ブッシュ大統領の2008年度予算:概要(その3)

NEDOワシントン事務所
松山貴代子
2007年2月28日
2007年3月6日(加筆)

 

このレポートでは、史上最高の681億ドル(2007年度比5.5%増)(注:1) という兵器開発費を享受する国防省、全体予算が増える一方で、研究開発(R&D)活動への米国議会批判によりR&D予算が減少傾向にある国土安全保障省、大統領のエネルギーイニシアティブ支援の一環として高速道路渋滞軽減イニシアティブに着手する運輸省、「米国競争力イニシアティブ」を教育面から支援するという大役を負いながらも、44のプログラム廃止に直面する教育省、環境保護庁、および、米航空宇宙局と省庁間プログラムの予算について概説する。


■ VI. 国防省

国防省の2008年度自由裁量予算は、2007年度予算(注:2) を11.3%上回る4,814億ドル。但し、補正追加予算要求額を加えると2008年度の実質増加率は8.6%であり、自由裁量予算の内の1,417億ドルは地球規模の対テロ戦争に充てられている。2008年度の国防省予算は、高水準の臨戦体勢と陸軍兵力の確保;米国軍隊の戦闘能力向上;潜在的な脅威に対する米国優位の維持;軍人・家族への支援強化および継続、という大統領コミットメントを支持する内容となっている。

国防省の研究開発(R&D)予算は2007年度予算を7億6,500万ドル(1.0%増)(注:3) 上回る789億9,600万ドル。軍別では昨年同様、次世代戦闘機(Joint Strike Fighter)他プロジェクトの研究開発・調達で35億ドルという大幅増額を享受する空軍のR&D予算が前年度比11.1%の増額となる反面、陸軍と海軍のR&D予算は各々3.2%と9.4%の削減となる。また、昨年は増額要求であった防衛先端研究局(Defense Advanced Research Projects Agency = DARPA)を始めとする国防関連機関のR&D予算も2008年度には3.9%の削減要求となっている。基礎研究と応用研究の予算は5年連続の減額(注:4) で、各々、前年度比8.7%と20.9%の削減となる一方、開発予算は2.7%増額されて728億7,200万ドルまで引き上げられている。国防省の施設・設備予算は、2007年度のブッシュ政権要求では前年度レベルの僅か8分の1にあたる1,900万ドルまで縮小される状況に直面したが、米国議会が2007年度予算として6,000万ドルを計上したことで、削減率は63.4%に抑えられた。2008年度予算案でブッシュ政権はなんと、この施設・設備予算に、2007年度比240%(1億4,400万ドル)増の2億400万ドルを要求している。国防省R&D予算の内訳(注:5) は下記の通り:

国防省予算のハイライト:

  • 防衛先端研究局(DARPA)の予算は2007年度に、過去2年間の予算横ばい状態(29億7,800万ドル)を抜け出して増額に転じたばかりであったが、ブッシュ政権は2008年度予算でこれを31億1,500万ドルから30億8,600万ドルに減額することを提案している。
    • 基礎研究を支援する防衛研究科学(Defense Research Sciences)の予算は2年連続の増額で1億5,260万ドル。
    • 2007年度に増額となった応用研究(14億2,430万ドル→14億290万ドル)と先端技術開発(14億9,700万ドル→14億7,710万ドル)の予算は、各々、1.5%と1.3%の削減。
    • 応用研究では、@戦術的技術(Tactical Technology);A材料技術とバイオ技術が昨年に続いて増額となる反面、B情報通信技術;C認知(cognitive)コンピューティングシステム;Dエレクトロニクス技術が昨年の増額から2008年度には減額に転じている。また、E生物兵器防衛の予算は3年連続で縮小されて前年度より1,370万ドル(12.1%)少ない9,910万ドルとなる。
    • 先端技術開発のプログラムは、2007年度に陸上戦技術(Land Warfare Technology)とDARPA機密プログラムを除く全てのプログラムが増額を受けたが、2008年度予算では、@先端航空宇宙システム;Aセンサー技術;B指令・制御・通信システム(Command, Control and Communications Systems);CDARPA機密プログラムのみが増額となる。
  • 国防に不可欠な分野において基礎科学・工学研究・関連教育を実施する大学の能力向上を目的とする大学研究イニシアティブの総予算として、2007年度比17.1%削減の2億4,570万ドルを要求。軍別では、陸軍の予算が19.8%減の6,480万ドル;海軍が16.4%減の7,660万ドル;空軍の予算が9.3%減の1億430万ドル。
  • 研究開発を兵器システムへと移行し、防衛技術の商用化を支援する国防省全体の技術移転(Defense-wide Technology Transfer)は、12,200万ドルから220万ドルに削減。
  • 大量破壊兵器に対抗する科学や技術を確認・実施する、防衛脅威削減局(Defense Threat Reduction Agency)の基礎研究イニシアティブ予算は、49.8%削減で500万ドル。
  • 2007年度に削減を受けた化学・生物兵器防衛計画(Chemical and Biological Defense Program)の2008年度予算は、4,030万ドル(4.1%)の増額で10億2,150万ドル。
  • ブッシュ政権の最優先プロジェクトの一つであるミサイル防衛計画の研究開発実験評価(RDT&E)および調達予算は2年連続で削減され、2007年度より5億ドル少ない99億ドル。
  • 次世代戦闘機(Joint Strike Fighter)のRDT&E継続および12機調達の予算は前年度より11億ドル増額の61億ドル、昨年度削減となったF-22戦闘機のRDT&E継続および20機調達の予算は増額に転じ、6億増えて46億万ドルの要求。
  • 陸軍の未来戦闘システム(Future Combat System)の予算は、2007年度の34億ドルから37億ドルに増額。
  • 国家防衛にとっての重要分野で、米国高等教育機関の研究能力および科学者やエンジニア育成能力の向上を支援する防衛EPSCoR計画予算は、前年度予算比38%減の588万ドル。
  • 大学と産業界、又は、大学と政府研究所の共同研究を促進する政府・産業界の大学研究共同スポンサーシップ(Government/Industry Cosponsorship of University Research = GICUR)は昨年に続いて廃止(注:6) 要求。
  • 国家ナノテクノロジー・イニシアティブに対する国防省投資は、前年度より4,200万ドル(10%減)少ない(注:7) 3億7,500万ドル。


