NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2009年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

4月15日号
 

Van Hollen下院議員、Cap and Dividend Act of 2009を提案

Chris Van Hollen下院議員(民主党、メリーランド州)が4月1日、炭素排出量に上限を課し、排出権全てをオークションし、オークション収益を社会保障番号(Social Security Number =SSN)を持つ全ての米国民及び永住者に一律リベート方式で返還するという内容の「Cap and Dividend Act of 2009 (下院第1862号議案)」を提出した。

Van Hollen下院議員の下院第1862号議案は、Henry Waxman上院議員(民主党、カリフォルニア州)とEdward Markey下院議員(民主党、マサチューセッツ州)によって3月31日に公表された「2009年米国クリーンエネルギーおよびエネルギー保障法案(American Clean Energy and Security Act of 2009)」(注:1) の草案で取り上げていない、温室効果ガス削減コストを誰が負担するのかという一点に絞った法案であるため、ある時点において、Van Hollen法案とWaxman-Markey法案が一つに合体される可能性もあると見られている。Van Hollen法案は、Cap and Dividend計画の規定;消費者への配当(Consumer Dividends);国境調整(Border Adjustments)の三部構成となっている。

第1章 Cap and Dividend計画の規定

炭素排出権 

  • 下記の排出削減目標達成のため、財務長官は環境保護庁(EPA)長官と協議して、2012年以降の毎年の炭素排出権を設定する。

    2012 ........................2005年水準

    2020 ........................2005年水準の25%減

    2030 ........................2005年水準の45%減

    2040 ........................2005年水準の65%減

    2050 ........................2005年水準の85%減

    財務長官がEPA長官との協議後に、気候への壊滅的な影響を回避するために排出削減目標を改正すべきであると判断した際、財務長官は排出削減目標の改正提案とその根拠を議会に報告する。

  • 財務長官は、各炭素排出権に独特の識別番号を割り当てる。
  • 財務長官は、同章の制定24ヶ月以内に、この条項を遂行する規制を公布する。

オークション

  • 財務長官は毎年最低4回、排出権のオークションを実施する。
  • オークション参加者を、該当事業体(石油、天然ガス、石炭、可燃燃料に使用されるその他製品を一番最初に米国市場で販売するアップストリーム業者)のオーナーのみに限定する。
  • 一事業体のオーナーが1回のオークションで購入できる炭素排出権の数、及び、一事業体のオーナーが一度に所有できる排出権総数に制限を設ける。
  • オークションにおける炭素排出権最低価格を設定する権限を財務長官に付与する。

遵守義務

  • 該当事業体のオーナーは2013年4月1日まで、それ以降は毎年4月1日までに、財務長官とEPA長官によって確定された前年のCO2排出量をカバーするだけの炭素排出権を財務長官に引き渡す。
  • 但し、該当燃料(石油、天然ガス、石炭、可燃燃料に使用されるその他製品)の用途が財務長官およびEPA長官により炭素を放出しないと立証される燃料販売については、炭素排出権を引き渡す(提出する)必要はない。

未遵守に対する罰則

  • 該当事業体のオーナーは、上記期限までに炭素排出権の必要数を財務長官に引き渡すことが出来なかった場合、排出権不足数x提出年の炭素排出権時価x3を罰金として支払う義務を負う。

炭素の回収・隔離

  • 財務長官は、EPA長官との協議で、該当燃料の燃焼で放出される二酸化炭素(CO2)を安全かつ検証可能な形で回収・隔離したと事業者に、CO2の回収・隔離量に相当する排出権を交付する。

トレーディング

  • 炭素排出権の合法な所有者は、該当事業体のオーナーと炭素排出権の販売、交換、譲渡を行うこと、または、財務長官に炭素排出権の償却(retirement)を要請することが出来る。
  • 炭素排出権の移譲は、財務長官が正式な譲渡証明書を受領して初めて有効となる。
  • 財務長官が同章の制定24ヶ月以内に交付する規制には、炭素排出権の発行・記載・所有・追跡システムを盛り込むものとする。

