(2003/1/28)

2003年の主要米国企業のR&D見通し

2003年1月28日
NEDOワシントン事務所

2001年以降、ITバブル崩壊もあり米国経済は低迷しているが、その様な中で米国主要企業のR&Dに対する基本的取組み姿勢はどのように変化しているのであろうか。

直近の民間企業のR&D投資のトレンドについては、ほとんどデータもなく分析は困難であるが、米国の主要大企業2百数十社が参加する業界団体であるIRI(Industrial Research Institute)が、毎年会員企業に対して行っている、今後のR&D投資についてのアンケート結果が先般公表されたこともあり、その結果及びArmbrecht会長へのインタビューも交え、2003年における米国企業のR&Dの見通しについて紹介する。

 

1. 売上高R&D比率低下の中での“R&Dの価値と効率性の追求“

R&Dは競争力の源泉であるとして、2002年までは各企業ともその絶対額は削減したとしても、売上高R&D比率は何とか維持していた。しかし、2003年には、その売上高R&D比率も低下するものと見込まれている。

一方で、類似の目標を有する企業・組織との提携を強化することにより、自ら投資した“R&Dの価値と効率性を最大限に高め、より効果的(effective)なもの”にしょうとする流れにある。

また、R&D関連の人員は、既存人材の大幅な削減、新規採用の抑制を進めるとしており、少ない人間で多くの成果を求める傾向にある。

 

2.丸投げ型アウトソ-シング方式の見直しと提携関係の構築

外部企業に対するR&Dのアウトソーシングを減少させる一方、Joint Venturingや大学・政府研究所との協力を拡大する傾向にある。これは、自社の戦略やIPの管理の面からR&Dをコントロールが可能なようにしたいという意思の表れ。

他人がR&Dをやり、その成果を利用する“丸投げ型のアウトソース”ではなく、絞り込んだ分野において自ら主体的にR&Dを行うものの、提携関係の下で他社の研究成果もうまく取り込んで製品化に繋げて行く方向にシフトしつつあると見ている。これは、アウトソースに伴い発生する問題であるR&Dの管理や品質保証に関連する問題を避けることが出来ることが要因ではないか。

また、技術ライセンシングの動きは低下傾向にあるものの、依然、新たなイノベーションのために外部の能力をうまく使おうというニーズは強い。単なるライセンシングではなく別の方策へと進んで行くのではないか。

 

3.R&Dから“Acquire&Develop”そして“Connect&Develop”へ

これは昨年からのトレンドであるが、国立研究所や大学との連携の強化の方向が強まっている。ちまたでは、政府研究所と共同研究や連携を進めるのは手続が面倒であるという指摘が多く聞かれるが、背に腹は変えられない状況に至りつつあるのではないか。

いずれにしても、従来のやり方ではなく、コストシエア方式の利用等、新たな協力形態を模索している状況。

“Research&Develop”の時代から、ベンチャー企業がシーズを生み出し大企業がそれを刈り取りIntegratesするという“Acquire&Develop”の時代に変化してきており、さらには提携関係の構築を通じ“Connect&Develop”の方向に変化しつつあるのではないか。

 

4.R&Dの選択と集中

全体としては、売り上げ高R&D比率はやや減少傾向にあるが、その内容を見ていくと、既存事業や目的基礎研究に割くR&D支出は減少する中で、新規事業へのR&D投資は着実に拡大するとしている。さらに、中でも外部に対する“技術サービス”関連のR&Dの割合が拡大している。これはR&Dから短期的成果を期待するものであり、企業収益に直接的に役に立つものと考えられている。

直接的にはR&D支出ではないが、90年代終わりには高株価を背景として、R&D戦略もなくCFOが金にものを言わせてむやみやたらにM&A、Ventureへの投資を拡大させてきたが、ここに来て見直しが進められており、アウトソースも含め“R&Dの選択と集中”を進める動きになっている。

R&D Trends Forecast (Sea Change Index;%)

2000
2001
2002
2003

l. Total company expenditures on R&D

0
5
-4
-15

2. Capital spending for R&D operations

4
3
-17
-18

3. Relative distribution of R&D costs:
a) Support of existing business
b) Directed basic research
c) New-business projects

 
-20
-9
34
 
-10
-21
44
 
-6
-11
30
 
-24
-21
7

4. R&D professional personnel

-3
-2
-4
-22

5 .Hiring new graduates

-5
2
-16
-14

6. Outsourcing R&D to other companies

11
11
-6
-8

7.Licensing technology from others ($ volume )

10
4
-0
-2

8. Licensing technology to others ($ volume )

20
10
17
8

How wil12003 compare to 2002
9a. Targeted R&D/sales ratio
9b. Grants, contracts, etc. for university R&D
9c. Participation in consortia for
 pre-competitive university research
9d. Contacts with federal laboratories
9e. Participation in alliances
 and joint R&D ventures
9f. Acquisition of Technology capabilities
 through M&A
9g. New Spin-Offs based on developed technology
9h. Outside-customer tech-service efforts
 relative to total R&D (time or $)

 
N/A
8
-14

-9
40

N/A

N/A
-19
 
-1
3
-12

-13
40

33

19
-6
 
-5
-1
-19

-8
33

35

19
-3
 
-8
12
0

28
49

18

20
18

出典;IRI R&D Trends Forecast for 2003

(注)Sea Change Index;

5%以上の増加・上昇という返答をした企業の割合から、何がしかの低下・減少という返答をした企業の割合を差し引いたもの。


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