NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2012年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

9月17日号

全米科学財団、3ヶ所のナノシステム工学研究センター新設に5,550万ドルのグラントを授与

全米科学財団(National Science Foundation =NSF)が9月10日、3ヶ所のナノシステム工学研究センター(Nanosystems Engineering Research Centers =NERCs)新設で、大学コンソーシアムに向こう5年間で総額5,550万ドル(各センターに1,850万ドル)を授与したことを発表した。新設されるNERCsは、産業界との協力で学際的なナノシステム研究と教育を推進することを目的とするもので、電磁システム(electromagnetic system)、モバイルコンピューティング技術とモバイルエネルギー技術、ナノマニュファクチャリング、及び衛生・環境センシング(health and environmental sensing)における研究とイノベーションを支援することになる。新設NERCsの概要は以下の通り:

 

  1. NERC for Advanced Self-Powered Systems of Integrated Sensors and Technology(ASSIST)
    • リード機関はノースカロライナ州立大学。フロリダ国際大学、ペンシルバニア州立大学、バージニア大学、ミシガン大学、韓国科学技術院(Korea Advanced Institute of Science and Technology)、東京工科大学、及びオーストラリアのアデレード大学、及び、企業や地域イノベーション機関や連邦省庁等30以上の非大学組織が協力。
    • 着用者の環境と健康を同時にモニターする、自己出力型の(self-powered)装着型システム(wearable system)を開発するプロジェクトで、汚染物質への暴露と喘息等慢性疾患との関連性を解明できると期待されている。
    • 装着型システムの出力源として、超低電圧ナノエレクトニクス、圧電・熱電エネルギーを取り込むナノ構造物質、及びキャパシタを使用。

     

  2. NERC for Nanomanufacturing Systems for Mobile Computing and Mobile Energy Technologies (NASCENT)
    • リード機関はテキサス大学オースチン校。ニューメキシコ大学、カリフォルニア大学バークレー校、及びソウル大学校、インド理科大学院、及び10以上の非大学組織が協力。
    • 小型化・複雑化が進むモバイル装置の課題に対応するため、信頼性が高くて多目的に利用可能な、ハイスループットのナノ製造プロセスシステム(nanomanufacturing process system)を構築するプロジェクト。具体的には、ナノ構造シリコン・ナノ構造グラフェン他の材料を製造する工程を開発。

     

  3. NERC for Translational Application of Nanoscale Multiferroic systems(TANMS)
    • リード機関はカリフォルニア大学ロサンゼルス校。カリフォルニア州立大学ノースブリッジ校、コーネル大学、カリフォルニア大学バークレー校、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、及び20以上の非大学組織が協力。
    • 新発見されたマルチフェロイク(multiferroic)(注:1)物質を利用することによって、[装置の]機能を磁場又は電磁場の操作に依存しているメモリシステムやアンテナ、及び動力装置以外の装置等を小型化し、効率化することを目的とするプロジェクト。

(National Science Foundation Press Release, September 10, 2012)

 

カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チーム、僅か数秒で三次元マイクロ構造を創りだす新技術を開発

カリフォルニア大学サンディエゴ校のShaochen Chen教授の率いるナノエンジニア・チームが、生体適合性のあるヒドロゲル(biocompatible hydrogel)から僅か数秒で、三次元(3-D)マイクロスケール構造を創り出すことの出来る新技術を開発した。

Advanced Materials誌で発表された「動的光学投影立体リソグラフィー(dynamic optical projection stereolithography =DOPsL)」と呼ばれるバイオ加工(biofabrication)技術は、コンピューター投影システムと精密制御のマイクロミラーを使って、感光性の生物高分子や細胞を含む溶液の選定部分に光を当てることによって、光の当たった部分を1層づつ固形化していくというもの。

立体リソグラフィーはツールや自動車部品といった大きな物体の印刷で知られているが、Chenチームが開発したDOPsL技術では、マイクロスケール及びナノスケールの解像度で、自然界でよく見られる複雑な幾何学模様をプリントすることが出来たという。DOPsL技術は短期的には、研究室での細胞(幹細胞を含む)増殖や細胞研究用の優れたシステムに繋がる可能性があり、長期的には、再生医療用の生物組織をプリントすることが可能になると期待されている。(ScienceDaily, September 12, 2012)

 

 


注釈:

1: 強磁性・強誘電性・強弾性・強トロイダルの4つの性質のうち、2つ以上の性質を有する材料。

 


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