■ VII. 国土安全保障省

国土安全保障省(Department of Homeland Security = DHS)の2008年度全体予算は2007年度予算(注:8) 比8%増の464億ドル、自由歳出予算は6%増の343億4,100万ドル(注:9) となっている。2007年度予算案では、ハリケーンカトリーヌとハリケーンリタによって対応の遅れと組織的不備が露呈した連邦緊急事態管理局(Federal Emergency Management Agency = FEMA)の強化・改善が重視されたが、2008年度予算案では国境警備と移民法執行に焦点が移り、これらに130億ドルの予算が充てられている。DHSのR&D予算は、米国議会でDHSのR&D活動に対する不満が高まっているために、2007年度の認可額が要求額より4億2,900万ドル(28.4%減)も少ないという大幅削減となったが、ブッシュ政権の2008年度R&D予算要求額は2007年度認可額(10億7,900万ドル)を更に下回る、10億6,800万ドルになっている。同省R&D予算の内訳は下記の通り: 


DHS予算のハイライト:

  • 科学技術部(Science and Technology Directorate)は2006年終盤に、DHSの優先事項とカスタマーリレーションシップをより良く反映させることを狙い、部内を @国境と海事(Border and Maritime);A化学・生物兵器対抗技術(Chemical and Biological Countermeasure);B爆発物(Explosives);C人的要因(Human Factors);Dインフラ整備と地球物理学(Infrastructure and Geophysical);E指令・制御・相互運用(Command, Control and Interoperability)という6つの課と、@実験評価と標準化;A移行担当部長室;B研究担当部長室;Cイノベーション担当部長室(新設)という4つの分野横断的部室に再編成した。科学技術部の2008年度予算は前年度比5.8%(4,900万ドル)減の7億9,910万ドル。6課4室への予算配分は下記の通り(注:10)
    • 化学・生物兵器対抗技術の予算は、管轄下にあったBioWatchプログラムとBWIC(Biological Warning and Incident Characterization)システム、および、緊急展開化学物質検出システム(Rapidly Deployable Chemical Detection System)が2007年度に設置される衛生部(Office of Health Affairs = OHA)(注:11) へ移管されることに伴い、8,410万ドルの削減となる。OHAが全米の約30都市でBioWatchモニタリングシステムを運営する一方、科学技術部ではBioWatchを強化するシステム研究開発を継続することになる。
    • 新設されるイノベーション担当部長室は、国土安全保障先端研究計画局(Homeland Security Advanced Research Project Agency = HSARPA)を監督する。
  • 2007年度に科学技術部から独立した国内核探知局(Domestic Nuclear Detection Office)の2008年度予算は前年度レベル比16.8%(8,090万ドル)増で5億6,190万ドル。


■ VIII. 環境保護庁

環境保護庁(EPA)の2008年度自由歳出予算は、2007年度要求より1億1,600万ドル(1.6%)少ない71億9,940ドル(注:12)。同庁のR&D予算は5億6,200万ドルで、前年度要求比では500万ドルの増額であるが、2006年度予算よりは3,800万ドルの削減になる。EPAのR&D予算は、国土安全保障に関連する研究予算が一部微増を受けるものの、その他の研究分野は殆どが削減に直面している。ブッシュ政権は2008年度予算として、基礎研究と開発に前年度要求と同額、応用研究に500万ドルの増額を要求している。EPAのR&D予算内訳は下記の通り:

EPA予算のハイライト:

  • 現行のリスク評価や管理戦略、および、児童対象のリスク決定ニーズ検討指針を向上させる、健康とエコシステム研究(Human Health and Ecosystems Research)の予算は、2007年度要求より1,630万ドルの削減で1億4,500万ドル。
  • 市場ベースの排出権取引制度を整備・運営し、再生可能燃料政策の影響を分析する、再生可能燃料使用基準(renewable fuel standard)プログラムの2008年度予算は前年度要求比27.3%減の800万ドル。
  • 温室効果ガス(GHG)原単位を2012年までに18%削減するという大統領計画に貢献することを目的とする気候変動関係プログラムの2008年予算は、前年度要求より1,810万ドル多い1億1,790万ドル。
  • エネルギー・環境戦略策定で環太平洋諸国と協力するクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(Asia-Pacific Partnership on Clean Development and Climate)に2007年度要求と同額の500万ドル。
  • 埋立地や炭鉱、天然ガス施設におけるメタン回収・再利用を推進する、メタン市場化(Methane to Markets)パートナーシップに440万ドル。
  • 2007年度予算で新設が提案されたディーゼル排出削減グラントの2年目の予算は30%削減されて3,500万ドル。
  • オゾン破壊物質の生産・使用を撤廃するコスト効率的プロジェクトを支援する、国内成層圏オゾン保護プログラム(Domestic Stratospheric Ozone Protection Program)に980万ドル。
  • 省庁間イニシアティブである気候変動科学プログラム(Climate Change Science Program)への予算は前年度と同額の1,800万ドル。
  • 2008年度の地下貯蔵タンクグラント予算は2,230万ドル(2007年度要求比1,530万ドル減);五大湖の浄化・保護が5,680万ドル(1,320万ドル削減);チェサピーク湾プログラムの予算は2,880万ドル(280万ドル増額)。
  • 米国の重要な水資源インフラを守る水資源安全保障イニシアティブ(Water Security Initiative)(注:13) というパイロットプログラムの予算は2,200万ドル。
  • 有害物質規制法(Toxic Substances Control Act)の対象となるナノ材料の利用方法を確認・研究するナノテクノロジー研究に2008年度予算として、前年度要求を160万ドル上回る1,020万ドルを計上。
  • 数学的ツールや計算ツールを、ヒトの健康や自然生態系を汚染から守るために必要な科学の進歩に活用する、コンピューター活用毒性研究(Computational Toxicology Research)は、2万ドル増の1,510万ドル。
  • STAR(Science to Achieve Results)プログラムやGRO(Greater Research Opportunity)大学院/学士奨学金等を支援するフェローシップグラントは4万ドルほどの微増で、844万ドル。
  • スーパーファンド予算は前年度要求を1,400万ドル下回る12億4,500万ドル。2008年度には30ヶ所の浄化・修復作業を完了する予定。


