NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2011年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

12月1日号

下院民主党議員、「Buy America」条項を拡大する法案を発表

下院運輸・インフラ整備委員会に所属する民主党議員数名が12月1日、インフラ開発を促進すると同時に国内雇用を創出するため、連邦補助を受ける交通プロジェクトやインフラ整備プロジェクトに国産の鉄鋼・工業品使用を義務付けている現行の「Buy America」要件を拡大して、更に多くのプロジェクトに適用する法案を発表した。

この法案により、鉄道再生・改善融資プログラム(Railroad Rehabilitation and Improvement Financing program)の管理するローンとローン保証、短線鉄道・地域鉄道向けグラント、クリーンウォーター州政府回転基金(Clean Water State Revolving Fund)グラントや連邦緊急事態管理局(FEMA)の災害軽減グラント等が新たに「Buy America」規定の対象となるほか、政府補助を受けている旅客鉄道Amtrakの100万ドル未満の調達(注:1)と10万ドル未満の高速鉄道プロジェクトも対象に含まれることになる。

委員会のランキングメンバーであるNick Rahall下院議員(民主党、ウエスト・バージニア州)によると、法案は、税金で賄われる将来の橋建設プロジェクトや類似のインフラ整備プロジェクトの全てが「米国製」であることを保証することになるという。

(CQ Today, December 1, 2011; Environment and Energy Daily, December 1, 2011)

 

先進国の企業、イノベーション競争で新興経済国の企業からの新たな挑戦に直面

プライスウォーターハウス・クーパーズ(PricewaterhouseCoopers =PwC)社の新報告書『イノベーションの奨励と保護(Encouraging and Protecting Innovation)』によると、イノベーション投資に関しては新興市場の経済急成長国家が先進国を凌いでおり、成長目覚しい中国を含むアジアの研究開発(R&D)支出は既に欧州連合を上回っているという。

PwC社のアンケート調査によって、回答者が、米国他先進諸国の企業が近い将来、テクノロジーやイノベーションへの巨額投資が可能な新興経済国の野心的で資金力を持つ企業からの新たな挑戦に直面することになると考えていること; 先進国と新興経済国の双方の企業が、イノベーション促進を可能にする団結・連携・協力の方法を再検討していることが明らかになった。PwC報告書の主な調査結果は下記の通り:

  • 中国のR&D支出は過去10年間、年間平均約10%の割合で上昇。中国のR&D投資(1億5,370万ドル)は、米国を除くほぼ全ての諸国のR&D投資(注:2)を大きく上回り、米国(4億530万ドル)に次ぎ世界第2位。
  • 米国は、ひところ信じられていたような断然トップのイノベーション・リーダーではない可能性あり。近年のある調査は、米国がイノベーションにおける競争力で欧州やアジアの先進国数ヶ国に遅れをとっており、過去10年間でイノベーション・キャパシティと国際競争力が向上しなかったのは、評価対象の40ヶ国のうちで米国のみ。
  • 法的・規制的観点からは先進国が依然として魅力的な経済投資先ではあるものの、イノベーション投資となると、新興経済国がトップ。アンケート調査した幹部202名の内の20%が、最も魅力的なイノベーション投資先は中国とインドであると回答。
  • 教育の視点から見ると、技能のギャップが衝撃的。中国では学位取得者の約3分の1がエンジニア専攻者。アジア全体では約20%であるのに対し、米国は僅か5%。
  • 米国はイノベーティブな最優秀人材を教育・訓練しているものの、現行の移民政策下ではこれ等人材を国内に維持できずにいる。入手可能な最新データによると、2007年に理系博士号取得者の33%、修士号取得者の24%が外国人学生。
  • 複雑に絡む政策や規制はしばしば、イノベーションを鼓舞するのではなく、これを妨げる。一例を挙げると、米国のR&D税額控除はOECDの30ヶ国の中では17位であって、他国が大学・国立研究所・その他研究機関と協力する企業に与えている控除よりも遥かに制限されている。
  • アンケート調査回答者の約40%が、米国のイノベーションリーダーという地位に対する最大の脅威は、開発途上国が適切な知的財産(IP)保護を欠いていることであると指摘。この問題は特に中国で深刻であり、44%が、中国で事業を行う外国企業にとっての最大リスクはIP保護であると回答。
  • PwC社が実施した第14回グローバルCEO年次調査の1,200名以上の回答者の内の約40%が、将来のイノベーションの大半が外部機関との共同開発になると予想。
  • 先進国の多くの企業が、自国市場向けに先ず開発した製品を新興諸国の消費者ニーズに合うよう調整するという、従来のイノベーションアプローチから脱皮。新興市場で製品を開発し、それを自国および先進国に公開するという「逆イノベーション(reverse innovation)」の価値に対する認識が拡大。
  • カスタマイズした製品やサービスへの需要に応え、多国籍企業は世界中の人材・資本・アイディアを結合することによってイノベーションを助長。多国籍企業は、一箇所集中型の企業R&D施設に投資するのではなく、地域毎にイノベーションセンターを配置。

(SSTI Weekly Digest, November 30, 2011; PwC's Encouraging and Protecting Innovation, November 2011)

 

 

 


注釈:

1: 現行の「Buy America」規定では100万ドル以上の場合に米国製品を購入するようAmtrakに義務付けている。 

2: 日本は1億4,410万ドルで世界第3位。

  


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