年アメリカの経済回復・再投資法(ARRA)の定める23億ドルというクリーンエネルギー製造業者向け税額控除に追加されることになる。

Biden副大統領によると、税額控除を50億ドル引き上げることで、製造業者から新たに150億ドルの資金注入を駆り立てる可能性があり、これが数万の建設・製造部門雇用につながる可能性があるという。

Biden副大統領を委員長とするホワイトハウス中産階級タスクフォース(White House Middle Class Task Force)が16日に公開した『米国製造業活性化フレームワーク(Framework for Revitalizing American Manufacturing)』には、税額控除の他に、大学・職業訓練プログラムをより手頃にするイニシアティブや、輸出促進や研究開発予算増額といったイニシアティブも含まれている。同報告書に示されたオバマ政権の政策とイニシアティブの概要は下記の通り:

製造業を支援するオバマ政権の政策およびイニシアティブ

  1. 生産性の高い労働者に必要な技能を取得する機会を労働者に提供する。
    • 高等教育及びトレーニング
      • 卒業率を引上げ、雇用主ニーズを満足させるために、コミュニティカレッジ支援を大幅に拡大する米国卒業イニシアティブ(American Graduation Initiative)に着手
      • 質の高い職業訓練への投資
      • アントレプレナールに訓練と指導(training and mentoring)を提供
      • 失業者のための教育・訓練支援を拡充
      • 大学教育を手頃なものにするため、大学教育税額控除であるAmerican Opportunity Tax Creditを恒久化 …オバマ政権はPellグラントと大学教育税額控除に10年間で2,000億ドルを求めている。
      • 大学の入学・卒業、特に、恵まれない生い立ちの人々に重点をあてる大学入学・卒業基金(College Access and Completion Fund)を新設
    • 幼児教育及びK-12教育
      • 米国の理数科教育を改善
      • K-12学校の強化
      • 質の高い早期教育を拡大 …ARRAで、Head StartやEarly Head Start等の幼児教育に50億ドルを投資するほか、州政府に乳児から5歳児までの教育水準向上をチャレンジするEarly Learning Challenge基金(100億ドル)を立ち上げ。
  2. 新しい技術やビジネス慣行の創造に投資する。
    • 基礎研究と最先端技術
      • 主要な政府科学省庁(全米科学財団、エネルギー省科学局、国立標準規格技術研究所のプログラム)の研究開発(R&D)予算の倍増
      • 国家科学技術会議(National Science and Technology Council)による、連邦各省庁の製造技術関連R&D調整戦略の策定
      • イノベーションや技術的ブレークスルーを促進する新たなオプションの検討
      • 研究開発投資税額控除(Research and Experimentation tax credit)の恒久化
      • 商務省の技術イノベーション計画(Technology Innovation Program =TIP)拡大(注:1)による、製造分野イノベーションの促進
      • イノベーションや増産を支援する構造改革の追求
      • 知的所有権の保護
    • 技術と最善慣行の普及
      • 製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership =MEP)の倍増(注:2)
      • 政府サービスの企業への配信の合理化と増進
      • 商務省に、イノベーション・アントレプルナールシップ部とイノベーションに関する国家評議会を設置
  3. 企業投資のために安定した効率的な資本市場を構築する。
    • 新規企業に資本へのアクセスを提供
    • 輸出業者に対する資本アクセスの保証
    • 企業や投資家や消費者が安定した資本市場へのアクセスを持てるような金融規制制度の構築
    • 生産税額控除(Production Tax Credit)に代わるキャッシュグラント(cash grant)(注:3)提供;エネルギー省のローン保証;先進エネルギー製造税額控除;先進自動車製造ローン、等のクリーンエネルギー装置製造業者支援プログラム
  4. コミュニティや労働者の、より良い未来への移行を支援する。
    • 工場閉鎖の通達期間を現在の60日から90日に延長し、企業・連邦政府・州政府・地方政府による工場閉鎖に代わる代替案検討を奨励
    • 地域別イノベーションクラスターの促進により、競争力あるコミュニティ 創りを助長
    • 雇用調整援助(Trade Adjustment Assistance)の拡張
    • 自動車メーカー・労働者を対象とする支援
  5. 先進交通インフラストラクチャーに投資する。
    • 国内の道路・橋・公共交通機関への投資
    • インフラ整備プロジェクトに資金提供を行う国家インフラストラクチャー銀行(National Infrastructure Bank)設置を引き続き支持
    • 運輸部門の電化のために、バッテリーや電気駆動装置の部品製造工場を支援
    • クリーン都市インフラ整備への投資
    • 送電網の近代化
    • 高速鉄道建設という交通ビジョンの実現
    • 次世代航空管制の構築
    • ブロードバンドへのアクセス拡大
    • 次世代情報通信技術の研究支援
  6. 市場アクセスおよび均等な機会(level playing field)を保証する。
    • 海外市場の開放
    • 通商協定の執行
    • 輸出促進
    • 輸出企業への融資の促進
    • 新興成長市場や途上国における米国小企業の投資を助長
    • 輸出管理規則の見直し
  7. ビジネス環境、特に製造業のビジネス環境を改善する。
    • 米国経済の活性化
    • ヘルスケア改革により、ヘルスケア・コスト増加を減速
    • 海外投資への減税率を引き下げ、国内で雇用を創出する企業に税額控除を提供
    • 財政赤字の半減による、資本の開放と貿易赤字の削減
    • 米国のクリーンエネルギー部門をジャンプスタートさせる包括的エネルギー・気候法案の可決

(Atlanta Journal Constitution, December 16、2009; A Framework for Revitalizing American Manufacturing, December 16, 2009)

 


注釈:

1:TIP予算は、2009年度の6,000万ドルから2015年度には1億ドルに増額される予定。 

2:オバマ大統領の2010年度予算では、MEP予算を2008年度の9,000万ドルから2015年度には1.8億ドルに倍増することを提案。

3:ARRAは再生可能エネルギー発電プロジェクトにPTCの代わりに30%のキャッシュグラントを提供。支援プロジェクトは既に1 GW相当。


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