■ IX. 運輸省

2008年度の運輸省全体予算は2007年度要求(656億ドル)よりも14億ドル多い670億ドル。2008年度予算では、3年前に設置された5つの重要戦略目標の内、全市民の移動性(mobility)改善を渋滞軽減(Reducing Congestion)と改めている。2007年度予算では全市民の移動性改善が微増となった一方で、他の4目標が僅かながらも全て削減を受けたのに対し、2008年度予算ではこれが逆転している。各目標に対する予算配分は下記の通り:

  1. 安全性の向上への2008年度予算は204億ドル(30.4%)[2007年度の24.3% ← 2006年度の26.1%]
  2. 渋滞軽減への配分は365億8,900万ドル(54.6%) [67.1% ← 64.5%]
  3. 世界的交通網連絡の改善は13億8,800万ドル(2.1% )[0.3% ← 0.5%]
  4. 環境保護に65億3,700万ドル(9.3%) [6.4% ← 6.7%]
  5. 国家安全保障の支援に9億3,800万ドル(1.4% )[0.7% ← 0.9%]

運輸省の2008年度自由裁量予算は2007年度要求比3.5%(11億ドル)減の121億ドルに引き下げられる反面、R&D予算の方は前年度要求比45.8%増で8億1,200万ドルとなる。2007年度のR&D要求が前年度比1億4,700万ドル(20.9%減)の大幅削減で5億5,700万ドルまで減額されため、2008年度の要求額は2007年度要求との比較でかなりの増額という印象を与える。しかしながら、2007年2月15日に成立した「2007年度予算決議法」に盛り込まれた2007年度の運輸省R&D予算は7億9,600万ドルと推定されているため、2008年度R&Dは、実際には2%前後の増額に留まるものと見られている。同省のR&D予算内訳は下記の通り:

運輸省予算のハイライト:

  • 連邦高速道路局(Federal Highway Administration = FHA)の予算に盛り込まれた2008年度研究・インテリジェント交通システム予算は前年度要求を5,800万ドル下回る4億1,000万ドル。2008年度FHA予算はまた、大統領のエネルギーイニシアティブ(注:14) 、および、全ての交通手段の渋滞問題に対応する運輸省全体の努力を支援するため、新たな高速道路渋滞軽減イニシアティブ(Highway Congestion Reduction Initiative)に1億7,500万ドルを充当している。
  • 米国高速道路安全局(National Highway Traffic Safety Administration = NHTSA)は高速道路致死率の削減、怪我の防止、事故に伴う経済的損害の大幅削減を目的とする高速道路信託基金(Highway Trust Fund)に、2008年度予算として2億3,000万ドルを要求。主な内訳は下記の通り:
    • 自動車安全性R&Dを実施する研究分析に、6,570万ドル。
    • 行動研究や技術支援;自動車乗員や老若ドライバーの安全計画;衝突事故調査方法の改善;救命救急システムといった高速道路安全性プログラム(Highway Safety Programs)が4,260万ドル。
    • 自動車および関連安全装備の安全基準を公布する安全実績規定作成(Safety Performance Rulemaking)活動に1,280万ドル。
  • 研究ポートフォリオの調整管理、および、分野横断的な革新技術の導入推進を目的として2004年11月30日に設置された研究・革新技術局(Research and Innovative Technology Administration = RITA)の2008年度予算は2007年度要求を380万ドル上回る3,900万ドル。全ての交通手段にまたがる交通研究の調整・推進、および、水素燃料やリモートセンシング等の革新的交通技術の向上・推進を行うR&D予算が前年度要求比50%増で1,200万ドルとなる一方、多様な交通データや情報を提供する交通統計局(Bureau of Transportation Statistics)の予算は2,700万ドルで、前年度要求と同額となっている。RITAが実費精算ベースで実施する他省庁対象の交通関連研究・教育・訓練・技術応用活動では2008年度に前年度と同額の3億ドルを見込んでいる。
  • 連邦航空局(Federal Aviation Administration = FAA)の研究・工学・開発(RE&D)予算要求額は2007年度要求を1,000万ドル上回る1億4,000万ドル。内訳は、航空安全問題関係の研究継続に9,130万ドル(前年度要求比 3.8%増)、残りの4,870万ドル(16.0%増)が渋滞軽減と環境問題の研究に充てられる。また、旧式の航空管制装置に取って代わる21世紀衛星ナビゲーションシステムに1億7,500万ドルを要求。
  • 省庁間プログラムである次世代航空輸送システム・イニシアティブ(Next Generation Air Transportation System Initiative)に対するFAAの2008年度投資は、前年度要求を5,300万ドル(43.4%)上回る1億7,500万ドル。この内、8,570万ドル(前年度比7.1%増)が放送型自動従属監視(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)技術に、2,130万ドルがシステム全体の情報管理ネットワーク構築に計上されている。
  • 連邦鉄道局(Federal Railway Administration = FRA)は、都市間旅客鉄道事業に前年度要求と同額の9億ドル(注:15) を要求している。この内、8億ドルがAmtrakに充てられ、1億ドルが州政府の鉄道インフラ整備投資を奨励する新たなグラント計画に計上されることになる。また、鉄道システムの安全性研究を支援するFRAのR&D予算は前年度に続く削減要求で3,200万ドル(前年度要求比 8.6%)に引き下げられている。
  • 大統領の水素燃料イニシアティブに対する運輸省の投資(注:16) として、研究・革新技術局(RITA)から50万ドルを拠出。
  • 今後10年間で国内ガソリン消費量を20%削減するという、ブッシュ大統領の「Twenty In Ten」計画を支援するため、乗用車向け企業平均燃費(CAFE)基準を改正・近代化する。


