NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2014年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

7月22日号

エネルギー省、分散型発電用の革新的技術開発を狙ったREBELSプログラムで13件のプロジェクトを選定

エネルギー省(DOE)のCheryl Martin ARPA-E局長代理が6月19日、低価格な分散型発電用のトランスフォーメショナルな燃料電池技術を開発することを目的とするReliable Electricity Based on Electrochemical Systems(REBELS)プログラムの下で、13件のプロジェクトに3,300万ドルを助成すると発表した。

現行の最先端燃料電池研究の焦点は概して、電力系統用の高温作動技術もしくは自動車用の低温作動技術のどちらかであるが、REBELSプロジェクトでは低価格の中温作動型燃料電池(Intermediate-Temperature Fuel Cells =ITFCs)に重点を置くことになる。ARPA-Eが選定した13件のプロジェクトの概要は以下の通り:

 

カテゴリーI:分散型発電システム用の中温作動型燃料電池(Intermediate Temperature Fuel Cells =ITFCs)

  1. Redox Power Systems社(メリーランド州フルトン):低温電解質型燃料電池(Low-Temperature SOFCs)の開発 に対して500万ドルのDOE助成金。
    摂氏400度という中温度で作動する一方で、高出力密度を維持し、より速いサイクリングが可能な燃料電池を開発するプロジェクト。従来不安定な酸化物材料を組み合わせて二重層の電解質コンフィギュレーションとすることで、安定性維持と出力密度向上を図る。目標とする燃料電池の起動時間は10分未満で、需要への反応が向上。


  2. SAFCell社(カリフォルニア州パサデナ): 固体酸型燃料電池(Solid Acid Fuell Cell =SAFC)スタック開発に370万ドル。
    貴金属触媒を殆ど必要としない、摂氏250度で作動するSAFCを開発するプロジェクト。カーボンナノチューブや有機金属骨格(metal organic framework)をベースとする新規触媒の開発によって、システム価格を大幅に削減。


  3. オークリッジ国立研究所(テネシー州オークリッジ): SAFCスタック用ナノコンポジット電極(Nanocomposite Electrodes for a Solid Acid Fuel Cell Stack)の再設計に275万ドル。 
    表面積を激大させる、非常に多孔質な炭素ナノ構造体を使って、摂氏250度で作動する燃料電池電極を再設計するプロジェクト。更に、システムレベルでのコストを削減する為、燃料電池と連動して作動するように既存の燃料処理装置(fuel processor)を低温で効率よく機能するように改良。


  4. United Technologies Research Center(コネチカット州イーストハードフォード): 担持金属プロトン伝導性電解質型燃料電池スタック(Metal Supported Proton Conducting Solid Oxide Fuel Cell Stack)開発に320万ドル。 
    住宅の暖房装置と電力システムを単一ユニットに組み合わせる、家庭用の中温作動型燃料電池を開発するプロジェクト。中温(で使用可能な)電解質の利用によって、摂氏500度での作動が可能になるほか、新設計の電池構造でシステム効率が向上。


  5. Colorado School of Mines(コロラド州ゴールデン): フレックス燃料のプロトン伝導セラミック型燃料電池スタック(Fuel-Flexible Protonic Ceramic Fuel Cell Stack)の開発に100万ドル。
    燃料電池が摂氏500度以下の温度で作動することを可能にする、プロトンと酸素イオンを混合した伝導性電解質を開発するプロジェクト。同研究チームはまた、製造手順を15から3に削減して燃料電池製造のコストと複雑性を低下させる、先頃開発されたばかりのセラミック加工技術を活用する。


  6. Georgia Tech Research Corporation(ジョージア州アトランタ): メタンの効率利用に適した燃料電池(Fuel Cell Tailored for Efficient Utilization of Methane)の開発に100万ドル
    ナノ構造物質をセルの全構成要素に統合することによって、摂氏500度以下の温度で作動する燃料電池を開発するプロジェクト。同研究チームは、メタンを直接処理する電極を製造し、システムの性能を犠牲にすることなくセル温度を低下させるナノコンポジット電解質を開発する。


