米国の包括エネルギー政策法

 

NEDOワシントン事務所
松山貴代子
2005年8月8日

米国の『2005年エネルギー政策法(Energy Policy Act of 2005)』がブッシュ大統領の署名をもって終に成立した。2005年8月8日にニューメキシコ州のサンディア国立研究所で行われた署名式典でブッシュ大統領は、この法令によって米国の経済成長、環境改善、国土安全保障が推進すると称賛した。

米国議会には、1999年から2000年にかけての石油・天然ガス価格の高騰、及び、2000年終盤から2001年初旬にかけてのカリフォルニア州での電力危機があいまって、『1992年エネルギー政策法(Energy Policy Act of 1992)』よりも更に包括的なエネルギー法案を作成しようとする機運が高まっていた。このため、2001年1月20日に第43代大統領に就任したブッシュ大統領もエネルギー問題を重視し、チェイニー副大統領を議長とする閣僚レベルのエネルギータスクフォースを新設するに至っている。ブッシュ大統領がチェイニー副大統領をタスクフォースの議長に任命したことから推察して、新たなエネルギー政策策定は発足当初のブッシュ政権にとって優先事項の一つであったと言っても過言ではない。

2001年5月17日に発表された、エネルギータスクフォース策定の『国家エネルギー政策(National Energy Policy)』は、国内エネルギー生産の増大による輸入原油依存度の軽減を柱とするものであったため、ブッシュ政権案を支持する共和党と再生可能エネルギー・エネルギー効率改善を重視すべしという民主党の間で意見はほぼ二分することとなった。共和党多数の下院が作成・可決したエネルギー法案がブッシュ政権提案に類似していたのに対し、共和党と民主党の議員数が拮抗する上院が作成・可決したエネルギー法案は民主党側政策の色が幾分濃い内容であったため、上下両院協議会でのすり合せは難航した。

しかしながら、二党制の米国議会では上下両院協議会での取り纏めが難航することは珍しいことではなく、大統領が成立を強く望む法案の場合には、両党の妥協点を見出すためにホワイトハウスが積極的に調整役として関与することもある。チェイニー副大統領の指揮下で新たなエネルギー政策を策定するという意気込みを見せたブッシュ政権であったが、2001年9月11日の同時多発テロは行政府の優先事項を大きく変え、それ以降のフォーカスは国土安全保障一辺倒となっていた。ところが、再選を成し遂げて二期目に入ったブッシュ大統領は、ガソリン価格の高騰、および、その経済的影響に対する懸念が高まっている今こそが、包括エネルギー法案可決を議会に促す最高の機会であると判断したのか、2005年2月2日の大統領年頭教書演説を皮切りに、記者会見や会合の場を利用してエネルギー政策成立の必要性を主張し、議会に対して派閥闘争を乗り越え、8月の議会休会までに包括エネルギー法案を可決するよう再三に亘って呼びかけていた。2005年7月14日から始まった上下両院協議会では、上院可決が困難と見られる条項(ガソリン添加物MTBEの免責条項や北極圏野生生物保護区域(ANWR)の石油・天然ガス掘削解禁)、および、下院可決の危うい条項(発電所に対する再生可能エネルギー使用基準(RPS)や2015年の日間石油需要100万バレル削減)等を次々と削除し、意外とも言えるスピードで妥協案を7月26日に完成させている。

ここでは、2005年4月21日に可決された下院のエネルギー法案;同6月28日に可決された上院案;同7月26日に上下両院協議会が合意し、下院が7月28日に、そして上院が7月29日に可決し、本日8月8日に大統領の署名で法制化された2005年エネルギー政策法の主な条項を比較対照する。

 

下院案、上院案、上下両院協議会妥協案(2005年エネルギー政策法)の比較

下院案

上院案
上下両院協議会妥協案

(2005年エネルギー政策法)

