NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2011年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

9月29日号

ペンシルバニア州立大学、水とバクテリアで水素ガスを持続的に生成するシステムを開発

ペンシルバニア州立大学の研究者が、外部電気を必要とせず、水とバクテリアだけを使用することによって水素ガスを持続的に製造する方法を発見した。

微生物電解セル(microbial electrolysis cell)を使っての水素ガス製造はこれまでにも行われてきたが、バクテリアによって作られるエネルギーだけでは水の加水分解に必要な0.414ボルトの電気を生み出すことが出来ないため、外部電源(再生可能資源や化石燃料利用の発電)からの電気で補足する必要があった。

ペンシルバニア州立大学のBruce Logan環境工学教授とYounggy Kim博士研究員が作成したのは、微生物電解セルと、淡水と海水のイオン濃度差からエネルギーを取り出す逆電透析(reverse-electrodialysis =RED)を組み合わせた装置。RED技術のみで水を加水分解するためには約25組のイオン交換膜が必要となるが、ペンシルバニア州立大学の研究者は、RED技術と、有機物質を食べて電気を生み出すエクソ電子発生バクテリア(exoelectrogenic bacteria)を結合することで、加水分解に必要なREDのスタック数を5組まで削減。5組のREDスタックが生み出す約0.5ボルトの電気を利用して、微生物電解セルで外部電気を使わずに純粋な水素ガスを効率的に生成(注:1)したという。Kim博士研究員によると、今後の課題は、バクテリア活動で生じる化学副産物で容易に目詰まりすることがなく、長期的に使用可能な、燃料電池膜用の新材料を開発することであるという。

Logan教授とKim博士研究員が開発した装置では、エクソ電子発生バクテリアが有機物質を食べることから、このプロセスはエネルギーの解決策であるだけでなく、廃水処理の解決策にもなるものと期待される。

Logan教授とKim博士研究員のこの実験結果は9月19日号の米国科学アカデミー紀要(Proceedings of National Academy of Sciences)に発表された。

(Penn State Live, September 19, 2011;Science Now, September 20, 2011;Energy and Environment Daily, September 28, 2011) 

 

 

  


注釈:

1: ペンシルバニア州立大学の研究者によると、同デバイスは、バクテリアに提供された酢酸ナトリウム溶液30ミリリットルに対して21から26ミリリットルの水素ガスを生成したという。また、システムに水を循環させるために必要なエネルギーはセルの発電する電気の約1%であったと推定している。

 

 


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