NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2011年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

8月11日号

エネルギー省、先端自動車研究開発で1億7,500万ドルを超えるグラントを給付

エネルギー省(DOE)のSteven Chu長官が8月10日、先端自動車技術の開発・普及促進に向こう3〜5年間で1億7,500万ドルを超える投資を行うと発表した。今回選定された全米15州40件のプロジェクトは、燃料や潤滑油の改善から軽量素材、安価で寿命の長い電気自動車用バッテリーや高効率エンジン技術等まで、自動車の全ての面でのイノベーションを対象としている。DOEの同プロジェクトは、受益機関からの追加投資でてこ入れされ、プロジェクト総額は3億ドルを超える見込みである。

今回発表されたプロジェクト40件は、下記の8分野に分類される。(ここでは、1件500万ドル以上のプロジェクトの例を記載する):

  • 先進燃料と先進潤滑油

    燃料と潤滑油を改善して、先進燃料機関の性能を最適化するプロジェクト8件に総額758万ドル。

  • 軽量化素材

    安全基準を維持しつつも車両重量を激減させる先進素材を使って、軽量自動車(light weight vehicle)の商用化促進を図るプロジェクト5件に総額1,874万ドル。

    • Metal Oxygen Separation Technologies Inc. (マサチューセッツ州) …マグネシウムの低コスト国内生産を可能にする新プロセスを開発するプロジェクト。DOE助成額は600万ドル。

  • 軽量なマルチ素材を使ったプロトタイプ車

    基本的(ベースライン)軽量車(light-duty vehicle)よりも50%軽量な自動車を設計・組立・実験するプロジェクト2件に総額2,000万ドル。

    • Vehma International of America, Inc. (ミシガン州) …軽量かつ高強度な素材の大量使用によって50%の軽量化を図る「新型乗用車設計アーキテクチャ(new passenger vehicle design architecture)」を開発・立証するプロジェクト。DOE助成額は1,000万ドル。
    • クライスラー (ミシガン州) …50%軽量化を狙った技術を導入して、軽量なマルチ素材を使った自動車を開発・実証するプロジェクト。DOE助成額は1,000万ドル。

  • 電気自動車駆動用バッテリーのための先進電池セルと設計技術

    性能とコスト面で既存の最新型技術を大きく上回る、電気自動車用高エネルギー/高出力電池を開発するプロジェクト12件に総額5,041万ドル。

    • ペンシルバニア州立大学(ペンシルバニア州) …バッテリーの小型化・性能改・寿命延長を可能にする、エネルギー密度の高いリチウム硫黄系(lithium-sulfur)セル技術を開発するプロジェクト。DOE助成額は500万ドル。

  • 先端パワーエレクトロニクスと電気モーター技術

    大幅なコスト削減を達成しつつも厳しい性能目標を満たす、次世代電力変換器や電気モーターを開発するプロジェクト4件に総額2,035万ドル。

    • ゼネラル・モーターズ(ミシガン州ポンティアック) …次世代電力インバータの設計・製作につながる、高性能で低コストの電力モジュールとインバータ切換技術を開発するプロジェクト。DOE助成額は600万ドル。
    • ゼネラル・エレクトリック(ニューヨーク州) …先進的なモーター設計・材料・熱管理・モーター制御を同時に設計することによって、レアアースを使わない高性能モーターを開発するプロジェクト。DOE助成額は597万ドル。
    • Azure Dynamics, Inc.(マサチューセッツ州) …自動車の電化を可能にする材料・技術イノベーションに焦点を絞って、伝熱能力の高いインバータを開発するプロジェクト。DOE助成額は536万ドル。

  • 熱電技術と有効なエンジン技術

    エンジンの廃熱を電気に変換する熱電デバイスの効率を改善するプロジェクト3件に総額2,400万ドル。

    • Amerigon Incorporated (カリフォルニア州) …熱電発電装置(thermoelectric generator)を使って排ガスの廃熱を電気に変換することにより、乗用車の燃費を5%改善するプロジェクト。DOE助成額は800万ドル。
    • ゼネラル・モーターズ(ミシガン州ウォーレン) …廃熱を電気に変換する熱電発電装置(TEG)システムと、廃熱変換電気を自動車で利用するために必要な制御装置を開発するプロジェクト。DOE助成額は800万ドル。
    • GMZ Energy, Inc. (マサチューセッツ州) …軽量車の燃費を最高5%向上させる熱電排気熱回収システムを実証するプロジェクト。DOE助成額は800万ドル。