I. エネルギー効率化

a) 低所得家庭エネルギー支援計画に2005年度から2007年度まで毎年51億ドル、また、この3年間で耐候支援計画に18億ドルを認可。

b) 冷暖房のためにソーラーパネル等の再生可能エネルギー装置を取り付けた家庭やビジネスへのリベートとして4ヵ年で10億ドルを認可。

c) 夏時間の施行期間を2ヶ月延長。

d) 連邦政府に、再生可能エネルギーと燃料電池技術の使用率を2012年までに7%まで引き上げるよう義務付ける。

e) 連邦政府が2006年度以降調達する車両の少なくとも75%が代替燃料車であることを義務付ける。

I. エネルギー効率改善

a) 低所得家庭エネルギー支援計画に2005年度から2007年度まで毎年34億ドル、また、耐候支援計画に3年間で12億2,500万ドルを認可。

b) 省エネルギー啓蒙キャンペーンに2006年度からの5年間で4億5,000万ドルを認可。

c) Energy Star製品購入者にリベートを提供する州政府のエネルギー使用合理化家電製品プログラムに、2006年度からの5年間で2億5,000万ドルを認可。

d) DOEに、天井扇・冷蔵庫・自動販売機・除湿機・空調機・信号といった多様な家電製品や電子機器の省エネ基準の改正を義務付け。

e) 大統領に、2015年における日間石油需要を100万バレル削減する方策を策定・実施するよう義務付ける。

I. エネルギー効率改善

* 低所得家庭エネルギー支援計画に2005年度から2007年度まで毎年51億ドル、また、この3年間で耐候支援計画に18億ドルを認可。

* 夏時間の開始日を3月第2日曜日、終了日を11月第1日曜日に変更。

* 連邦政府に、再生可能資源の調達率を2007年度で最低3%とし、2013年度までにこれを7.5%まで増大するよう義務付け。

* 内務省・商務省・農務省に、実行可能な限りでハイブリッド車やその他の高燃費自動車の使用を義務付け。

* 省エネ啓蒙キャンペーンに2006年度からの5年間で4億5,000万ドルを認可。

* Energy Star製品購入者にリベートを提供する州政府のエネルギー使用合理化家電製品プログラムに、2006年度からの5年間で2億5,000万ドルを認可。

* DOEに、天井扇・冷蔵庫・自動販売機・除湿機・空調機・信号といった多様な家電製品や電子機器の省エネ基準の改正を義務付け。

* 上院案の e) は削除。

II. 再生可能エネルギー

a) ソーラー、風力、地熱、バイオマスに生産税控除を提供する再生可能エネルギー生産インセンティブを再認可し、インセンティブ対象を拡大して埋立地ガスも含める。

b) 連邦政府に再生可能エネルギーの利用拡大(2013年の目標値7.5%以上)を指示。

II. 再生可能エネルギー

a) ソーラー、地熱、バイオマス、メタン、波力、その他再生可能燃料の利用を推進するインセンティブを認可。

b) 連邦政府に再生可能エネルギーの利用を2012年までに8%以上にするよう指示。

c) 再生可能燃料(主としてエタノール)の使用量を2012年までに年間80億ガロンまで増加。

d) 発電所に対し、2020年までに電力の最低10%を再生可能エネルギー資源で賄うよう義務付け。

e) 植物や都市ゴミからエタノールを抽出する実証プロジェクトに最高2億5,000万ドルの貸付保証。

f) MTBE生産施設を他用途に変えるため、4年間で10億ドルを認可。

g) ガソリン添加物としてのMTBE利用を法案成立後4年で禁止。

II. 再生可能エネルギー

* ソーラー、風力、地熱、海洋、クローズドループ型バイオマス、および、埋立地ガスと家畜由来メタン利用のエネルギー生産を推進するインセンティブを認可。

* 2013年までに、連邦政府の年間電力消費量の少なくとも7.5%を再生可能エネルギーにするよう指示。

* 上院案の c) f) g) は「XV. エタノールおよび自動車用燃料」へ移行。

* 上院案の d) e) は削除。

III. 石油と天然ガス

a) 戦略石油備蓄を現在の7億バレルから10億バレルに拡大。

b) LNGターミナルの立地決定権限を連邦エネルギー規制委員会(FERC)に付与。

c) FERCを、石炭のガス化または液化施設の建設や拡張を認可するリード機関とする。

d) 失業率が全国平均より10%以上高く、製造業部門で大量な一時解雇を経験し、使用されていない精製所がある地域を率先して、精製所再活性化地区に指定するようDOE長官に指示。