■ X. 教育省

教育省の2008年度予算は2007年度推定予算(559億8,570万ドル)(注:17) とほぼ同額の559億9,680万ドル。5年前に設立され、今年で満期終了となる「落ちこぼれゼロ運動(No Child Left Behind = NCLB)」の再認可を最優先事項の一つに掲げるブッシュ政権は、NCLBの2008年度予算として、前年度を11億9,700万ドル(5.1%)上回る244億7,400万ドルを要求している。ブッシュ政権は昨年同様、国家競争力イニシアティブ(American Competitiveness Initiative = ACI)を教育面から支援することを重視し、最優先プログラムの予算を捻出するために、重複または不採算と判定された44プログラムを廃止(注:18) することによって22億ドルの節減を行うことを提案している。今回の廃止提案プログラムには、「教育テクノロジー州政府グラント」や「Star Schools」といった昨年来のプログラムが含まれている一方で、「GEAR UP」計画や「TRIO Talent Search」計画等が廃止リストから外され、代わって「アラスカ原住民教育エクイティ」や「連邦政府教育機会補正グラント」といったプログラムが加わる等、幾分の入れ替わりが見られる。2008年度予算で提案する廃止リストには概して、美術や歴史や経済、原住民や障害児、および、服役中の青少年犯罪者といった特定の研究分野や人口グループを対象とするものが多く含まれている。主なプログラムは下記の通り:

  • 高等教育(postsecondary education)に伴なう財政面の障壁を軽減するため、ニーズに基づいたグラントを大学生に提供する「連邦政府教育機会補正グラント(Federal Supplemental Education Opportunity Grants)」 … 7億7,000万ドル。この資金は、資金有効活用のためにPell Grantプログラムへ移譲される。
  • テクノロジーを授業に融合する「教育用テクノロジー州政府グラント(Educational Technology State Grants)」 … 2億7,310万ドル
  • 児童の早期教育と成人教育および育児教育を「家族教養(family literacy)」計画に統合することによって、低所得家庭の児童や親を対象とする教育機会の改善を狙った「Even Start」 … 1億1,160万ドル
  • 服役中の青少年犯罪者が読み書きの能力や技能を修得することを支援・奨励するため、州政府の矯正施設にグラントを提供する「服役青少年のための州政府グラント」 … 2,280万ドル
  • 幼稚園から高校3年生(K-12)までの生徒の経済・財政に関する教養を高めるため、非営利教育組織にグラントを提供する「Excellence in Economic Education」 … 150万ドル

教育省予算のハイライト:

  • 米国競争力イニシアティブ(American Competitiveness Initiative) = ACI)を教育面から支援するため、下記のプログラムに総額3億9,720万ドルを拠出する:
    • 幼稚園から6年生(K-6)までの生徒を、後年のより難しい授業に備えさせる「Math Now for Elementary School Students」イニシアティブに1億2,500万ドル(新規)、中高等学校の生徒を対象とする「Math Now for Middle School Students」イニシアティブに1億2,500万ドル(新規)(注:19)
    • アドバンス・プレースメント(Advanced Placement = AP)や国際バカロレア(International Baccaluareate = IB)の数学・科学・外国語を教える教師を5年間で7万人増数し、AP-IBテストに合格する学生の増数を目的とする「アドバンス・プレースメント(AP)」プログラムの予算を3,220万ドルから1億2,220万ドルに増額。
    • 専門家が高等学校で数学・科学中心のクラスを教えることを奨励する「非常勤講師団(Adjunct Teacher Corps)」に2,500万ドル(新規)(注:20)
  • 科学的根拠に基づく読解リサーチを土台にした包括的読解指導を支援する「Reading First State Grants」に10億ドル、「Early Reading First」に1億1,770万ドル。
  • 「教員の質向上州政府グラント(Improving Teacher Quality State Grants)」の予算は、28億8,800万ドルから27億8,800万ドルに削減。
  • 教員・校長を対象とする実績ベース報奨金の設定・実施で州政府や地方政府を支援する「教員インセンティブ基金(Teacher Incentive Fund)」は2007年度の390万ドルから1億9,900万ドルに大幅拡大。
  • 「数学・科学パートナーシップ・プログラム」は、前年度と同額の1億8,210万ドル。
  • 「Pell Grant」の予算を126億700万ドルから154億3,900万ドルに、「Academic Competitiveness Grants」の予算を4億2,000万ドルから8億3,000万ドルに、「Science and Mathematics Access to Retain Talent (SMART)グラント」を3億1,000万ドルから3億5,000万ドルに増額。
  • 「職業・実業教育州政府グラント(Career and Technical Education State Grants)」は11億8,240万ドルから6億ドルに削減。
  • 恵まれない若者の高校卒業や高等教育入学を奨励するカレッジに競争グラントを提供する連邦政府の「TRIO Talent Search」プログラム、および、恵まれない若者向けの集中講座を支援するカレッジに競争グラントを提供する「TRIO Upward Bound」プログラムは2007年度に撤廃が提案されたが、2008年度予算案では前年度とほぼ同額の1億4,280万ドルと3億1,360万ドルを要求している。
  • 昨年提案された複数省庁参加プログラムである「国家安全保障のための言語取得イニシアティブ(National Security Language Initiative)」に対する教育省の2008年度投資は3,500万ドル。同イニシアティブが最重要とみなす言語は、アラビア語・中国語・ペルシャ語・ヒンドゥー語・日本語・韓国語・ロシア語・ウルドゥー語。


