NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2009年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

4月27日号

主要経済国フォーラムにおけるHillary Clinton国務長官のスピーチ

エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(Major Economies Forum on Energy and Climate)が4月27〜28日の二日間にわたって首都ワシントンで開催されている。今回のフォーラムにはオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、欧州連合、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、韓国、メキシコ、ロシア、南アフリカ、英国の各代表と国連代表に加え、今年12月のCOP15の開催国であるデンマークからも代表が参加している。第一日目である4月27日のHillary Clinton国務長官のスピーチの概要は下記の通り:

  • 世界中に多数の課題がある中で、ここに各国が集まったということは、気候変動が生活や生計を脅かすということを我々が承知しているからである。砂漠化や海面上昇は、食料や水や資源に対する競争を激化させる。また、これらが社会や政府の安定を覆すという脅威は激増し、紛争や騒乱や強制移住を引き起こすことにもなる。我々が今日直面している問題の中で、広範で長期的な影響を及ぼして次世代の世界を変えてしまう可能性がこれ以上に強いものはない。
  • 私はここで次の4つの主要ポイントを明確に示したい。
    1. 数週間前に南極諮問グループ会議で語ったことであるが、サイエンスは明瞭であって、そこから生まれるロジックは避けがたい。サイエンスは決定的である。[地球温暖化の]証拠と影響は年々その度合いを増し、現地の事実(facts)は僅か数年前に策定された最悪シナリオのモデルを超えている。氷床は縮小し、海面は上昇している。海水の酸性度が強まり、珊瑚やその他の海洋生物を脅かしている。緊急になすべきことは明らかである。
    2. 米国は国内外で同問題にフルに専心し、リード役を務める準備が出来ており、これまでのロスタイムを埋め合わせる覚悟である。米国はもはや無断欠席などしない。気候変動特使のTodd Sternがよく言うように、米国はゲームに復帰したのだ。今回のフォーラムの目的は、解決のための努力から注意をそらすことではなく、解決策構築を支援することである。米国は今、迅速に行動している。4月17日、過去の政策からはっきりと決別し、環境保護庁(EPA)は二酸化炭素他の温室効果ガス(GHG)排出が国民の保健福祉を脅かすという調査結果を発表した。また、オバマ大統領は2050年までにGHG排出を2005年水準から80%削減するという国家目標を盛り込んだ市場ベースのcap-and-tradeプログラムを提案している。数ヶ月前に成立した経済刺激策と合わせ、現政権は、クリーンエネルギー技術と省エネに大幅な直接投資を行うことを強調している。経済危機を行動遅延の口実とする人々がいるが、我々はその反対で、低炭素の未来に向けた動きをオポチュニティと見なしており、大統領の800億ドルの経済刺激策には、クリーンエネルギー開発への予算やローン保証、向こう3年間で国家の再生可能エネルギー共有を倍増するという目的等が含まれている。また、住宅やビルディングのエネルギー効率改善プラグラムにも真剣に取り組んでいる。ここに参加する諸国の中には米国の遥か先を行く諸国もあるが、住宅・ビルのエネルギー効率改善は、世界の全諸国が現在の経済危機の中でも行える施策であると考えている。加えて、米国は国連枠組み条約の交渉に再参加している。
    3. ここに集まった主要経済諸国は、世界のGHG排出の大半の原因となっている。米国はコペンハーゲンで今年末に開催される国連気候交渉の成功に向け、辛抱強く取り組む意向である。しかしながら、排出量を安全なレベルまで削減することに事実上影響しない協定であるならば、交渉しても意味がない。我々が望む結果に到達するため、我々は独創的である必要があり、何をするべきかを真剣に考える必要がある。私は、このフォーラムが創造的な対話を推進すると信じている。ここに集まった諸国の中には、米国のように過去の排出に責任がある国もあれば、現在の急増する排出に責任がある国もある。我々は中国やインドの成長を希望するし、生活水準の向上を希望している。我々は単に、我々が犯した間違いを回避する方法で[中国やインドと]協力をしていくことを望んでいるのである。
    4. 本日の参加全諸国は、プロセスを前進させる有意義な提案の策定で協力をしなければならない。このメカニズムを通じて、主要経済国のリーダーが今年7月のイタリアにおける会合で検討できる具体的なイニシアティブを策定することを期待している。この危機の解決にはブレークスルーが必要であるが、それらは援助なしで独自に実現するものではない。このために、創造的な外交術や真の協力が求められるのである。私は、トランスフォーメーショナルな技術変化と、それらの市場創出、新技術を市場化するための補助、短期間でこの変化を達成するインセンティブや義務要件の組み合わせ等を考慮すべきであると考えている。