e) 天然ガス市場の偽報告や詐欺に対する罰則を強化。罰金を現行の5,000ドルから100万ドルに、刑期を2年から5年に引き上げ。

III. 石油と天然ガス

a) 戦略石油備蓄を10億バレルまで拡大。

b) 沿岸や州政府海域におけるLNGターミナルの立地、建設、拡張に関する決定権限をFERCに付与。 但し、安全性や非常時対応といった問題に関して、運輸省や国土安全保障省、FERCや沿岸州の州知事と最低3回のフォーラムを開催するようDOE長官に指示。

c) 石油と天然ガス開発への国有地リース管理を改善するため2010年度まで年間6,000万ドルを認可。

d) 国有地にある廃井の再利用、浄化、または、閉鎖に2006年度から2010年度まで年間2,500万ドルを認可。

e) 連邦管轄大陸棚(Outer Continental Shelf = OCS)で石油と天然ガス資源のマッピングを行い、資源評価をするよう内務省に指示。

III. 石油と天然ガス

* 戦略石油備蓄を10億バレルまで拡大。

* LNGターミナルの立地、建設、拡張に関する決定権限をFERCに付与。 但し、安全性や非常時対応といった問題に関して、運輸省や国土安全保障省、FERCや沿岸州の州知事と最低3回のフォーラムを開催するようDOE長官に指示。

* 石油と天然ガス開発への国有地リース管理を改善するため2010年度まで年間6,000万ドルを認可。

* 天然ガス市場の偽報告や詐欺に対する罰則を強化。罰金を現行の5,000ドルから100万ドルに、刑期を2年から5年に引き上げ。

* 内務省と農務省に、国有地の石油・天然ガス廃井の再利用・修復・閉鎖計画の策定を義務付け、DOEには州や民間所有地の石油・天然ガス廃井に起因する問題解決で州政府に技術的・財政的支援を提供する計画の設定を義務付け。こうした計画に2006年度からの5年間、年間2,500万ドルを認可。

* OCSで石油と天然ガスの資源調査・分析を行い、報告書を作成し、少なくとも5年毎にそれを更新するよう内務省に指示。

* 下院案の d) は削除。

IV. 石炭

a) 大統領のクリーンコール発電イニシアティブに2006年度から年間2億ドル、9年間で18億ドルを認可。

b) 認可額18億ドルの内の最低60%を石炭ガス化技術に、残りの40%をガス化以外の石炭技術プロジェクトへ配分。

c) DOEとの共同合意の下で建設される試験的発電所の所有者に貸付金を提供するため、DOE長官に1億2,500万ドルを認可。

IV. 石炭

a) 大統領のクリーンコール発電イニシアティブに9年間で18億ドルを認可。

b) 内、80%は石炭ガス化技術プロジェクトに計上され、残りの20%がその他のクリーンコールプロジェクト支援に充当。

c) 石炭開発に課せられた160エーカーという国有地リース面積制約を撤回。

IV. 石炭

* 大統領のクリーンコール発電イニシアティブに2006年度から年間2億ドル、9年間で18億ドルを認可。

* この内、70%を石炭ガス化技術に、残りの30%をその他のクリーンコールプロジェクトに配分。

* DOE長官は、DOEとの共同合意の下でアラスカ州ヒーリーに建設されるクリーンコール技術施設の所有者に対して最高8,000万ドルのローンを提供。

* 石炭開発に課された160エーカーという国有地リース面積の制限を撤回。 

VI. 原子力

a) プライス・アンダーソン法を2025年まで延長。原発運営者のライアビリティを6,300万ドルから9,580万ドルに引上げ。但し、年間の支払額には1,500万ドルの上限を設定。

b) 先進原子炉技術開発に10年間で13億ドルを認可。

c) 水素コジェネ原発の設置に5年間で11億ドルを認可。

d) DOE長官は原子力発電廃炉パイロット計画を設置する。同計画の実施予算として1,600万ドルを認可。

e) ホワイトハウスと原子力規制委員会(NRC)にはテロが原子炉へもたらしうる脅威を評価するよう義務付け、NRCには原子力発電所のライセンス発行前に国土安全保障省と相談するよう指示。