■ XI. 米航空宇宙局

米航空宇宙局(NASA)の2008年度自由裁量予算は、2007年度大統領要求額(167億9,200万ドル)を5億1,700万ドル上回る(注:21) 173億900万ドルで、3.1%の増額。ブッシュ政権は、国際宇宙基地(International Space Station = ISS)の2010年完成を念頭に置いて宇宙活動ミッション部門の2008年度予算を大幅に増額しているほか、全米科学アカデミー(National Academy of Sciences)の行った地球科学10ヵ年調査(Decadal Survey for Earth Science)の調査結果に沿ってテーマが再考・再編成された科学ミッション部門の予算を僅かながらも増額している。NASAのR&D予算の方は2007年度要求額(注:22) より1億8,300万ドル(1.5%)多い124億2,800万ドルとなるものの、まとまった増額を受けるのは施設・設備費(前年度要求比10.3%増)のみであって、基礎研究は同額、応用研究は僅か0.8%の増額にとどまっている。一方、開発予算は前年度よりも4,800万ドル(0.7%)の削減となる。

NASA予算のハイライト:

  • 科学ミッション部門(Science Mission Directorate)の2008年度要求額は、2007年度要求(注:23) 比0.9%(4,930万ドル)増の55億1,600万ドル。同部門はこれまで、@太陽系探査;A宇宙(The Universe);B地球-太陽系という3つのテーマに分けられていたが、2008年度予算案ではこれを、(1)科学的理解の前進と社会的ニーズの達成のために宇宙から地球を調査する「地球科学(Earth Science)」;(2)太陽系の起源と歴史、地球外生命の存在可能性、有人宇宙探査に伴なう危険に関する科学的知識を前進させる「宇宙科学(Planetary Science)」;(3)太陽および太陽が地球や太陽系に及ぼす影響を理解する「太陽物理学(Heliophysics)」;(4)宇宙の起源・構造・進化・運命を探り、地球に似た惑星を探す「天体物理学(Astrophysics)」という4テーマに再編成している。各テーマの主要プログラムは下記の通り:
    • 「地球科学」の2008年度予算は、前年度要求より3,280万ドル(2.2%)多い14億9,730万ドル。自然発生と人造エアロゾルの地球規模分布を測定するGlory Mission(6,000万ドル→4,270万ドル)、国立海洋大気局(NOAA)・米国空軍との共同で重要な環境観測を行うNPOESS Preparatory Project(8,010万ドル→9,100万ドル)や全球降水(global precipitation)の測量を開始する全球降水測量(Global Precipitation Measurement = GPM)プロジェクト(9,020万ドル)(注:24) を含む地球体系的計測ミッション(Earth Systematic Missions)プログラムの2008年度予算が8,420万ドル(16.1%)増額の6億800万ドルとなる一方で、米国グローバルチェンジ研究計画(U.S. Global Change Research Program)と気候変動研究イニシアティブ(Climate Change Research Initiative)の重要な構成要素である地球科学研究(Earth Science Research)プログラムの予算は4億2,850万ドル(前年度要求比5.5%減)に、炭素観測衛星(Orbiting Carbon Observatory)プロジェクト(7,570万ドル→4,090万ドル)や全球水循環と海洋循環および気候の関連性を調査するアクエリアスプロジェクト(7,340万ドル→6,060万ドル)を含む地球構造学パスファインダー(Earth System Science Pathfinder)プログラムの予算は1億3,570万ドル(前年度比17.9%減)に引き下げられている。
    • 「宇宙科学」の予算は、2007年度要求を1,540万ドル(1.1%)下回る3億4,500万ドル。2009年打ち上げ予定の火星科学ラボ(Mars Science Laboratory)プロジェクト(3億7,840万ドル→3億4,500万ドル)を含む火星探査プログラムの2008年度予算が前年度比13.2%(9,540万ドル)減の6億2,570万ドルに減額される反面、飛行データの分析に必要な理論的ツールや検査データおよび将来フライト用の装置等を作成する宇宙科学研究(Planetary Science Research)プログラムの予算は9,170万ドル(32.9%)の増額で3億7,050万ドルとなる。また、MESSENGERやDawn等のロボット宇宙船による探査を行うDiscoveryプログラムの予算も微増(500万ドル、2.8%増)ながら、1億8,490万ドルまで引き上げられる。
    • 「太陽物理学」は前年度要求よりも2,910万ドル(2.8%)多い10億5,720万ドル。有人およびロボット宇宙船 …火星科学ラボやMESSENGER等…による太陽系内外の探査支援として、高性能かつコスト効率的な航行業務を提供する深宇宙探査ミッションシステム(Deep Space Mission System)プログラムの予算は880万ドル増額されて2億6,300万ドル。また、太陽の磁場の構造およびそのエネルギーが太陽風やエネルギー粒子として太陽圏に放出される仕組みを調査するソーラーダイナミクス観測(Solar Dynamics Observatory)プロジェクト(1億8,290万ドル→1億1,040万ドル)や放射線帯嵐探査機(Radiation Belt Storm Probes)プロジェクト(490万ドル→9,530万ドル)を含むLiving with a Sunプログラムは前年度比8.8%(2,050万ドル)増の2億5,300万ドルとなっている。
    • 「天体物理学」の2008年度予算は、2007年度要求(15億6,300万ドル)とほぼ同額の15億6,580万ドル。ジェームズ・ウェブ宇宙望遠鏡プログラムの予算は前年度比16.4%(7,690万ドル)増の5億4,540万ドルに引き上げられる一方、早ければ2008年5月にスペースシャトルによる保守ミッションが予定されているハッブル宇宙望遠鏡プログラムの予算は2億7,770万ドルで、6,530万ドル(19.0%)の削減となる。
