NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2014年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

7月15日号

「2014年R&D 100アワード」に選出された、エネルギー省の31の技術

R&D誌が2014年7月11日、この1年間に開発・市場投入された最も技術的に重要な100製品を表彰する国際コンペ「2014年R&D 100アワード(2014 R&D 100 Awards)」の勝者を発表した。1962年以来、毎年行われている「R&D 100アワード」は、通信、工学、光エネルギー物理学、材料化学、化学及びバイオテクノロジーといった幅広い分野において卓越した技術を評価するもので、今回の第52回目コンペでは、エネルギー省(DOE)の国立研究所が実施又は協力した31の技術が選ばれている。


アルゴンヌ国立研究所

  • 逐次浸透合成(sequential infiltration synthesis =SIS)リソグラフィー … ナノサイズのパターン製造に必要なステップ数を削減することによって、コスト削減とマイクロエレクトニクス製品の性能向上を可能にする新手法
  • 先進レドックスシャトル添加剤(Advanced Redox Shuttle Additive) … 電気自動車に使用されるリチウムイオン電池の過充電を防ぐ化学物質
  • 箱サイズのナノ製造所(NanoFab lab … in a box!) …ナノワイヤを創製する、靴箱ほどの大きさの研究所かつ印刷機。EChum Nanowires Educational Foundationとの協力で開発。


ブルックヘブン国立研究所

  • GammaScout … X線・Y線の存在と分布に関する詳細な分光学的・画像的情報を提供する、新型の小型放射線検出器。高麗大学校(Korea University)との協力で開発。 


アイダホ国立研究所

  • 先進電解質モデル(Advanced Electrolyte Model) … 電気化学電池(electrochemical cell)環境での電解質の動きの根底にある主要特性を予測・報告するソフトウェア
  • MOOSE(Multiphysics Object Oriented Simulation Environment) … 核燃料や原子炉の性能から、地下水や化学物質の移動に至るまでの現象を予測する為のソフトウェア


国立再生可能エネルギー研究所

  • 在来型エピタキシャル炉の100倍のスピードと半分のコストで、厚さ80ミクロン未満の単結晶シリコン太陽電池とモジュールを育成する方法を、Crystal Solar社と協力して実証。
  • HP Apollo 8000システム … 部品レベルで温水冷却をすることによって、スーパーコンピュータが発生する熱を消散させるシステム。ヒューレット・パッカード社との協力で開発。


ローレンス・バークレー国立研究所

  • バイオ燃料やバイオマテリアルの為の細胞特有細胞壁の操作(Tissue-Specific Cell-Wall Engineering for Biofuels and Biomaterials) … 食料やバイオ燃料、工業用高分子材料や医薬品の生産のために改良された作物を改善する一連の精密な遺伝的手段(genetic tool)
  • BioSig3D … 3次元の細胞培養モデルをハイコンテントスクリーニングする為の計算プラットフォーム(computational platform)で、主に、ガンが原因の異常組織の研究に使用。
  • バークレーラボ複合型化学分類マイクロアレイ(Berkeley Lab Multiplex Chemotyping Microarray) … 高性能なミクロ接触プリンティング技術と高品質の振動分光法・質量分析法の組み合わせで、有望なバイオ燃料用作物や微生物群の化学分析を迅速に行う手法


ローレンス・リバモア国立研究所

  • microTLC … 元々は軍用火薬の確認の為に開発された小型の可搬型キットを、違法薬物や農薬等の純度を確認する為に改良したもの。Field Forensics社との協力で開発。
  • 超伝導トンネル接合X線分析器(Superconducting Tunnel Junction X-ray Spectrometer) … シリコン半導体やゲルマニウム半導体を基盤とする現行の分析器よりもエネルギー分解能が10倍以上高い分光器。STAR Cryoelectronics社との協力で開発。
  • 極高出力の超低損失分散素子(Extreme-power Ultra-low-loss Dispersive Element =EXUDE) … 多数の小さなレーザーの光を結合して単一の高出力レーザー光を創るという新アプローチ。ロッキード・マーティン社及びAdvanced Thin Films社との協力で開発。
  • 収束研磨(Convergent Polishing) …材料の初期形状に拘わらず、平面や球状のガラスオプティックスを仕上げることが出来る新たな研磨方法。


ロスアラモス国立研究所

  • SAFIRE …油井の石油生産量をリアルタイムで正確に、かつ非侵襲的に推定するフローメーター。シェブロン・エネルギー技術社(Chevron ETC)及びGEメジャーメント&コントロール部門との協力で開発。
  • 音響波数スペクトロメータ(Acoustic Wavenumber Spectrometer =AWS) … 周期的な超音波励起と連続スキャン・センシングの使用によって、目に見えない構造上の特性や欠陥の画像を作り出す装置。


