NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2013年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

3月27日号

大統領科学技術諮問委員会(PCAST)、気候変動対応戦略の柱となるべき6つの重要要素を提言

大統領科学技術諮問委員会(President's Council of Advisors on Science and Technology =PCAST)は3月22日、オバマ政権の気候変動対応戦略の中心となるべき6つの重要要素を説明した、大統領宛てのレターを発表した。

PCASTのレター報告は、気候変動のもたらす課題に対応する新たなイニシアティブを策定する為のアドバイスをオバマ政権が2012年11月にPCASTに要請したことに応えて発表されたもので、緩和(気候関連の変化の速度と大きさを削減)と適応(気候変動の結果起きる回避不可能な被害を最小化)という二重アプローチに焦点を当てるよう求めている。PCASTが提言する6つの重要要素は以下の通り。


(1) 気候変動に対する国家プリペアドネス(preparedness:被害軽減の為の備え)の確立

国家気候変動プリペアドネス戦略(national climate preparedness strategy)には以下が含まれるべきである:

(A) 国家気候変動プリペアドネス戦略(地域別アセスメントやベストプラクティスの共有を含む)を策定し、定期的に更新し、伝達するメカニズム

(B) 地球・国家・地域ベースで気候変動の先行指標となる異常気象のインデックスを策定し、定期的にこれを更新し、市民に伝達するメカニズム

(C) 米国の天気予報・気候変動予測能力の維持と改善

(D) 将来の気候変動がもたらす影響を組み込んだインフラストラクチャー近代化計画

(E) 連邦政府の災害救助政策と災害保険の改変

上記の目標を達成するため、PCASTは以下を提言している:

  • 上述の5要素、特に、既存の災害保険と災害救助政策の改変を提言する、国家気候変動プリペアドネス委員会(National Commission on Climate Preparedness)を創設すべきである。

  • 国内と海外の気候変動プリペアドネス計画年次報告書の作成を監督するリード機関を指定すべきである。… 論理的な選択肢は、国内のプリペアドネス計画作成のリード機関が国土安全保障省で、海外の気候変動プリペアドネス計画作成のリード機関が国防省。

  • 気候変動プリペアドネス対策、及び、米国経済に対するその他の利益を統合したインフラ再生計画を策定すべきである。

  • 気候変動プリペアドネスに関する研究努力の調整と支援を強化すべきである。

 

(2) 経済、特に電力部門における脱炭素化努力の継続

PCASTが提言する重要な施策は以下の通り:

  • シェールガス生産・輸送の環境影響がシェールガスのポテンシャルを制限することにならないように、シェールガスの生産拡大を支援すべきである。… 石炭代替としての天然ガス利用は、シェールガス生産・輸送からのメタンガス漏出が低レベルに抑えられ、飲料水が悪影響を受けない限りにおいて、有効な短期・中期的脱炭素化手段となる為、連邦政府はデータ収集や規制強化の面で重要な役割を担うことになる。

  • クリーンエア法に基づいて定められた基準汚染物質(SO2、NOx等)と有害大気汚染物質(水銀、等)に対する義務要件の施行を継続すべきであり、2012年3月に発表された新規発電所の炭素排出基準発表に続いて、既存の固定発生源から放出される二酸化炭素の排出基準も設定すべきである。

  • CCS展開への規制上の障壁を削減する努力を加速し、現在進行中の大規模CCSプロジェクトに対する政治的支援を継続すべきである。

 

(3) 規制上の障壁を取り除き、市場の失敗(market failureに対応し、租税政策を調整し、適切な場合にはクリーンエネルギーに時限付き補助を提供することによって、クリーンエネルギーや省エネルギー技術に平等な競争環境を提供

PCASTが検討の価値有りと提言している施策は以下の通り:

  • 特別な税制優遇策を介して、資本へのアクセスで公平性を確立すべきである。

  • 風力発電向けの税額控除を拡大して全ての再生可能エネルギーに税額控除を提供し、税額控除を1年更新ではなく、5年から10年という長い視野で行うべきである。

  • 省エネルギー技術の導入を妨げる市場の失敗を取り除くべきである。… 主な問題は、住宅の省エネと、それに付随する削減が不動産取引の際に適切に評価されていないことにある。エネルギー長官と住宅都市開発省(HUD)長官に、住宅市場が省エネ投資を住宅ローン取引の一環として評価することを保証する斬新なプログラムをFannie MaeやFreddie Macと協力して策定するよう要請するというのは、一つのアイディアである。

 

(4) 次世代クリーンエネルギー技術の研究を維持し、それら技術の普及を妨げる障壁を撤廃

PCASTの提言は以下の通り:

  • 長期的に見て米国の温室効果ガスを大幅に低減する可能性を持つ重要技術に焦点を当てた、エネルギー・イノベーション研究開発への投資を維持し、可能ならば同研究開発への投資を拡大すべきである。… 原子力・化石燃料・再生可能エネルギー・省エネの応用研究プログラムのクリエイティブな管理と改革に、新たな重点を置くべきである。

  • 連邦政府は、米国の原子力の将来に関する専門委員会(Blue Ribbon Commission on America's Nuclear Future)が提案した提言を実行すべきである。

 

(5) 米国が気候変動で国際的なリーダーシップを確立する為の追加的手段を講じる

PCASTの提言は以下の通り:

  • 新たに北米の気候協定を締結する可能性を検討すべきである。

  • 気候問題に関する中国との協力を強化する努力を継続すべきである。

 

(6) 4年に一度のエネルギー計画見直し(Quadrennial Energy Review =QER)を実施

エネルギー省は、PCASTが2010年11月に発表した報告書 『総合的な連邦エネルギー政策を介したエネルギー技術変革の促進(Accelerating the Pace of change in Energy Technologies Through an Integrated Federal Energy Policy)』(注:1) で提言した連邦省庁全体のQERに向けた第一歩として、2011年9月に「4年に一度の技術計画見直し(Quadrennial Technology Review =QTR)」を発表した。連邦政府は、QTR及び国民政策審議会(Domestic Policy Council)やOSTPで実施されたその他準備作業に立脚して、全面的なQERを正式に開始するべきである。

 

 


注釈:

1: 同報告書の概要については、2010年12月2日の調査レポート「大統領科学技術諮問委員会(PCAST)発表の報告書『総合的な連邦エネルギー政策を介したエネルギー技術変革の促進』:概要」を参照されたし。

  

 


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