  • 探査システムミッション部門(Exploration Systems Mission Directorate)の2008年度予算は、前年度要求を2億2,870万ドル(5.5%)下回る39億2,380万ドル。2008年度には同部門も再編され、昨年度までの@コンスタレーション・システム(Constellation Systems);A探査システム研究・技術;B人間系研究・技術という3テーマの内、AとBが合併されて「先進能力(Advanced Capabilities)」に改名されている。各テーマの主たるプログラムは下記の通り:
    • 「コンスタレーション・システム」の2008年度予算として前年度要求比1億6,450万ドル(5.1%)減の30億6,800万ドルを要求。月や火星への有人飛行を可能にする次世代ロケット「アレス(Ares)1号」を設計・開発・実験・評価するクルー・ローンチ・ビーイクル(Crew Launch Vehicle)プロジェクトの予算が前年度要求より2億5,910万ドル増えて11億7,520万ドルとなる一方で、有人宇宙探査船(Crew Exploration Vehicle)プロジェクトの予算は5,030万ドル(5.0%)減の9億5,080万ドルに引き下げられている。また、宇宙通信や航行業務が宇宙活動ミッション部門(Space Operations Mission Directorate)の下に一本化されることに伴ない「コンスタレーション・システム」プログラムのその他(Other)プロジェクトの予算は10億1,340万ドル削減されて3億190万ドルとなる。
    • 「先進能力」の予算は2007年度要求額より6,420万ドル(7.0%)少ない8億5,580万ドル。安全で実りのある有人宇宙探査の実施に必要不可能となる対応策や知識、技術やツール等を開発する人間リサーチプログラムの予算は前年度要求比2.7%(480万ドル)増の1億8,330万ドルとなる反面、将来の有人およびロボット探査ミッションを可能にすると同時にミッションのリスクとコストを削減する新技術を開発する探査技術開発プログラム(注:25) は4,500万ドル(10.2%)減の3億9,430万ドルに引き下げられている。また、ブッシュ政権が予算復活を目指して2007年度に1,000万ドルを要求した百周年チャレンジ(Centennial Challenges)プログラムは省内支援プログラム(Cross-Agency Support Programs)の革新的パートナーシップ(Innovative Partnerships Program = IPP)に移管されている。
  • 航空学研究ミッション部門(Aeronautics Research Mission Directorate)の予算は昨年の減額要求から増額に転じ、2008年度予算は前年度要求を2,470万ドル(4.7 %)上回る5億5,400万ドルとなっている。最新および未来航空機の安全技術向上を目的とする航空安全(Aviation Safety)プログラムの2008年度予算は7,410万ドルで、280万ドル(3.6%)の削減となるものの、国家空域における安全かつ効率的な航空交通管理システムに必要な革新的R&D解決策を開発する空域システム(Airspace Systems)プログラムは550万ドル(5.9%)の増額で9,810万ドルまで引き上げられる。また、風洞テスト施設や飛行試験場といった実験施設を常に利用可能なように整備管理する航空テスト(Aeronautics Test)プログラムの予算も増額(3,430万ドル)されて8,840万ドルとなっている。
  • 宇宙活動ミッション部門(Space Operations Mission Directorate)は2007年度に大幅削減を受けたが、2008年度予算では、6億8,340万ドル(11.2%)増額の67億9,170万ドルを要求している。同部門の3テーマの予算は下記の通り:
    • 「国際宇宙基地(ISS)」の2008年度予算は22億3,860万ドルで、前年度要求より4億7,600万ドル(27.0%)という大幅増額。
    • 2010年度のISS組立終了まで3機のスペースシャトルを運転・維持し、および、ハッブル宇宙望遠鏡の第5回目保守ミッション実施を予定している「スペースシャトル」の2008年度予算は1,010万ドル削減の40億750万ドル。
    • 「宇宙・フライト支援」の2008年度予算は、昨年まで「コンスタレーション・システム」プログラムのその他(Other)プロジェクトとして実施されていた宇宙通信や航空業務が同テーマへ移譲されることを反映し、2007年度要求比66.3%(2億1,760万ドル)増の5億4,570万ドル。
  • 省内支援プログラム部門(Cross-Agency Support Programs)の予算は、2007年度要求額よりも1,280万ドル少ない4億8,920万ドル。同部門は4テーマに分かれるが、その内の「教育」と「革新的パートナーシップ計画(IPP)」という2テーマの概要は下記の通り:
    • 将来のNASA労働者育成を念頭に置いて、多様な理工系数学(STEM)分野でのイニシアティブを支援する「教育(Education)」の予算は、前年度比8.2%(1,370万ドル)減の1億5,370万ドル。宇宙グラント(Space Grant:2,880万ドル→2,900万ドル)、EPSCoR(1,000万ドルで同額)、学部生研究事業(USRP:370万ドルで同額)、大学院生研究事業(GSRP:870万ドル→700万ドル)、大学研究センター(URCs:1,820万ドル→1,470万ドル)、E-教育事業(E-Education Small Projects:170万ドル→60万ドル)等を支援する。
    • 「革新的パートナーシップ計画(IPP)」は、産業界や学界、および、政府省庁や国立研究所とのパートナーシップを通じて、NASAのミッション部門・プログラム・プロジェクトに必要な技術や能力にてこ入れすることを目的とするもので、2008年度予算は前年度要求額よりも1,700万ドル少ない1億9,810万ドル。主要プロジェクトの予算は、中小企業革新研究(SBIR)が480万ドル増の1億2,710万ドル、中小企業技術移転計画(STTR)が60万ドル増額で1,530万ドル、技術移転パートナーシップ(Technology Transfer Partnerships)が640万ドル削減の3,330万ドル、探査システムミッション部門から移譲された百周年チャレンジ(Centennial Challenges)が前年度要求より600万ドル少ない400万ドルとなる。