  7. Palo Alto Research Center(カリフォルニア州パロアルト): 改質装置のない燃料電池(Reformer-less Fuel Cell)の開発に150万ドル。 
    多様な炭素系燃料を利用できる中温作動型燃料電池を開発するプロジェクト。ほぼ全ての燃料と直接反応できる形態にして酸素を輸送する、新型の電解質膜系(electrolyte membrane system)によって、別個の燃料加工システムの必要性を排除し、全体コストを低減。更に、同研究チームの燃料電池は摂氏200〜300度という比較的低温で作動することから、既存の高温型燃料電池に付随する長期耐久性の問題を回避。




カテゴリー2: 負荷追従中温作動型燃料電池(Load-Following Intermediate Temperature Fuel Cells)

  1. SiEnergy Systems社(マサチューセッツ州ケンブリッジ): 燃料電池・バッテリーハイブリッド電気化学システム(Hybrid Fuel Cell-Battery Electrochemical System)の開発に265万ドル
    セルが燃料電池とバッテリーの両方の機能を果たすことを可能にする多機能電極を使用したハイブリッド電気化学システムを開発するプロジェクト。燃料電池モードでは、炭化水素燃料から直接に電気を生成し、バッテリーモードでは、電気需要の変化に迅速に対応する貯蔵容量を提供。


  2. カリフォルニア大学ロサンジェルス校(カリフォルニア州ロサンジェルス): 動的応答能力を有する燃料電池(Fuel Cells with Dynamic Response Capability)の開発に100万ドル
    付加追従能力を増大する為にバッテリーの様な機能もする、安価な中温作動型燃料電池を開発するプロジェクト。エネルギー貯蔵能力とサイクリング安定度に優れた金属酸化物電極材料(metal-oxide electrode materials)を使うことで、触媒作用が高まり、全体コストが低減。


  3. サウスカロライナ大学(サウスカロライナ州コロンビア): 二重機能のセラミック系燃料電池エネルギーシステム(Bi-functional Ceramic Fuel Cell Energy System)の開発に320万ドル。
    高効率で発電と電力貯蔵の二重機能を果たす、中温作動型のセラミックベース燃料電池を開発するプロジェクト。新発見のセラミック系電解質とナノ構造電極を統合するデバイスは、バッテリーのように電荷を貯蔵する鉄ベースの層を持ち、これによって電気需要の変化に迅速に対応。


      

カテゴリー3: 液体燃料を生産する中温作動型燃料電池(Liquid Fuel-Producing Intermediate Temperature Fuel Cells)  

  1. アルゴンヌ国立研究所(イリノイ州アルゴンヌ): 天然ガスを電気と液体燃料に変換するハイブリッド燃料電池システム(Hybrid Fuel Cell System for Converting Natural Gas to Electricity and Liquid Fuels)の開発に200万ドル
    発電と液体燃料生産の双方を行うハイブリッド燃料電池技術を開発するプロジェクト。同研究チームが開発する燃料電池は、在来型燃料電池の機能に加えて、天然ガスを使ってエチレンを生成し、これを液体燃料や高価格化学物質へと転換することが可能。

  2. Materials & Systems Research社(ユタ州ソルトレークシティ): 電力・液体燃料を柔軟に併給する発電セル(Electrogenerative Cells for Flexible Cogeneration of Power and Liquid Fuel)の開発に280万ドル。
    天然ガスをワンステップで電気化学的に電気や液体燃料へ変換できる、中温作動型燃料電池を開発するプロジェクト。電極は、触媒をより効率的に使用するように設計し、燃料電池は大量生産へ容易にスケールアップできるコスト効率的プロセスを使って作成。

  3. FuelCell Energy社(コネチカット州ダンブリー): 中温作動型燃料電池で生成される液体燃料と電力(Liquid Fuels and Electricity from Intermediate-Temperature Fuel Cells)の開発に350万ドル。
    先端金属触媒を使って、メタンガスをメタノール他の液体燃料に直接転換する中温作動型燃料電池を開発するプロジェクト。メタンからメタノールへの転換反応の収率(yield)・選択性(selectivity)向上の為に金属触媒を最適化するほか、セルを連続行程で製造する為に新たな反応性スプレー堆積技術(reactive spray deposition technique)を使用。 

     

(ARPA-E News, "ARPA-E Announces 13 New Projects at New York Energy Week" June 19, 2014) 

 


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