Clinton国務長官のスピーチはhttp://www.state.gov/secretary/rm/2009a/04/122240.htmで入手可能。

(Secretary Hillary Clinton's Remarks at the Major Economies Forum on Energy and Climate, April 27, 2009)


FERCのJon Wellinghoff委員長、米国では原子力や石炭の新発電所建設は不要と発言

連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission =FERC)のJon Wellinghoff委員長は4月22日、風力、ソーラー、バイオマス等の再生可能エネルギーでベースロードおよび将来のエネルギー需要を満たすに十分なエネルギーを提供できるため、米国では原子力発電所や石炭火力発電所を新設する必要はないかもしれないと発言して、波紋を呼んでいる。

米国エネルギー協会のフォーラムに出席したWellinghoff委員長は、ベースロード・キャパシティは本来、経済配分(economic dispatch)において最も安く行えることを一番最初に進めることを意味するために使われた言葉であると指摘し、原子力発電所や石炭火力発電所のコストが非常に高く、結局のところ風力が最も安いことを考えると、ベースロード・キャパシティという言葉は時代遅れになりつつあると説明した。また、原子力発電所建設コストはキロワットあたり7,000ドルと、太陽光発電建設よりも高額であるため、人々が原子力発電所の建設を真剣に語っているとは思えないと付け加えた。

Wellinghoff委員長は、米国中西部からテキサス州にかけては開発可能な風力が500〜700ギガワット、モンタナ州とワイオミング州にも200〜300ギガワットあるほか、南西部には多大なソーラー資源があることを掲げ、米国はエネルギー需要を満たすに十分な再生可能エネルギーを有しているのであって、我々がなすべきことは単にこれらを使い始めることであると述べた。また、風力の不安定な発電が問題であるというけれども、風が全地域で同時に止まるわけではないため、幅広く相互連結をすれば、一部地域では止まっていても他では動いているわけで、この問題は克服されると説明した。

この発言が、オバマ政権のエネルギー政策を反映するとなると、原子力は温室効果ガスを放出しないクリーンな発電ということで、この復興を期待している米国原子力産業にとっては大きな打撃となる。Wellinghoff委員長は再生可能エネルギー・省エネ・需要削減プログラムの推進派で名を知られてはいるものの、一部の業界幹部は、Wellinghoff委員長が個人的な見解を述べただけであるのか、それとも、オバマ政権の見解を示唆するものであるのかを沈思している。Wellinghoff発言へのコメント要請に対して、ホワイトハウスからは未だに応答がない。(ClimateWire, April 22, 2009; ClimateWire, April 23, 2009)


下院科学技術委員会、国際科学工学技術委員会を復活される法案を審議・採決予定

Brian Baird下院議員(民主党、ワシントン州)が2009年3月26日に提出した『2009年国際科学技術協力法案(International Science and Technology Cooperation Act of 2009:下院第1736号議案)』は、3月31日に下院科学技術委員会の研究・科学教育小委員会で発声投票で可決されたが、4月29日には下院科学技術委員会の審議・採決にかけられる予定となっている。

同法案は、クリントン元大統領の時代に創設されながらブッシュ前大統領の際に解散となった、国際科学工学技術委員会(Committee on International Science, Engineering and Technology =CISET)を復活させる内容となっている。下院第1736号議案の概要は下記の通り:

  • 科学技術政策局(OSTP)局長は、国内科学技術事業の強化および米国外交政策の支援に役立つ国際科学技術協力を確認・調整する委員会を、国家科学技術会議(National Science and Technology Council = NSTC)の下に創設する。
  • 新設される委員会は、(1)省庁間の国際科学技術共同研究訓練活動や連邦省庁が支援または管理するパートナーシップを企画・調整し;(2)必要に応じて、前述の国際科学技術共同研究訓練活動やパートナーシップを米国の外交政策目標に同調させる連邦政府政策や優先事項を設定し;(3)科学技術と米国外交政策優先事項の双方を前進させる新たな国際科学技術共同研究訓練パートナーシップの機会を確認し;(4)他国のカウンターパートと協力して、前述(3)で特定された国際科学技術共同研究訓練パートナーシップを創設し;(5)米国連邦政府が年間50万ドル以上を投資する、機密扱いされていない国際科学技術共同研究訓練活動およびパートナーシップ全ての目録を作成し、定期的に更新し、維持する。
  • OSTP局長は毎年、大統領予算要求案発表時に、前述(2)で設定した政策や優先事項を説明する報告書を議会に提出する。
  • OSTP局長は同法令制定の1年後、それ以降は最低でも5年に一度、上記(5)で定める目録を発表する。

(Text of H.R. 1736)

 


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