NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2013年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

8月27日号

機密情報漏えいがきっかけとなり、過剰な機密指定(over-classification)を調査する政府説明責任局(GAO

国家安全保障局(NSA)のエドワード・スノーデン元契約職員によるNSA情報収集に関する機密情報の暴露がきっかけとなり、米国内では、過剰な機密指定が情報へのアクセスに必要な取扱許可の付与を激増させ、これが国家重要プログラムの情報漏えいの可能性を高めているのではないかという議論が再燃している。

米国では2010年10月7日に、「過剰な機密指定削減法案(The Reducing Over-Classification Act:下院第553号議案)」がオバマ大統領により法制化されている。同法令は、過剰な機密情報指定と不十分な情報共有が9月11日のテロ攻撃を防止出来なかった一因であると結論づけた『9/11委員会報告書』(注:1)の提言を念頭に置いて策定されたもので、以下を定めている:

  1. 国土安全保障省(DHS)に、機密情報顧問(Classified Information Advisory Officer)(注:2)の指名を義務付け;
  2. 国家情報長官に、インテリジェンス用フォーマット(format for intelligence products)を標準化するガイダンスを確立するよう指示;
  3. 一番最初に情報を分類して機密指定する権限を有する職員を対象とするトレーニングを策定;
  4. 連邦各省庁の監察官に、自省の機密指定政策の有効性を評価するよう指示。

オバマ政権の高官によると、2012年に政府が新たに機密と指定した情報は7万2,000余であって、前年よりも42%減少したという。しかしながら、エドワード・スノーデン元NSA契約職員や先週8月21日に35年の禁固刑を言い渡されたブラッドリー・マニング兵(ウィキリークスへ機密情報を漏えいした兵士)といった下級の職員や兵士が機密情報取扱許可を持ち、あらゆる種類の機密情報を入手できたことから明らかなように、米国のインテリジェンス・コミュニティとその民間コントラクターの群れが膨大化し、極めて多数の職員が高レベルの機密取扱許可を必要としている(注:3)という状況は変わっていない。真の問題は、多数の職員に機密取扱許可が付与されているということではなく、米国政府が極めて反射的に情報を機密指定しまうが故に、全くのありふれた事務を担当する職員にも機密取扱許可を付与しなければ事が足りなくなっているということにある。

こうした中、Duncan Hunter下院議員(共和党、カリフォルニア州)は、不要な情報の機密化は本物の機密を危険に晒すことになる為、過剰な機密化は悪策であると指摘し、政府説明責任局(Government Accountability Office =GAO)に対して、現行の機密指定制度を徹底的に見直すことを要請する書簡を2013年6月19日に送った。Hunter下院議員がGAOに要請した調査項目は以下の通り:

  • 機密情報に指定された中に、実質的には国家安全に影響を及ぼさない情報がどれだけあるのか?
  • 現行のセキュリティ手続きが定めるよりも過度に分類された機密情報(機密となるべきところを、極秘と分類されている情報)がどれだけあるのか?
  • 機密指定の条件を狭めることが、約500万人が機密情報取扱許可を所持する必要性を減らすことになるかどうか?また、機密情報取扱許可の所持者数を削減することが、機密情報の暴露を制限することになるかどうか?
  • 過剰な機密指定が恒常的に行われている例を発見するために、政府機関や職員による機密情報指定の決定を見直す責任制度(accountability system)が整備されているかどうか?
  • 過剰な機密指定が、情報共有にどの程度の害を与えているのか?
  • 機密扱いを解除するプロセスが有効であるかどうか?

GAOは2013年7月30日、Hunter下院議員及びMartha Roby下院軍事委員会の監視・捜査小委員会委員長(共和党、アラバマ州)からの要請を受け入れ、調査を開始すると回答した。

(White House News "The President signs H.R. 553, The Reducing Over-Classification Act" October 7, 2010;The Washington Post "Top secret clearance holders so numerous they include 'packers/craters'" June 12, 2013;Techdirt.com "How Overclassification Makes Secrets Less Likely to Remain Secret" June 19, 2013;The New York times "A Washington Riddle" What is 'Top Secret'?" August 3, 2013;Federation of American Scientists Secrecy News "Leaks Inspire GAO Review of 'Classification Inflation'" August 12, 2013)

 

 

 


注釈:

1: 2001年9月11日の多発テロ事件を調査した9/11委員会が2004年7月22日に発表した最終報告書。

2: 州政府・地方政府・部族政府・民間機関を支援するため、教材の提供やトレーニング計画の管理を担当。

3: 2013年6月12日付けのワシントン・ポスト紙によると、現在、約400万人が極秘情報(top secret)取扱許可を持っており、この内の約50万人が民間の契約職員であるという。また、冷却機や発電機、ボートや自動車等を国内外の搬送用に荷造りする梱包者でさえも極秘情報取扱許可を持っているという。

  

 


Top Page