NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2011年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

6月23日号

ジョージア工科大学を中心とする研究チーム、石炭火力発電所の効率を上げる自浄化(Self-cleaning)燃料電池を開発

エネルギー省(DOE)科学局の基礎エネルギー科学部からグラントを受けた、ジョージア工科大学を中心とする研究チーム(注:1)が固体電解質型燃料電池(SOFC)用に、酸化バリウムを使った自浄化技術を開発した。

SOFCは多様な燃料で作動可能であり、独立した改質装置を使わずとも炭化水素燃料を直接利用できるエネルギー変換装置であるが、ニッケルとイットリア安定化ジルコニア(yttria-stabilized zirconia)で作られているアノードは炭素付着(コーキング)によって不活性化するという問題がある。SOFCは摂氏850以上で最も効率的に作動し、炭素の付着量も高温になるほど減少する。一方、高価な耐熱性材料から燃料電池を加工しなければならないため、これがSOFCのコスト効率を下げ、普及の障壁となっていた。

この問題への対応策として同研究チームは、蒸着処理(vapor deposition process)を使ってNi-YSZ電極に酸化バリウムナノ粒子(粒子の大きさは10〜100ナノメーター)を塗布し、電極表面にナノ粒子の「アイランド」を形成させる技術を開発した。石炭ガス流に導入される水蒸気がアノード表面の酸化バリウムに接してプロトンと水酸化物イオンに解離され、解離した水酸化物イオンがニッケルに付着した炭素原子と結合して、中等量炭水化物(intermediate CHO)を形成する。この中等量炭水化物が一酸化炭素と水素に解離し、解離した水素が酸化反応を起こして燃料電池を作動するという仕組みで、最終的に発生するのは二酸化炭素と水であり、二酸化炭素は約半分が石炭のガス化に再循環されるという。

同研究チームによると、在来型石炭火力発電所の熱効率は約30%で、燃料電池は約50%であるが、ガスタービンと燃料電池を併用するハイブリッドシステムであれば最高80%の熱効率が可能であり、一定量の石炭からの発電量が激増すると同時に、温室効果ガス(GHG)排出が減少するという。また、酸化バリウム構造は既存アノード加工工程の一環として形成できるために付加的な製造ステップが不要であるほか、作動温度の低下で相互接続その他の重要部品に現在よりも安価な材料を使用出来るというコスト面での利点もある。

同研究チームの水媒介炭素除去技術(water-mediated carbon removal technique)の研究は、2011年6月21日付けのNature Communications誌で発表された。

(Greenwire, June 21, 2011; Georgia Institute of Technology News Release, June 21, 2011)

 

分散型ソーラーのコンソーシアム、エネルギー省から14億ドルの条件付ローン保証を獲得

ProLogis社、Bank of America、Merrill Lynch及びNRG Energyから成るコンソーシアムが、米国最大の分散型ルーフトップ太陽光発電プロジェクトに対する14億ドルの条件付ローン保証をエネルギー省(DOE)から獲得した。

同プロジェクトは、733メガワットの太陽光発電 …石炭火力発電所1基分に相当し、2010年に米国に設置された太陽光発電総設備容量にほぼ等しい規模… を米国電力網に連系することを目標とするもので、約10万戸の家庭にクリーンな再生可能エネルギーを提供するほか、全米28州で10万以上の雇用を創出することになるという。プロジェクトが進めば、全米各地の工業ビルに設置された太陽光パネルで発電された電力は、長期売電契約に基づいて地方の電力会社に売られる予定である。

(ClimateWire, June 23, 2011)

 

 


注釈:

1:ジョージア工科大学の研究者の他、ブルックへイブン国立研究所、ニュージャージー工科大学、及びオークリッジ国立研究所の研究者が参加。

 


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