■ XII. 省庁間プログラム

1. ネットワーキング・情報技術R&D(Networking and Information Technology R&D = NITRD)

ブッシュ大統領のネットワーキング・情報技術R&D(NITRD)は、@21世紀末までにペタスケール(1015)計算システムの配備を目的とする高性能コンピューティング(High-end computing);A大規模ネットワーク技術がペタスケール計算システムの急速な発達に対応することを確証するための先端ネットワーク研究(Advanced networking research);Bサイバーセキュリティと情報保証(information assurance)の長期的基礎研究を三大優先事項とするもので、2008年度予算として、2007年度推定額を1,200万ドル(0.4%)上回る(注:26) 30億5,700万ドルを要求している。米国国立公文書館(National Archives and Records Administration)(注:27) が2006年度末にNITRDの新メンバーとして加わり、NITRD参加省庁は合計8機関となった。2008年度NIRTD予算で増額が目立つのは、NSF(前年度比10%増)とエネルギー省(DOE)科学部(前年度比3.9%増)であるが、これは「米国競争力イニシアティブ(ACI)」の一環として予算が増えていることに起因する。他には、米航空宇宙局(NASA)の予算が300万ドル、新参の米国国立公文書館が100万ドルの増額となる一方、商務省とEPAが前年度並みの要求となっている。国防省と厚生省のNITRD予算は各々1.8%と14.4%の削減となり、厚生省の予算に至っては2007年度の増額分がすっかり相殺されることになる。NITRDに参加する連邦各省庁の拠出額は下記の通り:


2. 国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(National Nanotechnology Initiative = NNI) 

2008年度のNNI予算要求額は、前年度推定を5,600万ドル(4.0%)上回る14億4,700万ドル(注:28) で、2007年度要求額(12億7,500万ドル)と比較すると、1億7,200万ドル(13.5%)の増額となる。2008年度のNNI予算増額分の大半は、ACIの対象機関であるNSF(+1,700万ドル)、DOE科学部(+3,900万ドル)、および、商務省NIST(+800万ドル)の予算増額に由来している。また、昨年は削減を被った厚生省のNNI予算が3,300万ドルの増額となったほか、農務省とEPAも各々100万ドルの増額を受けている。一方で、国防省とNASAのNNI予算は2年連続で削減され、2008年度には各々10.1%と4.0%の減額要求となっている。NNIは、@最先端研究への投資;A学際的な優良センターの創設;B重要研究インフラの構築によって、ナノテクノロジーの基礎研究および応用研究を支援しているほか、ナノテクノロジーの社会的影響 …倫理法律上の問題や、ヒトの健康・環境面・労働者関連の問題、等… を取り上げる活動をも支援している。NNIに参加する連邦政府機関は現在17省庁(注:29) で、この内の13省庁がNNIに予算を拠出している。この13省庁による拠出額は下記の通り:

3. 気候変動科学プログラム(Climate Change Science Program = CCSP)

気候変動科学プログラム(CCSP)は、「1990年気候変動研究法」で定めた米国グローバルチェンジ研究プログラム(U.S. Global Change Research Program)と、2001年にブッシュ大統領が提唱した気候変動研究イニシアティブ(Climate Change Research Initiative)を統合した包括的プログラムである。CCSPでは、気候変動科学に関する意思決定に役立つ、科学に基づいた重要な情報を迅速に提供するため、@エアロゾル-雲-気候;A総合的な地球システム分析能力の開発;B水循環の観測、研究、および、モデリングの統合;Cランドサットのグローバルデータ;D北米炭素プログラムの統合;E気候の変化・変動がエコシステムの生産性や生物多様性に及ぼす影響;F旱魃への対応;G国際極観測年(International Polar Year);H総合海洋観測システムという優先9分野に焦点をあてている。CCSP予算は2004年度にピーク(約20億ドル)を迎えた後は下降傾向にあり、2008年度も前年度比7.4%減の15億4,400万ドルで、4年連続の予算削減となっている。2008年度のCCSP予算縮小要因は、NASAのGround Network and Research RangeがCCSPプログラムの属する地球科学室(Earth Science Division)から移管されて、CCSP予算の勘定外となることにある。NASAのCCSP投資が1億1,000万ドル削減となることを除けば、その他省庁の2008年度予算はNIH(700万ドル削減)を除き、2007年度並みの維持、または、100万から400万ドルの微増となる。CCSP参加各省庁の予算は下記の通り:

 


注釈:

1:2008年度戦時補正予算要求に盛り込まれた28億ドルを含めた数字。

2:「2007年度国防省歳出予算法」は2006年9月29日に成立済みであることから、国防省予算に関しては2007年度大統領要求額ではなく、議会認定額に基づく2007年度推定額を使用する。

3:2007年度大統領要求(742億3,400万ドル)比では、47億6,200万ドル(6.4%)の増額。

4: 米国議会が2007年度予算として、基礎研究と応用研究に大統領要求額以上を認可した為、上記の表では2007年度が2006年度よりも増額となる。しかしながら、2006年度予算を2007年度大統領要求額と比較すると、2007年度の基礎研究予算は3,500万ドル、応用研究は10億3,700万ドルの減額となる。