  • フリートの効率化

    乗用車と商用車の効率を改善する省燃費タイヤおよびドライバーフィードバック技術の開発・実証を行うプロジェクト5件に総額661万ドル。

  • 先進自動車の試験と評価

    先端技術自動車や関連インフラストラクチャーの実験室評価や実地評価を行う一方で、新規試験方法の開発や試験方法の改良をするプロジェクトに2,642万ドル。

    • Electric Transporation Engineering Corp. (アリゾナ州) …様々な燃料・エネルギー貯蔵システム・推進システムを使った小・中・大型先端技術車の試作車および早期生産車の実験・評価を行うプロジェクト。DOE助成額は2,642万ドル。

(Department of Energy News, August 10, 2011)

 

 

バイオエネルギー科学センター、バイオ燃料生産の能率化を可能にする遺伝子を発見

エネルギー省(DOE)バイオエネルギー科学センター(BioEnergy Science Center =BESC)(注:1)の研究チームが、微生物のエタノール生産能力をコントロールする単一の遺伝子を特定した。Steven Chuエネルギー長官は、この発見が、エタノール収穫を高め;生産コストを引き下げ;米国の輸入原油依存度を低減することを可能にするバイオマス作物を開発する上で重要な一歩になると評価している。

微生物体内のエタノール生産をコントロールする遺伝子「クロストリジウム・サーモセラム(clostridium thermocellum)」の発見は、科学者が今後、エタノールをより多く生産する遺伝子組換えバイオマス植物を実験できるということを意味する。スイッチグラスや農業廃棄物のようなバイオマスからエタノールを生産する現行方法では、高価な酵素を使って、高エネルギー糖を守るバリアを分解する必要がある。BESCも含め科学者等は、オーダーメイドの微生物が自ら酵素を作り、それが植物の糖を解放してエタノールに醸成するという、一段階の能率的なアプローチを開発すべく努力してきた。同遺伝子が特定されたことは、このテイラーメイド微生物の作成に向けた重要な一歩と言える。BESC研究チームのこの発明はライセンス提供される。

(Department of Energy News, August 11, 2011)

 

 

ニューヨーク独立系統運用機関、スマートグリッド・イニシアティブに着手

ニューヨーク独立系統運用機関(NYISO)が、総額7,400万ドルのスマートグリッド・イニシアティブの詳細を発表した。同イニシアティブには、エネルギー省(DOE)がスマートグリッド投資グラントから3,700万ドル強を拠出し、支援している。

同イニシアティブの目標の一つは、コンデンサーバンク(capacitor bank)を設置し、長距離送電時の電力損失量を削減することによってニューヨーク州の大量送電系統を効率化することで、州はこれにより、年間約900万ドルの節約を期待している。

NYISOはまた、系統運用者の状況認識(situation awareness)と見える化(visualization)を向上させる、位相計測装置(phasor measurement units =PMUs)の設置も行っている。最終的には、東部電力網全体における状況認識を向上させるために、ニューイングランド地方、中部大西洋地域、中西部およびオンタリオ州のPMU網とNYISOのPMU網を接続する意向であるという。

NYISOはまた、3,550万ドルをかけて新設する電気管理センターを起工した。Rensselaer市にあるNYISO本部に隣接して建設される電気管理センターと、Guilderland市にある現行管理センターのシステム刷新によって、北米電力信頼度協議会(North American Electric Reliability Council)の提案する信頼度基準を確実に遵守することになるという。新電気管理センターの建設は2014年に終了予定であり、Guilderland管理センターのオーバーホールは2012年までに終了する見込みである。

(Renew Grid, August 9, 2011)

 

 


注釈:

1: BESCは、2007年にDOE科学局によって設立された3ヶ所のDOEバイオエネルギー研究センターの一つ。

 


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