f) 国務省がテロ支持国と考える国への核材料や核装置の輸出を禁止。

VI. 原子力

a) プライス・アンダーソン法を2023年まで延長。原発運営者のライアビリティを6,300万ドルから9,580万ドルに引上げ。但し、年間の支払額には1,500万ドルの上限を設定。

b) 水素コジェネ原発の設計と建設に5年間で13億ドルを認可。

c) 先進炉の新プロジェクトに対する直接貸付、貸付保証、非常時の遅滞保証や利子保証等を拡張する権限をDOEに認可。

d) ホワイトハウスとNRCにはテロが原子炉へもたらしうる脅威を評価するよう義務付け、NRCには原子力発電所のライセンス発行前に国土安全保障省と相談するよう指示。

e) 国務省がテロ支持国と考える国への核材料や核装置の輸出を禁止。

VI. 原子力

* プライス・アンダーソン法を2025年まで延長。原発運営者のライアビリティを6,300万ドルから9,580万ドルに引上げ。但し、年間の支払額には1,500万ドルの上限を設定。

* 次世代原子力発電所プロジェクトに2006年度から10年間で13億ドルを認可。

* 既存原子力発電所で水素を製造する実証プロジェクト2件に1億ドルを認可。

* DOE長官は原子力発電廃炉パイロット計画を設置する。同計画の実施予算として1,600万ドルを認可。

* ホワイトハウスとNRCにはテロが原子炉へもたらしうる脅威を評価するよう義務付け、NRCには原子力発電所のライセンス発行前に国土安全保障省と相談するよう指示。

* 国務省がテロ支持国と考える国への核材料や核装置の輸出を禁止。

* 規制手続きや訴訟の遅れで先進原子力発電所が被るリスクを軽減するため、規制リクス保険プログラムを設置。具体的には、原子力規制委員会(NRC)の検査・テスト・分析等の見直し・承認スケジュール未遵守、又は、訴訟によって原子力発電所のフル運転が遅れた場合、その遅延に係るコストをリスク保険プログラムでカバーする。

VII. 自動車および燃料

a) 連邦政府が所有するdual-fuel車に代替燃料の使用を可能な限り義務付け。

b) 既存のディ―ゼル・スクールバスに新型の汚染抑制技術を取り付ける計画に2005年度からの3年間で1億ドル、旧型スクールバスをクリーン代替燃料バスや硫黄含有の少ない燃料自動車に買換えるグラントとして3年間で2億ドルを認可。

c) 州政府・地方政府の代替燃料車・燃料電池車・ハイブリッド車他調達にグラントを提供する、先進自動車計画に3年間で2億ドル認可。

d) 航空機用超高効率エンジン技術の開発で、DOEと米航空宇宙局(NASA)に5年間で2億2,500万ドルを認可。

VII. 自動車および燃料

a) 連邦政府が調達・所有するdual-fuel車に代替燃料の使用を可能な限り義務付け。

b) 連邦政府による定置型および移動体用燃料電池の調達に2006年度からの5年間で3億4,500万ドルを認可。

c) 燃料電池自動車調達を奨励する連邦-州政府共同プログラムの設置に2006年度からの3年間で1億500万ドルを認可。

d) 航空機の燃費改善技術の開発で、DOEとNASAに5年間で3億ドル認可。

 

 

VII. 自動車および燃料

* ハイブリッド自動車や先進ディーゼル車の国内生産を推進するDOEプログラムを設置する。2006年度から2015年度までの予算は、必要に応じてDOE長官が計上することを認可。