5:国防省R&D予算内訳の表では、2007年度と2008年度に要求されている追加予算を含めたたAAAS Preliminary Analysis of R&D in the FY 2008 Budgetのデータを利用。この為、2008年度予算教書のFederal Research and Developmentで記された数値とは一致しない。

6:米国議会は、ブッシュ政権のGICUR廃止提案を覆し、2007年度には910万ドルを計上している。

7:但し、ブッシュ大統領の2007年度要求額(3億4,500万ドル)との比較では8.7%の増額となる。

:「2007年度国土安全保障省歳出予算法」は2006年10月4日に成立済みであることから、国土安全保障省予算に関しては2007年度大統領要求額ではなく、議会認定額に基づく2007年度推定額を使用する。

9:これには、運輸保安局(TSA)や連邦緊急事態管理局(FEMA)、移民関税執行局(ICE)等による料金徴収推定額は含まれていない。

10:この表は、科学技術部の行政管理(Management and Administraion)予算を含まないため、6課4室の予算合計は7億9,910万ドルとはならない。

11:新設されるOHAの2008年度予算として、ブッシュ政権は1億1,790万ドルを要求している。

12:但し、2006年度予算と比較すると、4億2,600万ドル(5.6%)の削減。

13:2007年度予算案では、「水資源監視官(Water Sentinel)」と呼ばれたパイロットプログラム。

14:ホワイトハウスは2007年1月23日の大統領年頭教書演説の直後に、ブッシュ大統領のアジェンダ詳細を発表している。今年の年頭教書アジェンダの一つであったエネルギー政策に関する説明で、ホワイトハウスは、交通渋滞が最悪の米国85都市で、ドライバーは2003年に37億時間を無駄にし、燃料を23億ガロン無駄にしたことを指摘し、これを解決するため、「大統領は運輸省に対し、交通渋滞軽減、燃料節減、および、通勤時間縮減を可能にする方法の探究で州政府や諸都市と協力するよう求め」ている。運輸省の高速道路渋滞軽減イニシアティブはこの施策の一環として提案されたもの。

15: 「2007年度予算決議法」では同事業に11億1,400万ドルを計上しているため、2007年度推定予算よりは2億1,400万ドルの削減となる。

16:ホワイトハウスの科学技術政策局(OSTP)が発表した「水素燃料イニシアティブ」に関する一枚紙の概説では、運輸省の投資額は、RITAとNHTSAから2007年度要求と同額の100万ドルとなっている。運輸省の 『2008年度予算概要(FY2008 Budget in Brief)』 に目を通した限りでは、NHTSAからの拠出額が見つからず、現在、運輸省とOSTPに問い合わせ中であるが、未だ回答がないため、ここではRITA拠出の50万ドルだけを記載することとした。

17:『2008年度教育省予算概要と参考資料(Fiscal Year 2008 Education Budget Summary and Background Information )』は2008年度予算を、2007年度大統領要求額ではなく、「2007年度予算決議法」に基づいた2007年度推定額と比較していることから、ここでは2007年度推定を使用する。

18:ブッシュ政権は2007年度予算で42プログラムの廃止・35億ドルの節減を提案したが、2007年2月15日に成立した「2007年度予算決議法」は2007年度予算として教育省に2006年度並みの予算を計上。これにより、昨年廃止が提案されたプログラムも全て2007年度は継続となっている。

19:Math Nowイニシアティブは2007年度予算教書において初提案されたが、「2007年度予算決議法」は基本的に2006年度と同様のプログラムと予算を認可したものであって、新イニシアティブには予算を計上していない。従って、ここでは新規としておく。

20:同上。

21:但し、ホワイトハウスが算出した「2007年度予算決議法」の定めるNASA予算(161億9,500万ドル)と比較する6.9%(11億1,400万ドル)の増額であり、米国大学協会(Association of American Universities)が算出した2007年度NASA予算(167億4,700)万ドルと比較すると3.4%(5億6,200万ドル)の増額となる。

22:R&D予算の2007年度推定額は、2008年度予算教書の算定数値を使用。

23:テーマが再編されているため、2007年度大統領要求額と単純比較をすることが出来ない。NASAが発表した 『2008年度予算推定(FY 2008 Budget Estimate)』 では、新テーマ毎の予算比較を行うために、2007年度大統領要求を新テーマ構造に沿って算出し直している。従ってここでは、『2008年度予算推定』にある数値を2007年度要求額として使用する。

24:GPMプロジェクトは日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)との合同ミッションとして進められる予定のため、日米のパートナーシップを固めるためにMike Griffin NASA局長は3月に東京を訪問予定であるという。

25:「探査システム研究・技術」テーマの1つのプログラムとして実施されてきたプロメテウス原子力システム技術(2007年度予算要求550万ドル)は、2008年度からは、探査技術開発プログラムの一環として実施される。

26:但し、2007年度大統領要求額よりは3,200万ドルの削減となる。

27:米国国立公文書館のNITRD予算が、上記の2007年度要求に含まれていないのは、2007年度予算教書が提出された2006年2月6日の時点では同機関が未だNITRDに参加していなかったことによる。

28:「21世紀ナノテクノロジー研究開発法(21st Century Nanotechnology Research and Development Act)」で定めた認可予算の最終年度となる2008年度のNNI予算は、NSFの4億7,600万ドル;エネルギー省の4億1,500万ドル;NASAの4,230万ドル;NISTの8,400万ドル;EPAの680万ドルで計10億2,410万ドル。残念ながら、ブッシュ大統領の同5省庁に対する2008年度要求総額は同法認可額を1億7,100万ドル下回る8億5,300万ドルに留まっている。

29:表に記載された13省庁の他に、米国特許商標局、消費者製品安全委員会、労働省、および、教育省が参加している。

30:国立労働衛生研究所の略称。 

31:FSは林野部、CSREESは共同研究教育普及局の略称。


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