NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2011年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

7月29日号

米国下院、2012年度エネルギー・水資源開発および関連省庁歳出法案を可決

米国下院が7月15日に、総額306億ドル(注:1)の「2012年度エネルギー・水資源開発および関連省庁歳出法案」を219対196で可決した。同歳出法案に盛り込まれたエネルギー省(DOE)予算は、2011年度予算を8.5億ドル、2012年大統領予算要求額を59.4億ドル下回る、247億ドルとなっている。DOE予算の内、エネルギー効率化・再生可能エネルギー、配電およびエネルギー信頼性、および、化石エネルギー研究開発に計上された予算の主な内訳は下記の通り。

1. エネルギー効率化・再生可能エネルギー(EERE)の予算は、2011年度予算を4.91億ドル、2012年度要求を18.95億ドル下回る13億460万ドル。この内、EERE研究開発・実証・導入プログラムには12億6,300万ドルが充てられるが、これは2011年度予算比で3.31億ドル減、2012年度要求額比で15.7億ドル減となる。

表1 EERE研究開発・実証・導入の主な予算内訳

  • バイオマス・バイオマス精製R&D … DOEはセルロース系バイオ燃料の逆オークション・プログラムの予算を1億5,000万ドル要求しているが、下院は、同プログラムが既に完成、又は、十分な資本を持つバイオ精製施設に生産補助を提供するものであり、非効率的で財政的に持続不可能であると判断。よって、セルロース系バイオ燃料の逆オークション・プログラムへの予算計上は行わないとしている。
  • ソーラーエネルギー … DOEの既存研究所には新形態の集光型太陽熱発電を実施する十分な設備があり、DOEには大規模な集光型太陽発電その他の実証プロジェクトに資金提供する能力があるという判断から、ソーラー実証地帯(Solar Demonstration Zone)プロジェクトへの予算はゼロ。
  • 風力エネルギー … DOEがこれまであまり力を入れてこなかったオフショア(洋上)風力発電R&Dへの予算増額の要求を支持し、特に、深海用風力発電技術に焦点をあてるよう求めている。
  • 自動車技術 … DOEは自動車技術普及の予算として2億2,900万ドルを要求。内、2億ドルが電気自動車導入を目的とする州・地方政府グラントで、この75%を充電スタンド用に要求している。下院は、充電スタンドの大半は最終的には自治体や民間部門、及び顧客が投資すべきであるとして、自動車技術普及の予算を2,650万ドルに引き下げ、充電スタンドの予算はゼロ計上としている。DOEは中・大型トラックの燃費向上に焦点をあてるSuperTruckプログラムグラントの終了または実施延期を要求しているが、輸送用燃料の約5分の1を消費する中・大型トラックの燃費向上は米国の輸入原油依存度を軽減すると共に、陸上輸送コストを低減する可能性があるとして、下院はDOEにSuperTruckプログラムのアワードを履行することを求めている。また、軽量素材技術には2012年度要求を200万ドル上回る2,820万ドルを計上している。
  • ビルディング技術 … 省エネビルディング・システム設計のエネルギー革新拠点(Energy Efficient Building Systems Design Energy Innovation Hub)の3年目予算として2,430万ドル(要求額とほぼ同額)、固体照明(solid-state lighting)技術の推進を目的とする照明研究開発に要求額と同額の2,580万ドルを計上。「Race to Green」グラントプログラム(注:2)への予算は計上されていない。
  • 産業技術 … 下院は、次世代材料(注:3)の初年度予算を要求額比6,680万ドル減の3,400万ドルに引下げるものの、クリーンエネルギー技術におけるレアアースの重要性を認識しているため、重要原料のエネルギー革新拠点(Energy innovation Hub for Critical Materials)には要求額である2,000万ドルを計上している。一方で、次世代製造プロセスの予算は要求額より8,480万ドル少ない4,420万ドルの計上となる。


2. 配電およびエネルギー信頼性(OE)の予算は、2011年度予算を150万ドル、2012年度大統領要求を9,820万ドル下回る1億3,950万ドル。この内、1億380万ドル(注:4)が配電およびエネルギー信頼性R&Dへの計上となる。

表2 配電およびエネルギー信頼性R&Dの予算内訳

  • クリーンエネルギーの送電・信頼性 … DOEが新設を提案するスマートグリッド技術・システムのエネルギー革新拠点(Smart Grid Technology and Systems Energy Innovation Hub)への予算は計上なし。下院は、送電系統モデリング先進研究(Advanced Modeling Grid Research)に関して、ARPA-Eが提案する電力施設基盤整備研究との重複を懸念し、同歳出予算法案成立後180日以内にOEとARPA-Eにおける送電系統モデリング関連活動を概説する報告書を提出するようDOEに求めている。


3. 化石エネルギーR&Dは、2011年予算を3,250万ドル、2012年度大統領要求を2,400万ドル上回る4億7,700万ドル。オバマ政権の予算要求は化石エネルギーR&Dの重点を炭素回収貯留(CCS)に移す努力を反映しているが、下院は、このアプローチによって、米国天然資源を有効利用する機会、発電コストを低く抑えることによって米国経済力を確保する機会、米国内に化石燃料産業の雇用を保持する機会が無視されるのではないかと懸念している。このため、効率的でよりクリーンな発電用燃料としての大きなポテンシャルを見せ始めた先進化石エネルギー材料の研究活動に再び焦点を合わせ、必要予算を投入するようDOEに求めている。

表3 化石エネルギーR&Dの主な予算内訳

(House Committee Report 112-118; Energy and Water Development and Related Agencies Appropriations Bill FY2012, July 19, 2011)

 


注釈:

1: 2011年度予算を10億ドル、2012年度大統領要求を59億ドル下回る金額。

2: オバマ大統領が今年2月3日に発表した「ビルディング改善イニシアティブ」の一つ。詳細については、2011年2月3日付けNEDO Washington Daily Reportの「オバマ大統領、商業ビルの省エネ化を目標とする「ビルディング改善イニシアティブ」を発表」を参照されたし。

3: 次世代製造プロセスやグリーン製造の助長に必要な新材料開発を目的とする新規プログラム。

4: 2011年度予算比では120万ドル減、2012年度要求比では8,900万ドルの削減。

 

 


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