* 連邦政府が調達・所有するdual-fuel車に、代替燃料の入手不能時や法外なコスト高騰時を除き、代替燃料の使用を義務付け。

* 連邦政府による定置型、移動体用、および、超小型携帯用燃料電池のリースや調達に2006年度からの5年間で3億4,500万ドルを認可。

* クリーン・スクールバス計画の下で、既存のスクールバスの買換えや改良を行うため、2006年度と2007年度のグラントとして1億1,000万ドルを認可。

* 州政府・地方政府の所有車両近代化・ディーゼルトラック改良プログラムに2006年度から3年間で1億ドル。

* 航空機用の超高効率エンジン技術の開発で、DOEとNASAに2006年度からの5年間で2億5,000万ドルを認可。

* 全米5地域で最大25台の燃料電池バスの実証を行うため、2006年度からの5年間で5,000万ドルを認可。

VIII. 水素

a) 水素の製造・貯蔵・利用・配送および燃料電池の研究開発実証に2006年度からの5年間で40億4,600万ドルを認可。

b) DOE長官は、水素供給インフラが間もなく整う4地域に資金を提供して、水素燃料バス技術の進展を図る。

c) 水素自動車の2020年実用化を目指すと同時に、水素燃料の安全供給に必要なインフラを整備する新プログラムを開始。

VIII. 水素

a) 2010年度までの5年間で、水素供給技術の研究開発に10億6,000万ドル、水素供給および燃料電池実証計画に13億ドル、燃料電池研究開発に8億6,000万ドルを認可。

b) 燃料電池自動車や水素エネルギーシステム、および、定置型燃料電池に関連する安全基準のタイムリーな開発を支援。

VIII. 水素

* 水素と燃料電池プログラムに2006年度から5年間で33億ドルを認可。内訳は、水素の製造・貯蔵・配送に10億6,000万ドル;燃料電池技術に8,600万ドル;実証計画および新計画必要条件の確認に13億ドル;基準や標準の開発支援に3,800万ドル。

* DOEに、水素自動車の2020年実用化を可能にするR&D計画の実施を認可。および、水素自動車実用化に不可欠なインフラを2020年までに整備。

* 水素のインフラや安全性や基準に焦点をあてた省庁間タスクフォースの設置。

* 下院案の b) は変更され、「VII. 自動車および燃料」へ移行。

IX. 研究開発

a) DOE科学部の核融合、科学的演算、システムバイオロジーの研究に5年間で237億ドルを認可。

b) エネルギー効率改善研究に5年間で40億ドル。内、14億ドルが自動車燃費改善に、8億3,000万ドルはビルディングのエネルギー効率化、7億1,500万ドルが産業部門のエネルギー使用合理化研究に配分。

c) バイオエネルギーやソーラー、風力や地熱エネルギーといった再生可能エネルギー資源に5年間で39億ドル認可。

d) 石炭、石油、天然ガス技術を含む化石エネルギー研究に5年間で31億ドルを認可。

e) 先進燃料リサイクル計画、大学核科学工学支援、大学-国立研究所協力、原子力2010プログラム、第4世代原子力発電イニシアティブといった原子力R&Dに5年間で22億5,000万ドルを認可。更に、次世代原子力発電所の設計・建設に5ヵ年で7億5,000万ドル、実証施設用の原子炉建設活動に5億ドルの計上を認可。

IX. 研究開発

a) DOE科学部に2006年度からの3年間で100億ドルを認可。内、11億ドルは核融合エネルギーに、2億6,500万ドルは核融合実験炉の建設に充当。

b) 省エネ・エネルギー使用合理化技術のR&Dに3年間で26億ドル。

c) バイオエネルギーや高密度太陽といった再生可能資源R&Dに同上の3会計年度で20億ドル認可。

d) 化石燃料R&Dに3会計年度で18億ドルを認可。

e) 分散型エネルギーシステムのR&Dに3年間で7億2,000万ドル。

f) 原子力R&Dに2006年度からの3年間で12億ドルを認可。

IX. 研究開発

* DOE科学部に2007年度からの3年間で139億ドルを認可。内、11億ドルは核融合科学R&Dへの計上。

* 省エネ・エネルギー使用合理化技術のR&Dに同じく3年間で26億ドルを認可。

* 水素を含む再生可能エネルギー技術R&Dに2007年度から3年間で22億ドルを認可。この内の7億3,800万ドルがバイオエネルギーR&Dに、5億9,000万ドルがソーラーR&Dへ計上。

