NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2014年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

12月19日号

ARPA-E、メタン排出削減及びビルの省エネを目的とするプロジェクト22件に総額6,000万ドルの助成を発表

エネルギー省(DOE)のARPA-Eが12月16日、メタン排出の検出・測定を目的とするMethane Observation Networks with Innovative Technology to Obtain Reduction(MONITOR)、及び、建物の冷暖房に必要なエネルギーを削減する局所的な熱管理システム開発を目的とするDelivering Efficient Local Thermal Amenities(DELTA)という2つの新規プログラムの下で、22件の革新的なプロジェクトに6,000万ドルを助成すると発表した。

MONITORプログラムの焦点は持続可能なエネルギー未来を構築する為に、エネルギー生産に伴うメタン排出を削減することで、石油・天然ガスの生産・輸送に関連するメタン排出を検出・測定する低コストで感度の高いシステムを開発するプロジェクト11件に総額3,000万ドルを付与する。一方、局所的冷暖房システムと建物内の温度範囲を拡張する装置を開発するDELTAプログラムでは、ビル全体ではなく建物入居者に重点を置いて温度を調整する技術を開発するプロジェクト11件に3,000万ドルを拠出する。ARPA-Eが選定した22件のプロジェクトの概要は以下の通り:


MONITOR プログラム

  • Bridger Photonics社(モンタナ州ボズマン): メタンガス漏れ検出用の可動性ライダーセンサー(mobile LiDAR sensor)の開発 に対して約150万ドルのDOE助成金。

      迅速かつ精密にメタンを測定できるライダー(light-detection and ranging =LiDAR)センサーを開発するプロジェクト。新しい近赤外線ファイバーレーザーにより、高感度での長距離検出が可能となるほか、ライダーセンサーを多様なモバイルプラットフォーム(mobile platform)に配備することで、一日に複数の現場を調査でき、潜在的なメタンガス漏れ箇所に関する3次元の地形情報の作成が可能となる。

  • IBM社(ニューヨーク州ヨークタウンハイツ): メタンガス漏れ検出用の廉価なオンチップ光センサー(on-chip optical sensor)開発に450万ドル。

      天然ガス・システムからのメタンガス漏れ検出を向上させる為に、波長可変ダイオードレーザー吸収分光(tunable diode laser absorption spectroscopy =TDLAS)を使用する新型の廉価な光センサーを開発し、センサーを分散センサーネットワーク(distributed sensor network)に統合するプロジェクト。提案されているネットワークによって、メタンガス漏れの確認・数量化・発見にかかる費用の大幅削減が可能となる。

  • Rebellion Photonics社(テキサス州ヒューストン): メタン漏れ検出用の携帯用画像分光計(portable imaging spectrometer)開発に425万ドル。

      軽量で可搬型の長波長赤外線画像分光計を小型化するプロジェクト。クラウドベースのコンピューティングアーキテクチャが、画像に含まれた、メタンガス漏れを検知・解析する為の多重バンドのスペクトルデータを処理し、その結果をモバイル機器へと送信する。

  • Physical Sciences社(マサチューセッツ州アンドーバー):メタン漏れ検出用のUAV搭載レーザー分光(UAV-based laser spectroscopy)開発に約295万ドル。

      斬新な赤外後方散乱技術(infrared backscatter technique)を基にして、メタン検出システムを開発するプロジェクト。中赤外レーザーを活用した、多重モードで作動するメタン検出システムは小型UAVに取り付けられ、正確なメタンガス漏れ位置を継続的に空中から監視する。

  • Palo Alto Research Center(カリフォルニア州パロアルト): メタン漏れ検出用のカーボンナノチューブ・センサーの開発に約340万ドル。

      様々な改良カーボンナノチューブ(modified carbon nanotube)を利用して新しいプリンテッド・センサーアレイを開発し、それらをメタンガス漏れを数量化・発見可能なシステムに統合するプロジェクト。

  • Aeris Technologies社(カリフォルニア州レッドウッド・シティ): メタン漏れ検出用の小型波長可変レーザー分光計(miniaturized tunable laser spectrometer)の開発に240万ドル。

      天然ガス生産現場におけるメタンガス漏れを継続的にモニターする為、高度な分散モデル化と人工の神経回路網に基いた漏出定量化アルゴリズム(leak quantification algorithm)と中赤外センサーを組み合わせることによって、所要電力の少ない小型分光計を作成するプロジェクト。

  • LI-COR社(ネブラスカ州リンカーン): メタン漏れ検出用のキャビティモード分光計(cavity mode spectometer)の開発に270万ドル。

      特有のキャビティモード分光計をベースとしたメタン漏れ検出用の低コスト光センサーを開発するプロジェクト。高度なソフトウェア制御と簡便なハードウェア設計を使ってキャリブレーションの必要性を最小限に抑え、更には高価格な工学部品の必要性を排除することによって、コストを大幅に削減することが可能となる。

  • Maxion Technologies社(メリーランド州ジェサップ): メタンガス感知用の調整可能な中赤外レーザー(tunable mid-infrared laser)開発に約190万ドル。