バンキングとボローイング

  • 炭素排出権は、発行年(vintage year)または発行年の翌年に、遵守義務まっとうのために使用できる。
  • 炭素排出権は、合法な所有者が財務長官に償却を要請した場合、または、財務長官が炭素排出権や排出権ス遺跡システムの真正性と完全性(integrity)を保証するために満期終了とすることが必要であると判断した場合を除き、失効することはない。
  • 炭素排出量のオークション価格が、過去2年間の平均価格の2倍以上まで高騰した場合、財務長官はオークション価格の安定に必要な排出権を将来発行の排出権からボローイングして、オークションするものとする。但し、ボローイングする排出権の数は、元々オークションにかけられる排出権の8%を超えない。ボローイングされた排出権は、2030年から2050年に発行される炭素排出権の総数から削減される。

 

第2章 消費者への配当

健全な気候信託基金(Healthy Climate Trust Fund)

  • 財務省内に、健全な気候信託基金を創設する。
  • オークションの収益、及び罰金を健全な気候信託基金に充当する。
  • 同信託基金から、同章の条項実行に必要な管理費を毎月支払うこととするが、同信託基金に充当された金額の0.5%を超えないものとする。それ以外の残高は消費者への配当として支払いを行うものとする。

消費者への配当支払

  • 該当者は、財務長官と他の連邦機関との協議で決定・確認した、SSNを持つ米国民及び永住者で、米国に合法的に居る全ての個人。該当者への配当支払額は、同信託基金の配当可能金額を、財務長官が決定した比例で分配した額とする。
  • 財務長官は、同信託基金にオークション収益が充当された翌月末までに、消費者への配当支払を行う。
  • 財務長官は、同章実行に必要または適切な規制及びその他指針を定める。

透明性(Transparency)

  • 財務長官は2013年2月1日まで、それ以降は最低でも年1回、前年の同信託基金の運用を説明する報告書を議会に提出する。
  • 同章の制定90日以内に財務長官は、健全な気候信託基金運用に関する情報を市民に提供するウェブサイトを開設し、その維持管理を行う。

 

第3章 国境調整

炭素換算税(Carbon Equivalency Fee)

  • 財務長官は炭素集約型製品(carbon-intensive goods)の輸入に対して、米国内の同等製品製造業者のコストに匹敵する炭素換算税を課し、米国関税・国境警備コミッショナーがこれを徴収することとする。
  • 財務長官は、米国産の炭素集約型製品を米国から輸出する業者に対して、米国の炭素集約型製品製造業者が炭素排出権購入で支払ったコスト、および、製造材料の炭素集約型製品を輸入した業者が支払った炭素換算税のコストを、利息なしで払い戻すこととする。
  • 同条項は、温室効果ガス(GHG)排出諸国及び炭素集約型製品輸出国に同等の施策を義務付ける国際協定が発効した時点、または、輸出国が米国と同等の施策を実施していると財務長官と国務長官が判定した時点で、失効する。

議会見解(Sense of Congress)

  • 主要なGHG排出国と世界的競争力を持つ炭素集約型製品製造諸国の全てに公正なGHG排出削減を拘束力のある協定を確立するため、米国は国連気候変動枠組み条約(UNFCC)の指揮の下で積極的に取り組むべきであるというのが、議会見解である。

(Huffingtonpost.com, April 8, 2009Cap and Dividend Act of 2009, April 1, 2009)

 


注釈:

1:Waxman下院エネルギー・商業委員会委員長は、 復活祭休暇あけの4月20日の週にエネルギー・環境小委員会で公聴会を開催、4月27日の週には小委員会で同法案のマークアップに着手し、5月11日の週には下院エネルギー・商業委員会においてマークアップを開始する予定。尚、同法案の概要は、2009年4月1月付けデイリーレポート特別号を参照されたし。 

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