* 化石エネルギー技術R&Dに3年間で19億ドルを認可。

* 分散型エネルギーシステムR&Dに同じ3年間で7億6,800万ドル。

* 原子力技術R&D(原子炉での水素生成も含む)に3年間で12億ドル。

X. エネルギー省のマネジメント

a) DOEの原子力ミッションに関しては、次官補レベルがリーダーシップを取るべきであるという「下院見解」。

X. エネルギー省のマネジメント

a) DOE長官の科学技術アドバイザー役をはたす、エネルギー・科学担当次官職を新設。

b) 科学局長を科学担当次官補に格上げし、原子力問題担当の次官補職を新設。

c) 技術移転作業部会(Technology Transfer Working Group)を新設。

d) DOEの応用研究・開発・実証・商用化に計上される年間予算の0.5%を、技術実用化基金(Technology Commercialization Fund)に充当。

X. エネルギー省のマネジメント

* DOE長官の科学技術アドバイザー役をはたす、エネルギー・科学担当次官職を新設。

* DOEの国立研究所や研究施設の代表者から成る技術移転作業部会を新設。

* DOEの応用研究・開発・実証・商用化に計上される年間予算の0.9%を、技術実用化基金に充当。

* 下院案の a) と上院案の b) は削除。

XII. 電力関連

a) 既存の公益事業持株会社法(PUHCA)義務要件を撤回し、代わりに連邦政府や規制担当者による帳簿や記録の検査を実施することにより、電力部門への投資を促進。

b) 送電システムの効率・信頼性向上を推進する包括的R&D計画に5年間で1億4,000万ドルを認可。

c) オープンアクセスを提供することにより、送電網の信頼性を改善。

d) FERCにインセンティブ・レートの規定策定を指示することによって、送電線のキャパシティや効率改善への投資を推進。

e) 電力会社の合併に関するFERCの権限を拡大。

XII. 電力関連

a) PUHCAを撤回。

b) 送電施設のために、所有者の意思に反して民間所有地を得る公用徴収権(eminent domain)をFERCに付与。

c) 市場操作に対する刑罰を、現行の1件5,000ドルから100万ドルに強化。

d) 人口1万人未満の地域における電気使用の近代化および向上を図るグラントに7年間で1億4,000万ドルを認可。

e) 1,000万ドル以上の合併や整理統合を行う電力会社にFERCの許可を義務付け。

XII. 電力関係

* 1935年PUHCAを撤回。代わりに連邦政府や規制担当者による帳簿や記録の検査を実施することにより、電力部門への投資を促進。

* 送電線立地許可の獲得者が土地所有者と合意に至らない場合、所有者の意思に反して民間所有地を得る公用徴収権(eminent domain)の発行を連邦裁判所または州裁判所に求めることを認可。

* 市場操作に対する刑罰を、現行の1件5,000ドルから100万ドルに強化。

* オープンアクセスを提供することにより、送電網の信頼性を改善。

* 先進技術使用の発電を奨励するため、キロワット時あたり1.8セントのインセンティブを提供。この先端発電技術インセンティブ計画に2006年度から2012年度までで7,000万ドルを認可。

* 1,000万ドル以上の合併や整理統合を行う電力会社にFERCの許可を義務付け。

* 下院案の b) と上院案の d) は削除。

XIII. エネルギー優遇税制

a) 2005年から2015年までのエネルギー優遇税制として86億ドルを認可。

b) エネルギー効率改善・省エネ

  • ハイブリッドやディーゼル車の購入者に車両の燃費に応じて500〜3,500ドルの税控除を提供。
  • 既存住宅のエネルギー効率向上を行う自家所有者に、コストの20%、最高2,000ドルの税控除を提供。
  • 定置型燃料電池を購入するビジネスに20%の税控除を提供。

c) 再生可能エネルギー・クリーンエネルギー

  • 風力、クローズドループ型バイオマス、オープンループ型バイオマス、地熱、太陽エネルギー、小規模灌漑電力、都市ゴミを利用した発電に対する再生可能資源利用発電クレジットを2006年1月1日まで延長。

d) 石炭

  • 基本的なクリーンコール技術装置を設置した施設の場合は15%の税控除、先進クリーンコール技術装置を装備した施設の場合は17.5%の税控除を提供。

e) 電気事業インフラストラクチャー

  • 先進原子力発電施設で発電する電力に1キロワット時あたり1.8セントの税控除を提供。
  • 納税者による原子力廃止措置支援基金への出資額を制限する規定を撤回。
  • 送配電に使用される資産の減価償却期間を20年から15年に短縮。

f) 石油・天然ガス・精製施設向上

  • 天然ガス配送ラインの減価償却期間を20年から15年に短縮。
  • 米国内における石油・天然ガス探査に関連する地質学的・物理探査的費用を24ヶ月に亘って償却することを認可。