      メタン排出を検知・数量化するシステムで使用する、低コストでかつ広範囲に調整可能な中赤外レーザー光源を開発するプロジェクト。現時点では高価格のレーザーでしかアクセス出来ない強力なメタン吸収領域での使用を目指し、オプティカル・メタンセンサーの感度と選択性(sensitivity and selectivity)を改善する。

  • General Electric社(ニューヨーク州ニスカユナ): メタンガス感知用の微細構造光ファイバー(microstructured optical fiber)の開発に約144万ドル。

      メタン排出を検知・数量化する赤外線分光システムの一部として使用する、斬新な微細構造光ファイバー(メタンに対する透過性を可能にし、長距離にわたって光を低損失で伝搬する微細構造設計を活用した中空な光ファイバー)を開発するプロジェクト。

  • コロラド大学(コロラド州ボールダー): 光周波数コムに基くメタンガス感知(Frequency comb-based Methane Sensing)の開発に約213万ドル。

      1キロメートルの距離でメタンガス漏れを検出する、低コストな光周波数コム・システムを開発するプロジェクト。天然ガス構成要素を高精度で正確にかつ安定して分光学的に確認できる光周波数コムを使った分光計で、メタンとエタンとプロパンを識別できるほか、メタンの異なる同位炭素を識別してメタン源が地質的に生成されたのか生物的に生成されたのかを区別することも可能となる。

  • デューク大学(ノースカロライナ州ダラム): メタンガス感知用の小型の符号化開口質量分光計(coded aperture mass spectrometer)開発に約294万ドル。

      メタンガス感知用の小型の符号化開口質量分光計を作成するプロジェクト。小型デバイスでの高い解像度とスループット(throughput)を可能にする符号化開口を使った分光計はメタン感知用に最適化され、生物的生成のメタン源と地質的生成のメタン源を区別する異なる同位体特性を持つメタンを識別することが可能となる。


DELTAプログラム

  • シラキューズ大学(ニューヨーク州シラキューズ): オフィスビルにおける居住快適性の為の熱調整法を一変させることになる、高効率のマイクロスクロール・コンプレッサー(micro-scroll compressor)を活用した微環境制御システム(Micro-Environmental Control System)を開発するプロジェクトに約320万ドル。

  • ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校(ニューヨーク州ストーニーブルック): 空気流の分布・速度・温度を調整可能なスマートな空調ベント(air conditioning vent)を開発するプロジェクトに約205万ドル。

  • コーネル大学(ニューヨーク州イサカ): 高度な織物技術と最先端のエレクトロニクスを融合して、快適さ・耐久性・洗浄可能性・外観・安全性を損なうことの無い、機能的なデザインの温度調節材料を開発するプロジェクトに約300万ドル。

  • スタンフォード大学(カリフォルニア州スタンフォード): 局所的温度管理を行う為、フォトニック構造(photonic structure)を繊維に統合するトランスフォーマティブな方法を開発するプロジェクトに約238万ドル。

  • カリフォルニア大学バークレー校(カリフォルニア州バークレー): 居住者の足・手・顔・胴体に効果的に局部的な団冷房を提供する為、オフィス・ワークステーション用に共鳴型無線電力伝送(resonant wireless power transfer)技術を開発するプロジェクトに約320万ドル。

  • メリーランド大学(メリーランド州カレッジパーク): オフィスで快適さを維持する皮膚の体温調整能力を助長する感熱応答性ファブリック(thermally responsive fabric)を開発するプロジェクトに約308万ドル。

  • Otherlab社(カリフォルニア州サンフランシスコ): 多材料から成る繊維の特有な微細パターンを独特の形状に組み込んだ、人工の温度順応性ある布地(thermally adaptive textile)を開発するプロジェクトに184万ドル。

  • カリフォルニア大学サンディエゴ校(カリフォルニア州サンディエゴ):ビル全体空調の必要性を排除又は削減する為に、ビル居住者が個人的に温度設定を調整して熱的快適性を助長することができる、温度応答性あるスマートファブリックを開発するプロジェクトに260万ドル。

  • SRI International社(カリフォルニア州メンロパーク): 安価なポリマー材料とマイクロスケールの冷暖房デバイスを組み合わせた、高効率の熱調整布地を開発するプロジェクトに約385万ドル。

  • カリフォルニア大学アービン校(カリフォルニア州アービン): 金属化マイラーやイカの外皮にヒントを得た可変色ポリマーといった材料の熱管理能力を活用して、体温調整ファブリックを開発するプロジェクトに240万ドル。

  • メリーランド大学(メリーランド州カレッジパーク): 居住者に必要に応じて個人的な空調を提供するため、小型で電池駆動の高効率蒸気圧縮ヒートポンプを搭載した空調装置を開発するプロジェクトに約259万ドル。

 

(Department of Energy News, "Department of Energy Announces 22 New Projects to Enable Emissions Reductions and Improve Energy Efficiency" December 16, 2014)

 

 

 


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