NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2011年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

12月1日号

連邦政府の後押しにも拘わらず、なかなか軌道に乗れない電気自動車産業

米国民の税金で50億ドルもの補助をうけた電気自動車(EV)産業であるが、ここ数ヶ月間というもの工場閉鎖・人員削減・売上不振に悩まされており、オバマ政権の目標には程遠い状況にある。

Aptera Motors社(カリフォルニア州を本拠とするEVスタートアップ)が12月2日に工場閉鎖を発表したが、これは、A123 Systems社(注:1)の人員削減発表やJohnson Controls社(注:2)の工場新設計画縮減といった一連の挫折のうちの最新例であるにすぎず、業界専門家等はこの先数ヶ月間で幾つかのバッテリー工場や電気自動車メーカーが閉鎖する可能性があると警告している。

電気自動車が米国の自動車販売総台数に占める率は0.2%にすぎず、その大半がシボレー・ボルトと日産リーフである。ゼネラルモーターズ社が先週、シボレー・ボルトの販売が2011年の目標1万台を38%下回る見通しを発表したことからも明らかなように、先頃の売上げは低需要を示している。Lux Research社のアナリストであるKevin See氏は、EV産業従事者の多くがEVの成長度について早とちりをしてしまったと語る。

EVが7,500ドルという税額控除にも拘わらず、依然としてガソリン自動車よりも遥かに高いことが大きな問題である。一例をあげると、メリーランド州のトラック販売店Beltway Cos.は15万ドルの電気トラックを1年経っても売ることが出来ず、メーカーであるNavistar社に返さざるをえなかったという。

(Greenwire, December 8, 2011; National Legal and Policy Center Blog, December 2, 2011)

 

オバマ政権、雇用創出スタートアップ企業を支援する20億ドルの官民基金を発表

オバマ政権は12月8日、ホワイトハウスでスタートアップアメリカ・パートナーシップ(Startup America Partnership)(注:3)の第1回理事会を開催し、今年1月に「スタートアップ・アメリカ(Startup America)」イニシアティブ(注:4)の一環として提案されていた「初期段階イノベーション基金(Early Stage Innovation Fund)」の立ち上げを発表した。

「初期段階イノベーション基金」は、高成長が期待される初期段階のスタートアップ企業に投資する民間企業に1対1のマッチング・ファンドを提供するというもので、中小企業局(Small Business Administration =SBA)が既存の中小企業投資会社(Small Business Investment Company =SBIC)プログラムから5年間で総額10億ドルを拠出するほか、スタートアップアメリカ・パートナーも財政支援やその他戦略的資源を提供する(注:5)ことになる。

新たなスタートアップ企業は毎年、全国各地において全ての産業で新規雇用の殆どを創出している。オバマ大統領は今年9月8日の上下両院合同会議において「米国雇用法(American Jobs Act)」(注:6)を提案した際、小企業が革新・成長するために必要な資金調達を助長する具体的対策を講じるよう議会に求めたが、大統領は再度、超党派でこうしたアイディアを発展させ、下記に関連する法令を可決するよう議会に要請している:

  • 規制Aの「ミニオファーリング」(Regulation A "miniofferings") … 500万ドル未満の民間資本を求める小事業主は現在、証券取引委員会(SEC)の様々な規制を免除されているものの、規制A免除を活用する企業は極少数である。大統領は、投資家を守りつつも、小企業が成長するために必要な資本調達を容易にするため、この上限を5,000万ドルに引上げることを要求。
  • クラウドファンディング(Crowdfunding) … 非営利団体は自己のミッションを達成するために、オンラインの資金集めとソーシャルメディアの力を活用している。規定を修正して投資家保護の強化を組み込むと当時に、起業家が多くの小規模投資家から資金調達することを認めることが可能である。
  • 若い小企業の費用軽減(Easing costs for small, young firms) … 新規雇用の大半は、若い小企業が株式公開をした後で創出される。小規模の高成長企業を対象とする特定の規制を段階的に導入することによって、投資家を守りつつも、これら企業が上場企業としての全費用を賄えるまでに成長することを助長する移行期間を提供することが可能である。

 (The White House Press Release, December 8, 2011)

  

 


注釈:

1: 同社は、エネルギー省(DOE)から2億4,900万ドルのグラント、更には州政府から総額約1億3,500万ドルのグラントと税額控除を受領したが、受注減少を理由にミシガン州の電気自動車用リチウムイオン電池製造工場で35%の人員削減を行ったと11月末に発表した。 

2: 同社は、経済刺激策(ARRA)で2億9.900万ドルのグラントを受領。低需要を理由に、工場2ヶ所の新設計画を縮減して、1箇所のみを建設。た。 

3: American Express Open, AOL、Dell、Dun & Bradstreet、Ernst & Young、Facebook、Google、IBM、Intel、Intuit、Lendio、Linkedin、マイクロソフト、Netsuite、Palo Alto Software、Regus、Silicon Valley Bank、National Venture Capital Association等、50を超える民間パートナーから成る。 

4: 4 同イニシアティブの概要については、2011年1月31日付けデイリーレポート特別号を参照されたし。 

5: コンピュータ・ソフトウエア、コンサルティング、司法サービス等の総価値10億ドル強のサービスを今後3年間で10万のスタートアップに提供する見込み。 

6: オバマ大統領提案の「米国雇用法」については、2011年9月9日のワシントン事務所調査レポート「オバマ大統領、「米国雇用法」を発表」を参照されたし。

  


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