NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2013年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

7月30日号

オバマ大統領、中産階級の復活を狙った経済再建・雇用創出構想を発表

オバマ大統領は、中産階級に焦点を当てた経済再建案を説明する国内遊説ツアー(注:1)の一環として、7月30日にテネシー州チャタヌガ市のAmazon.com流通センターを訪問し、自らの経済再建・雇用創出構想である「A Better Bargain for the Middle Class」という新計画を発表した。

大統領は、法人税の税率引き下げを含む法人税法の簡素化、国内インフラストラクチャーへの新投資、45ヶ所の製造インベーション研究所(Manufacturing Innovation Institute)への新投資、クリーンエネルギー部門への政府投資増額他を提案している。ホワイトハウスが発表した「Fact Sheet: A Better Bargain for the Middle Class:Jobs」 の概要は以下の通り:

 

法人税法の簡素化

  • 海外移転に係わる税法の抜け穴を排除し、法人税の最高課税率を現行の35%から28%に引き下げ。
  • 小企業の納税申告の簡素化、及び、投資インセンティブの拡大(工場新設や新規設備に対する最高100万ドルまでの投資を必要経費として認可)。
  • 製造部門の実効税率(effective tax rate)を25%未満に引き下げ、クリーンエネルギー研究開発やクリーンエネルギー生産を奨励。
  • 海外移転を促進するインセンティブを排除し、海外での利益に対して最低税額の支払いを義務付け。

 

雇用創出及び競争力強化を助長する施策

  • 米国のインフラストラクチャー再建(Rebuilding American Infrastructure):
    • 「Fix It First」 計画 … 米国の幹線道路や橋、輸送システムや飛行場で遅延しているメンテナンスのバックログを減らすことに重点をおいた、国内インフラストラクチャーへの緊急投資。
    • 民間投資にてこ入れする、「米国再建パートナーシップ(Rebuild America Partnership)」 … 全米インフラストラクチャー銀行(National Infrastructure Bank)の新設、及び、民間投資拡大を奨励することを目的とする税法規の変更。
    • 「アメリカ急成長(America Fast Forward =AFF)」公債を介した民間投資の促進 … 経済刺激策の下でインフラストラクチャー投資へ民間資本を引き込むために創設されたプログラムに立脚して、新たなAFF公債プログラム(学校の近代化への融資も含む)を設置。
  • 最高45ヶ所の製造イノベーション研究所(Manufacturing Innovation Institute)確立 … 最初に提案された15ヶ所の製造イノベーション研究所から成る全米製造イノベーション・ネットワーク創設計画を拡大し、10年間で最高45ヶ所の製造イノベーション研究所を設置するよう議会に要請。
  • 未来の雇用に適する労働者を育成するため、「Community College to Career Fund」を設置。

 

中産階級の雇用拡大を促進する新たな行政府施策

  • SelectUSA(注:2)の拡大により、対外投資の獲得において米国の競争優位性を確立。
  • 長期失業者を職場に復帰させるため、民間部門に政府との協力を要請 … 大統領は今秋、最高経営責任者(CEO)等を招集し、長期失業者の訓練・募集・雇用に関するベストプラクティスを整備する予定。

 

中産階級の雇用を支援するその他の努力

  • 最低賃金の引き上げ。
  • 輸出増加を推進する一方で、世界経済での競争に必要な技能と支援を米国労働者に提供。
  • 米国の製造コミュニティの強化 … 景気後退で最も大きな痛手を負ったコミュニティの下方スパイラルを妨げ、コミュニティの投資誘致能力を強化するために、3年間で60億ドルのクレジットを提供。大統領はまた、製造コミュニティ投資ファンド(Investing in Manufacturing Communities Fund)の設置を提案(注:3)
  • クリーンエネルギー研究への政府投資を増額 … 大統領は、連邦省庁によるクリーンエネルギー技術投資を30%増大して、79億ドルまで引き上げることを提案。

(The White House 'Fact Sheet: A Better Bargan for the Middle Class: Jobs' July 30, 2013)

 

 

 


注釈:

1: この遊説ツアーの皮切りは、7月24日のイリノイ州ゲールスバーグ市で行った演説。大統領はこの時、「我々に必要なのは、3ヶ月や3年といった計画ではなく、中産階級を数十年間も謀ってきた力を覆すための粘り強い努力に基いた長期的戦略である」と語り、中産階級活性化の為のビジョンを提示していた。

2: オバマ大統領が2011年に、対米投資を州政府や都市と提携して促進する目的で創設したプログラム。

3: 同ファンドは、オバマ大統領の2014年度予算案で提案されたもの。当初資金は1億1,300万ドル。

  

 


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