XV. エネルギー優遇税制

a) 2005年から2015年までの優遇税制として180億ドルを認可。この約40%がエネルギー効率向上、省エネルギー、および、代替燃料利用の推進に充てられている。

b) エネルギー効率改善・省エネ

  • ハイブリッド車やディーゼル車の購入者に車両の燃費に応じて400〜2,400ドル、および、燃料電池車の購入者に4,000〜12,000ドルの税控除を提供。
  • 既存住宅のエネルギー効率向上を行う自家所有者に、エネルギー節減率に基づいて最高2,000ドルの税控除を提供。
  • 定置型燃料電池を購入するビジネスに30%の税控除を提供。
  • 代替燃料補給所への投資に、コストの50%、最高30,000万ドルの税控除を提供。

c) 再生可能エネルギー・クリーンエネルギー

  • 再生可能資源利用発電クレジットを2009年1月1日まで延長し、対象となる適格資源に燃料電池、水力、海洋エネルギーを追加。
  • 地方電力公社や地方共同組合が再生可能資源利用発電への投資で最高10億ドルの公債を発行することを認可。

d) 石炭

  • 先端石炭プロジェクトおよびガス化プロジェクトへの投資者に20%の税控除を提供。

e) 電気事業インフラストラクチャー

  • 先進原子力発電施設で発電する電力に1キロワット時あたり1.8セントの税控除を提供。

f) 石油・天然ガス・精製施設向上

  • 天然ガス配送ラインの減価償却期間を20年から15年に短縮。

 

 

XIII. エネルギー優遇税制

* 向こう10年間にエネルギー優遇税制として145億ドルを認可。内訳は、エネルギー効率改善・省エネに27億ドル;再生可能エネルギー・クリーンエネルギーに32億ドル;石油・天然ガス・精製所向上に26億ドル;電力・原子力部門向けに31億ドル;クリーンコールの開発・利用に29億ドル。

* エネルギー効率改善・省エネ

  • ハイブリッド車やディーゼル車の購入者に車両の燃費に応じて250〜3,400ドル、および、燃料電池車の購入者に4,000〜12,000ドルの税控除を提供。(総コスト:8億7,400万ドル)
  • 既存住宅のエネルギー効率向上を行う自家所有者に、コストの10%にあたる税控除を2007年末まで提供。(推定コスト:5億5,600万ドル)
  • 定置型燃料電池を購入するビジネスに30%の税控除を2007年末まで提供。(2億2,200万ドル)
  • 代替燃料補給所への投資に、コストの30%、最高30,000万ドルの税控除を提供。

* 再生可能エネルギー・クリーンエネルギー

  • 風力、クローズドループ型バイオマス、オープンループ型バイオマス、地熱、小規模灌漑発電、埋立地ガス、ゴミ焼却、水力を利用した発電に対する再生可能資源利用発電クレジットを2007年12月31日まで延長。(27億5,000万ドル)
  • 地方電力公社や地方共同組合が2007年12月31日まで、再生可能資源利用発電への投資で最高8億ドルの公債を発行することを認可。(4億1,100万ドル)

* 石炭

  • 発電目的の「クリーンコール」施設への投資に対して3種の税控除を提供。(16億1,000万ドル)

* 電気事業インフラストラクチャー

  • 新規原子力発電施設で発電する電力に1キロワット時1.8セントの税控除を提供。(2億7,800万ドル)
  • 納税者による原子力廃止装置支援基金への出資額を税額控除対象として認可。(12億9,000万ドル)
  • 送配電に使用される資産の減価償却期間を20年から15年に短縮。(12億4,000万ドル)

* 石油・天然ガス・精製施設向上

  • 天然ガス配給ラインの減価償却期間を20年から15年に短縮。(10億2,000万ドル)
  • 米国内における石油・天然ガス探査に関連する地質学的・物理探査的費用を24ヶ月に亘って償却することを認可。(9億7,400万ドル)

