NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2013年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

7月17日号

世界銀行、石炭火力発電所建設への融資を制限することを承認

世界銀行理事会は7月16日、ごく稀な状況 …石炭に代わって基本的エネルギーニーズを満たし得る代替物がない場合、世銀以外からの融資オプションがない場合等… を除き、開発途上国における石炭火力発電所新設への融資を制限することを承認した。世界銀行グループ(注:1)では、電気へのアクセスを現在もたない12億人に電気を供給する為、再生可能エネルギーや分散型技術のほかに、天然ガスや大型水力発電開発への援助を拡大する意向であるという。

石炭への融資を段階的に廃止するプロセスは、ロバート・ゼーリック前世銀総裁の下で開始されたが、中国やブラジル他途上国の妨害によって、中止となっていた。今回の方針転換は、貧困諸国のニーズと地球温暖化の減速努力を両立させる方法について世銀やその他国際金融機関が議論してきた結果に生じたもので、途上国の一次エネルギーミックスには石炭が引続き重要な役割を果たすという現行の世銀ガイドラインからの大きな脱却となる。

世界各国の公的金融機関は1994年以来、石炭火力発電所建設に370億ドルを融資している。これら公的金融機関の内、世銀と米国輸出入銀行が石炭への援助を制限する他、欧州復興開発銀行(European Bank for Reconstruction and Development)と欧州投資銀行(European Investment Bank)も石炭への融資縮小措置を近々講じると見られている。これらは意義深い転換ではあるものの、世銀、米国輸出入銀行、欧州復興開発銀行、及び欧州投資銀行が過去20年間に64件の石炭プロジェクトに融資している一方で、世界全体では現在1,199件の石炭火力発電所建設プロジェクトが企画され、その内の約75%がインド及び欧米金融機関の支援を必要としない中国での事業であることを考慮すると、世界のエネルギー供給を石炭から脱却させるには、こうした動きだけでは十分とは言えないことも事実である。

(The Washington Post, July 17, 2013; Climatewire, July 17, 2013)

 

保守派団体が支援した再生可能エネルギー使用基準(RPS)の撤廃・規模縮小法案、州議会で敗北

アメリカ立法者交流協会(America Legislative Exchange Council =ALEC)等の保守派団体の後押しによって、2013年の州議会会期開始時には再生可能エネルギー使用基準(Renewable Portfolio Standard =RPS)の撤廃又は規模縮小を狙った議案が幾つかの州で提案された(注:2)が、これらの試みは失敗に終わった模様である。

コロラド州立大学新エネルギー経済センター(Center for the New Energy Economy at Colorado State University)の報告書によると、今会期にRPSの変更について審議又は採決した30以上の州政府の内、8州が現行RPSの一部変更又は強化を成立させた一方で、現行RPSを規模縮小した州は現時点(2013年7月9日)までには1州もなかったという。

Vote Solar Initiativeの専務理事Adam Browning氏は、毎回の世論調査は米国人がクリーンな再生可能エネルギーを望み、これら政策を支持していることを示しており、モメンタムは再生可能エネルギー支持に傾いていると語っている。

同センターが集計したRPSに関する121本の州法案に関する分析は以下の通り:

  1. 121本の法案の内訳は、(i) 29本が再生可能エネルギーで発電される電気の使用量を引き上げる法案; (ii) 26本が再生可能エネルギー使用基準を引き下げる法案; (iii) 66本が現行の州政府RPSを一部変更する法案。
  2. RPSの拡大又は変更を今会期に成立させた8州は、コロラド州; コネチカット州; メリーランド州; ミネソタ州; モンタナ州; ネバダ州; バージニア州; ワシントン州。
  3. RPS政策を撤廃、弱体化、又は実施延期する法案は、カンザス、ミズーリ、テキサス、ウェストバージニア、ウィスコンシンの各州で今会期は消滅。
  4. ノースカロライナ州とオハイオ州の州議会に提出されているRPS撤廃法案も今会期は消滅の見通し(両州議会の会期終了は7月末)。

(Colorado State University News Release, July 9, 2013; Greenwire, July 12, 2013)

 

 

 


注釈:

1: 2012年のインフラ事業への融資額は約526億ドル。

2: 州政府のRPS撤廃又は規模縮小に関する動向については、2013年1月31日付け調査レポート『米国における再生可能エネルギー使用基準(RPS)を巡る動向』を参照されたし。

  

 


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