オバマ政権、クリーンエネルギー経済とイノベーションの促進を狙った

21世紀電力網近代化プランを発表

 

NEDOワシントン事務所
松山貴代子
2011年6月22日

オバマ政権が、米国電力網の近代化とクリーンエネルギー技術開発の促進を狙った新イニシアティブを2011年6月13日に発表した。新イニシアティブには、スマートグリッド技術導入向けの2.5億ドルというローン保証や、詳細なエネルギー利用情報を消費者に提供する民間部門の取組み、及び、ホワイトハウス再生可能エネルギー即応チーム(Renewable Energy Rapid Response Tem)の新設等が盛り込まれている。

ホワイトハウスによると、新たな官民イニシアティブは、経済刺激策(ARRA)を介した45億ドルの電力網近代化投資を増補するもので、再生可能電力源の送電系統への統合を促進し、増える電気自動車(の電気需要)に対応し、停電回避と停電時の迅速な電力復旧を助長し、発電所新設の必要性を減少することになるという。オバマ政権が発表した官民イニシアティブの概要は下記の通り:

  • スマートグリッド技術導入に対する2.5億ドルのローン保証: 農村の電力網アップグレードに焦点をあてた農務省地方公益事業局(Rural Utility Service)の活動の一環として、ローン保証を提供。

  • Grid 21の立ち上げ: 適切なプライバシー保護措置と消費者保護を確保すると同時に、消費者が自己のエネルギー利用を管理して電気代を節約する際に役立つ消費者フレンドリーなイノベーションの推進を目的とする官民イニシアティブの開始。

  • エネルギー情報への消費者アクセス改善を重点とするエネルギー省(DOE)の新たなコミットメント: 進捗状況を追跡するクラウドソース(crowd-sourced)マップの構築、米国の学生を対象としたデータ重視型(data-driven)の家庭省エネ(home energy efficiency)競争公募、進捗状況を測定評価するエネルギー情報局(EIA)の新活動、等。

  • 州政府や利害関係者とのパートナーシップ拡大: 経済刺激策(ARRA)下でのスマートグリッド投資で得た教訓を共有するイニシアティブ、地域毎に行う一連のピアツーピア(peer-to-peer)利害関係者ミーティング、www.SmartGrid.govで入手可能な最新のオンライン情報源、等。

  • アジア太平洋地域とのスマートグリッド貿易を促進する国際協力: 米国通商代表部(USTR)と商務省の国立標準規格技術研究所(NIST)はAPECフォーラムと連携して、アジア太平洋地域での市場機会拡大に不可欠なスマートグリッドの相互運用性基準問題で他諸国と協力。

  • ホワイトハウス環境問題委員会(CEQ)・内務省・DOEの主導で再生可能エネルギー即応チーム(Renewable Energy Rapid Response Tem)を設立: 連邦省庁間の調整を改善して、再生可能エネルギー事業提案や送電線提案のタイムリーな検討を保証。全米の市町村に再生可能エネルギーが普及することを保証。電力網の近代化によって、信頼性を改善し消費者のコストを削減。

     

上記イニシアティブの発表と同時に、ホワイトハウスは、国家科学技術会議(National Science and Technology Council =NSTC)が作成した『21世紀グリッドの為の政策枠組み(A Policy Framework for the 21st Century Grid)』という報告書を公表した。NSTCの報告書は、州・地方政府管轄権の重要性を認識し、電力網の近代化に向けた協力方針を提案している。報告書は4つの包括的目標を掲げ、各目標毎に、投資と雇用拡大及びイノベーションを推進する一連の政策提言を行っている。4つの包括的目標の概要は下記の通り:

目標1. 費用効果の高いスマートグリッド投資: 経済刺激策(ARRA)のスマートグリッド投資で学んだ経験を活かすため、エネルギー省(DOE)は消費者行動調査や実証事業からの教訓を公表する。電力会社による技術進歩の早期導入とこの有効活用を可能にすれば、精密な電力料金体系へとつながり、消費者は賢いエネルギー利用によってコストを削減できる。


目標2. 電力部門に潜むイノベーションの開発: 近代的な電力網は、エネルギー消費者に快適性・利便性・節約をもたらす手段としての新製品・サービスの開発導入を電力部門で促進する強力なプラットフォームとなり得るほか、スマートグリッド技術は、再生可能エネルギーの統合や電力需要ピーク時の管理、及び デマンドレスポンス計画に参加する消費者のコスト削減にも役立つ。こうした新規の技術・製品・サービスの開発を可能にするためにNISTは、スマートグリッド技術の国内市場構築を助長し、電気料金の最安時に自動的にスイッチが入る電化製品等のプラグアンドプレイ運用性(plug-and-play operability)の推進を助長するオープンスタンダードを策定する努力を監督している。


目標3. 消費者のエンパワーメント及び十分な情報を得た上での意思決定(informed decision making): 消費者は電気料金請求書を毎月受け取るが、従来の請求書にはエネルギー利用に関する情報が殆ど含まれていない。家庭の消費者にエネルギー消費に関する簡略なフィードバックを提供することで、電気使用量を4〜15%削減可能であることが数々の調査研究で判明している。消費者には機械読取可能なエネルギー消費情報にアクセスする権利がある。情報へのアクセスにより、消費者は自己の電力消費に関する理解を深め、自らのエネルギー利用を管理する新規ツールやサービスを活用することが可能となる。適切なプライバシー保護措置と消費者保護により、スマートな電力システムは全ての消費者に利益をもたらし得る。


目標4. 電力網の保護: サイバー攻撃から電力網を守り、攻撃された場合の復旧率を改善することは、不断の国家安全保障と国家繁栄を保証する上で不可欠である。電力網を守るため、行政府は、送電系統運用者が電力網への脅威情報にアクセスできることを確認するほか、より良いサイバーセキュリティ対策の研究開発を支援し、サイバーセキュリティ基準の遵守に関するアカウンタビリティー(説明責任)の確立で民間部門利害関係者と協力する。

(White House News Release, June 13, 2011; White House Fact Sheet, The President's Plan for a 21st Century Electric Grid, June 13, 2011)

 

 


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