XV. エタノールおよび自動車用燃料

a) 再生可能燃料(主にエタノール)の使用量を2012年までに年間50億ガロンまで拡大。

b) MTBEの自動車用燃料添加物利用を2014年12月31日以降禁止する。

c) MTBEの製造業者を製造物責任法から免責し、他燃料製造への転換支援として2012年度までの8年間で20億ドルを認可する。

d) ハイブリッド車や先進ディーゼル車の国内生産を促進するため、10年間で30億ドルのグラントをメーカーに供与。

該当条項(XV)はなく、上院案では、エタノールとMTBEに関する条文を 上記「II. 再生可能エネルギー」に入れている。

XV. エタノールおよび自動車用燃料

* 再生可能燃料(主にエタノール)の使用量を2012年までに年間75億ガロンまで拡大。

* 同法令施行後に提出されたMTBE汚染に関する訴訟を、適切な連邦第一裁判所へと移管する。

* 2007年までに自動車と燃料からの有毒大気汚染物質を抑制する規制を制定するようEPAに義務付け。

* 下院案の d)は条文が若干変更され、「VII. 自動車および燃料」へ移行。

* 下院案の b) と c) は削除。

該当条項なし。

XVI. 気候変動

a) 米国および途上国において温室効果ガス(GHG)排出原単位を低減する技術を推進する活動を行う。

b) 米国内で最先端の気候調和型技術やシステムを導入するプロジェクトにクレジット・ベースの支援を供与。

c) GHG排出削減のための市場型プログラムを今年末までに通過させるべきという「上院見解」。

XVI. 気候変動

* GHG排出原単位を低減する技術の普及を促進するため、省庁間グループを新設。

* GHG排出原単位低減技術実証プロジェクトにDOEが資金提供することを認可。

* 途上国におけるGHG原単位低減技術の普及を奨励するプログラムへ資金供与。

* 上院案の b) と c) は削除。

該当条項なし。

XIV. 革新技術インセンティブ

a) エネルギー貸付保証基金(Energy Loan Guarantee Fund)の設置。

b) 大気汚染物質やGHGの排出を回避・削減・隔離するプロジェクト、または、新規または大幅に改善された技術を使用するプロジェクト費用の最高80%までの貸付をDOE長官が保証することを認可。

c) 対象は、再生可能エネルギーシステム、先進化石エネルギー技術、水素燃料電池技術、先端原子力発電施設、炭素回収・隔離技術、効率的な発電・送配電技術、省エネ技術。

XVII. 革新技術インセンティブ

* 大気汚染物質やGHGの排出を回避・削減・隔離するプロジェクト、または、新規または大幅に改善された技術を使用するプロジェクト費用の最高80%までの貸付をDOE長官が保証することを認可。

* 対象は、再生可能エネルギーシステム、先進化石エネルギー技術、水素燃料電池技術、先端原子力発電施設、炭素回収・隔離技術、効率的な発電・送配電技術、省エネ技術、汚染抑制装置、原油精製技術。

* 上院案の a) は削除。

XVI. 調査研究

 

 

 

 

 

 

中国海洋石油(CNOOC)のUnocal買収提案に関する審査の遅延を狙った条項はなし。

 

 

XVI. 調査研究

 

 

 

 

 

 

中国海洋石油(CNOOC)のUnocal買収提案に関する審査の遅延を狙った条項はなし。

 

 

XVIII. 調査研究

* DOEに対し、国防省と国土安全保障省と協議しつつ、「中国のエネルギー需要増大とそれが米国の政治・戦略・経済・国土安全保障に与える影響」の調査を一度実施するよう義務付け。

* 上記調査の結果および提言を120日以内に大統領と米国議会へ提出するようDOEに義務付け。

* 米国外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the US)は、DOEが上記報告書を大統領と議会に提出し、大統領が受領を確認した日から最低21日間は、中国の所有下または支配下にある企業による米国エネルギー企業の買収提案についての最終決定を差し控える。

XXII. 北極圏沿岸部国産エネルギー

* 北極圏野生生物保護区域(ANWR)における石油・天然ガス開発解禁を認める。

該当条項なし。

削除


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