NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2011年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

8月25日号

将来のエネルギー生産者はバクテリア?

環境技術者のBruce Logan氏率いるペンシルバニア州立大学の研究チームが、バクテリアを使って廃水を浄化しながらエネルギーを発生・貯蔵させる燃料電池を開発中である。

人間が使う水の大半は下水管やトイレや排水口を流れ、最後に殆どが汚水処理施設にたどり着く。汚水処理施設では多くの時間と金とエネルギー(注:1)をかけて廃水を浄化し、浄化された水が環境に還流される。この廃水をエネルギーに変えることが出来たらどうなるか?同大学の研究チームは全米科学財団(National Science Foundation)の支援を得て、これを実現させる方法に取り組んでいる。

同研究チームが開発している微生物燃料電池(microbial fuel cell)は、バクテリアが廃水中の有機性廃棄物を分解し、副生成物として電子を放出。放出された電子が燃料電池内のカーボンブリッスル(剛毛状の炭素繊維)にたまり、これが最終的に回路を通って流れて電気を起こすという仕組み。Logan氏によると、この燃料電池に文字通り廃水を注ぎ、廃水中のエネルギーを取り出して電気を起こすことが出来るという。

微生物燃料電池は一般的には電気を発生するが、システムに僅かな電圧を加えることで、水素ガスを発生させることが出来るため、水素自動車を含めた広い用途も考えられることになる。

初期のリアクターでは、高価なグラファイト棒やポリマー、プラチナ等の貴金属を使っていたものの、最新リアクターではこうした貴金属を使わずに、安価な環境調和型材料を使っている。 Logan氏は、微生物燃料電池が向こう5〜10年で実用化されて、微生物燃料電池を使って汚水処理施設の全電力を賄い、余剰電力を近隣コミュニティと分かち合うことが出来るようになると期待している。

(National Science Foundation News, August 22, 2011; grist.org Climate & Energy News, August 24, 2011)

 

 

エネルギー情報局、米国のエネルギー関連二酸化炭素排出量が2010年に3.9%増加したことを報告

エネルギー省(DOE)のエネルギー情報局(Energy Information Administration =EIA)が8月18日にオンラインで発表した分析『2010年二酸化炭素排出(Carbon Dioxide Emissions, 2010)』によると、米国が化石燃料消費で放出した2010年の二酸化炭素(CO2)排出量は2009年水準よりも3.9%増えで56億3,900万メトリックトンになったという。

米国エネルギー関連CO2排出量のこの上昇率は1988以来の最大値ではあるが、排出量は2005年水準を6%下回っており、米国のCO2排出量は1990年以来、年率平均0.6%で上昇したことになる。

2010年の排出増加の要因として、国内総生産(GDP)が3.0%上昇したこと、および、米国経済のエネルギー原単位(Energy/GDPで測定)が0.7%上昇したことが挙げられるほか、2009年には2008年水準比2.4%減と低下した米国エネルギー供給のCO2原単位が2010年には微増したことも一因となっている。具体的には、炭素集約度が最も高い石炭の価格が下落、石炭消費量が2010年に6%増加して、発電に占める石炭の割合も2009年の45.7%から2010年には46.1%に拡大した。

EIAのHoward Gruenspecht局長代理は、2010年の3.9%という排出増加は主として、2008年・2009年に経験した不況からの回復によるものであると説明し、最新版のエネルギー見通しのレファレンスケース(基準ケース)では今後10年間の排出増加は著しく減速して、年率平均0.2%になる予測であると報告した。

(U.S. Energy Inforamtion Administration Press Release, August 18, 2011)

 

 

起業家のオールスターがスタートアップアメリカ・パートナーシップに加入

米国の革新的アントレプレナールを支援・育成することを目的とする「スタートアップ・アメリカ・パートナーシップ(Startup America Partnership)」(注:2)が8月23日に、同団体の初の企業スポンサーとなる4社と初代理事会メンバー14名を発表した。

企業スポンサーとなるのは、American Express OPEN、Dell社、Intuit社、マイクロソフト社の4社。創設パートナーであるケース財団とカフマン財団と共に、国内雇用を創出するアントレプレナールの成功を促進するため、財政支援やその他戦略的資源を提供することになる。

理事会の初代メンバーは、大学の経済学聴講中にFedExの案を思いついたFred Smith氏、僅か4年間でSunRun社を米国有数の住宅用太陽光発電設置会社へと成長させたLynn Jurich女史、プロバスケットボール引退後にMagic Johnson EnterprisesとMagic Johnson財団を築き上げたEarvin "Magic" Johnson氏等、米国で最も成功している起業家から成るオールスター陣営となっている。初代理事会メンバーのフルリストは下記の通り:

Tory Burch

Tory Burch LLCの最高経営責任者(CEO)兼 最高コミュニケーション責任者(CCO)

Scott Case

スタートアップアメリカ・パートナーシップのCEO

Steve Case

スタートアップアメリカ・パートナーシップの会長

Pamela Contag

Cygnet Biofuels社のCEO

Michael Dell

Dell社の会長 兼 CEO

Raul Fernandez

ObjectVideoの会長

Reed Hastings

Netflixの会長 兼 社長 兼 CEO

Reid Hoffman

LinkedInの会長 兼 共同創設者

Magic Johnson

Magic Johnson Enterprisesの創設者 兼 CEO

Lynn Jurich

SunRun社の社長 兼 共同創設者

Kevin Plank

Under Armourの社長 兼 CEO

Carl Schramm

カフマン財団のCEO

Fred Smith

FedEx社の社長 兼 CEO

Nina Vaca

Pinnacle Technical ResourcesのCEO

(Whitehouse.gov Blog, August 23, 2011)  

 

  


注釈:

1: Bruce Logan氏によると、米国総電力の5%が水関連インフラに使用されている。

2: 同パートナーシップは、雇用を創出するスタートアップ企業への官民支援を提唱するオバマ政権の要請に応え、オバマ大統領が今年1月31日に発表した「スタートアップ・アメリカ」イニシアティブと時を同じくして立ち上げられた民間の非営利同盟。オバマ大統領発表の「スタートアップ・アメリカ」イニシアティブに関しては、デイリーレポート2011年1月31日号を参照されたし。

 

 

 


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