NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2012年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

9月21日号

国立衛生研究所(NIH)、国家ロボティクス・イニシアティブのNIHグラント受賞者を発表

国立衛生研究所(National Institutes of Health = NIH)が、人間と協力して行動することが可能で、様々な医療用途の変化する環境に対応することが可能なロボットを開発する6件のプロジェクトに、今後4年間で総額440万ドルを提供すると発表した。

NIHの今回のグラントは、全米科学財団(NSF)がリード機関となって取り組んでいるオバマ政権の「国家ロボティクス・イニシアティブ(National Robotics Initiative)」(注:1)の一環として行われるもので、NIHのFrancis Collins所長は、価格が手頃で利用しやすいロボット技術は、人々の健康や個人(特に、増加する高齢者人口や身体障害者人口)に応じた在宅看護を促進することが可能であると語っている。NIHが、研究者や患者及び臨床医の助けとなり得る次世代ロボティクスの開発に役立つとして選定した6件のプロジェクトは以下の通り:

  • 生体組織マイクロアッセンブリー用マイクロロボットの並列・独立制御(Parallel, Independent Control of Microrobots for Microassembly of Tissues) … ハワイ大学マナオ校のAaron Ohta氏提案。人工組織を組立る際にロボティックスシステムとして利用される、ミクロン径の気泡(micron-size bubble)を開発するプロジェクト。

  • 画像誘導ロボット手術の為の先進バイオフォトニクス(Advanced Biophotonics for Image-guided Robotic Surgery) … ワシントン大学(ワシントン州シアトル市)のEric Seibel氏提案。自動的かつ光学的に誘導して行う低侵襲手術を補助するロボットを開発するプロジェクト。

  • ヒューマノイド及びリハビリテーションロボティクスの動力付き分節型下肢の制御(Control of Powered Segmented Legs for Humanoids and Rehabilitation Robotics) … カーネギーメロン大学(ペンシルバニア州ピッツバーグ)のHartmut Geyer氏提案。人間の下肢の生体力学的デザインと神経筋制御の原理を明らかにし、その原理を動力付き義足やロボティックリハビリ装置(robotic rehabilitation device)の設計・制御に活用することを目標とするプロジェクト。

  • 高性能ロボティック下腿義足(High Performance Robotic Below-Knee Prostheses) … アラバマ大学(アラバマ州トゥスカルーサ)のXiangrong Shen氏提案。既存の殆どの下腿義足では足関節がパッシブ型で、エネルギーを貯蔵・消費しているのが現状。発電が可能で、かつ小型の軽量ロボティック義足に大量のエネルギーを貯蔵できる斬新なロボティックアクチュエータを開発するプロジェクト。

  • 消化管のための錠剤大・軟カプセル型個人用医療ロボット(Personal Pill-Sized Soft Medical Robots for the Gastrointestinal Tract) … カーネギーメロン大学(ペンシルバニア州ピッツバーグ)のMetin Sitt氏提案。精密な遠隔操作で消化管の疾患や治療を可能にする、新しい錠剤大の軟カプセル型ロボットを設計、製造するプロジェクト。

  • 治療用エクソスケルトンのブレイン・マシーン・インターフェース制御(Brain Machine Interface Control of a Therapeutic Exoskeleton) … ライス大学(テキサス州ヒューストン)のMarcia O'Malley、Gerard Francisco、Jose Luis Contreras-Vdal氏提案。ヒトとロボットのインターフェースを非侵襲的なブレイン・マシーンと組合せ、患者が脳卒中で麻痺した上肢のリハビリを向上させるために、自らの考えでロボットの動きをコントロール可能とするプロジェクト。

(NIH News, September 18, 2012)

 

連邦エネルギー規制委員会、サイバーセキュリティに焦点をあてた「エネルギーインフラ安全保障部」を新設

連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission =FERC)は9月20日、FERC管轄下のエネルギーインフラストラクチャー(グリッド、パイプライン、発電所)へのサーバー攻撃や物理的リスクの脅威に対応することを目的とする、「エネルギーインフラ安全保障部(Office of Energy Infrastructure Security =OEIS)」を新設すると発表した。

FERCは米国の電力・天然ガスシステムへのサイバー攻撃に対処する十分な権限を持っていないと懸念が繰り返し表明されてきたにも拘わらず、米国上院では「2012年サイバーセキュリティ法案(Cybersecurity Act of 2012:上院第3414号議案)」(注:2)が今夏期休会直前に共和党議員の議事妨害により上院本会議での採決に付されずに終わっている。米国議会による対応が期待できないことから、オバマ政権では国内の発電所やグリッド及びその他重要インフラのサイバー防衛強化を狙った大統領命令を近々発表する構えであると予想されている。

FERCのJon Wellinghoff委員長は、OEISの新設はホワイトハウスとの直接対話によるものではなく、自省管轄エネルギーインフラの保護に焦点をあてる為には省の再編が必要であるというFERC内部の決定に基づいたものであって、議会や大統領府によるFERC権限拡大の必要性を打ち消すものではないと主張したほか、OEISの新設によって、連邦議会が法案を可決した場合の迅速な対応が可能になると説明した。

OEISの初代部長にはFERCの電力信頼性部(Office of Electric Reliability)部長であるJoseph McClelland氏が着任し、以下を重点的に進めていくことになる:

  • FERCの既存の法的権限を利用して、FERC管轄エネルギー施設に対するサイバーセキュリティ及び物理的セキュリティ面での潜在的な脅威と脆弱性を特定し、伝達し、緩和するための提言を策定する。
  • サイバーセキュリティ及び物理的セキュリティ面での潜在的な脅威と脆弱性の特定、伝達、緩和において、連邦政府他省庁や州政府、連邦議会やFERC管轄下の公益事業に支援、専門知識、及び助言を提供する。
  • FERC管轄エネルギー施設に関連するサイバー及び物理的セキュリティ問題に関して、当該連邦省庁や州政府機関及び業界代表者とのインテリジェンス関連の調整及び連携努力に参加する。
  • FERC管轄エネルギー施設へのサイバー及び物理的脅威の特定、伝達、緩和に関して、民間部門エネルギー配給システムのオーナーや利用者及び運営者を支援する。

(FERC News Release, September 20, 2012; CQ Roll Call Executive Briefing Energy & Climate, September 20, 2012; Greenwire, September 20, 2012)

 

 

 

 


注釈:

1: 同イニシアティブには、NSF、NIH、米航空宇宙局、及び農務省が参加。NSFは9月14日に、31件のプロジェクトに総額約3,000万ドルのグラントを給付することを発表。

2: Joe Lieberman上院議員(無所属、コネチカット州)とSusan Collins上院議員(共和党、メイン州)が2012年7月19日に上院に提出。

 


Top Page