オークリッジ国立研究所

  • プラグイン・ハイブリッド電気自動車用の高性能炭化ケイ素ベースの充電器(High-Performance Silicon Carbide-based Plug-In Hybrid Electric Vehicle Battery Charger) … 市販の充電システムの10倍の電力密度を提供する炭化ケイ素装置を組み入れたオンボード充電技術。ARPA-Eのグラントを受け、Arkansas Power Electronics International社、アーカンソー大学、トヨタ北米先端研究所、Cree社との協力で開発。
  • 連続可変型直列リアクトル(Continuously Variable Series Reactor =CVSR)… 系統の電力潮流を調整する高出力磁気増幅器。SPX Transformer Solutions社及びテネシー大学との協力で開発。
  • コンピューティングシステムのカオス利用診断(Diagnosis Using the Chaos of Computing Systems =DUCCS) … 科学技術計算や天気予報及びウェブ上のデータ処理といった大きな計算問題に対処するシステムのコンポーネント欠陥を検出するソフトウェア。
  • 燃料効率の良いエンジン潤滑油の為のイオン液体耐磨耗添加剤(Ionic Liquid Anti-wear Additives for Fuel-efficient Engine Lubricants)… 軸受表面に、摩擦や磨耗を効率的に減らすナノ構造の保護膜を作るため、一般的な潤滑油にイオン液体を混合して利用する技術。GM研究開発センター、シェルグローバルソリューションズ、及びルーブリゾール社との協力で開発。
  • iSPM (Intelligent Software for Personalized Modeling of Expert Opinions, Decisions and Errors in Visual Examination Tasks) … 革新的な可視ダイアグラムと先駆的な解析ルールの組み合せによって、アナリストが医療診断のような目視検査任務を行うことを助けるソフトウェア。
  • 携帯用アルミニウム製膜装置(Portable Aluminum Deposition System =PADS) … 新開発のイオン液体電解質(ionic liquid electrolyte)と斬新な電解質塗布メカニズム(electrolyte dispensing mechanism)の利用により、製造業者がアルミめっきを開放的環境で安全かつ安価に行うことを可能にする技術。
  • RF-DPFディーゼル微粒子除去装置のセンサー(Diesel Particulate Filter Sensor) … フィルターに付着した汚染物質の量・種類・分布状況の測定に使われる、無線周波ベースのセンサー制御システム。Filter Sensing Technologies社及びマサチューセッツ工科大学との協力で開発。
  • Super-hydro-tunable HiPAS膜 … 蒸気/ガスのフェーズで選択的に分子を分離し、液体フェーズでの相分離を行うことができる新種の薄膜。分子を分離する蒸留プロセスに代わる、エネルギー効率のよい代替プロセスであり、バイオエタノールやエタノール-ガソリン混合燃料の価格低下に有用。


パシフィック・ノースウェスト国立研究所(PNNL)

  • Glyph … スクリーンがなく、使用者の眼底に光を投影する仮想網膜ディスプレイ(virtual retinal display)をバイザーに組み込んだ、ヘッドマウントのディスプレイ。軍用のほか、手術や仮想訓練等の多くの用途が期待される。Avegant社との協力で開発。
  • 太陽熱化学先進反応炉システム(Solar Thermochemical Advanced Reactor System =STARS) … 天然ガスや太陽光を、高エネルギー燃料である合成ガスに転換するシステム。DiverSolar社との協力で開発。
  • SALVI (System for Analysis at the Liquid Vacuum Interface) … 分子レベルでの固体-液体の相互作用についての正確な知識を得ることを目的に開発された分析機器で、リアルタイムで液体試料を撮像することが可能。


サンディア国立研究所

  • 三重項プラスチックシンチレーター(Triplet-Harvesting Plastic Scintillators =THPS) … 通関手続地で規制放射性物質の有無を調べる貨物検査を現行のシンチレーターよりも迅速で安価に行う新型のプラスチックシンチレーター。Radiation Monitoring Devices社及びドレクセル大学との協力で開発。
  • Goma 6.0 … 製造工程のシミュレーションに関心を持つ人が利用可能な、オープンソースのソフトウェア。Gillette/P&G、ドレクセル大学、グーグル、3M中央研究所、ニューメキシコ大学、及びPrism Software社との協力で開発。
  • BaDx …クレジットカード程の大きさの安価な炭疽菌検出カートリッジ(anthrax detector cartridge)。ニューメキシコ大学との協力で開発。

 

(Department of Energy News, 'U.S. Department of Energy Projects Win 31 R&D 100 Awards for 2014' July 11, 2014; R&D Magazine "2014 R&D 100 Award Winners' July 11, 2014)

 

 

 


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