オバマ大統領の2014年度予算案:概要

2013年4月10日
NEDOワシントン事務所
松山貴代子

オバマ大統領が2013年4月10日に約2ヶ月遅れ(注:1)で、2014年度の大統領予算案を提出した。大統領の2014年度予算は総額3兆7,780億ドルで、2013年度予算(3兆6,850億ドル)を930億ドル上回る要求となっている。

2014年度予算案の内訳は、Medicare(老齢者医療保険)やMedicaid(低所得者医療扶助)や社会保障といった義務的(mandatory)支出が2兆3,080億ドル(2013年度より1,050億ドル増)、利息支払が2,230億ドル(同額)、大災害発生時の災害救済予算が50億ドル(40億ドル増)、自由裁量(discretionary)予算が1兆2,420億ドル(160億ドル減)となっている。

 

主要省庁の自由裁量予算

 

省庁別の予算ハイライト



1. 商務省(2014年度予算は86億ドル)

  • 米国製造業の競争力を強化
    • 最高15ヶ所の製造技術研究所(manufacturing institute)から成る全米製造ネットワークの構築に10億ドル
    • 地元の製造業ポテンシャルを強化する包括戦略を策定した最高5つの製造コミュニティに財政支援を提供する、製造コミュニティ投資ファンド(Investing in Manufacturing Communities Fund)(注:2)を設置。
  • 国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology =NIST)に7億5,400万ドル(注:3)を計上
    • 製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership)の予算を2012年度水準よりも2,500万ドル増額
    • 製造業者が直面する共通課題に取り組むロードマップを策定する先進製造技術コンソーシアム(Advanced Manufacturing Technology Consortia =AMTech)には2,100万ドルを計上。
  • 企業にとって有用な連邦政府プログラムやサービスの情報を一箇所に集約して提供することを目的とするワンストップ窓口であるBusinessUSAの展開を引続き支援。
  • 地域の輸出戦略を促進する競争型グラント「地域型輸出チャレンジ(Regional Export Challenge)」の予算は1,200万ドル。

 

2. エネルギー省(2014年度予算は284億ドル)

  • 重要な連邦政府基礎研究支援機関の予算増大に対する大統領コミットメントの一環として、2014年度のDOE科学局に50億ドル余 (注:4)を計上。
  • 米国の再生可能発電を2020年までに倍増するため、DOEのクリーンエネルギー技術活動に対する投資を2012年度水準比で40%増大。
  • エネルギー効率化・再生可能エネルギー(EERE)部に28億ドルを計上 
    • 次世代先進自動車の開発・実証予算は2012年度水準比75%増の5億7,500万ドル
    • 次世代先進バイオ燃料の予算は2012年度比42%増の2億8,200万ドル
    • ソーラー・風力・地熱・水のエネルギーを使ったクリーンな発電の利用拡大とコスト削減に6億1,500万ドル
    • エネルギー安全保障トラスト(Energy Security Trust)を創設し、向こう10年間で20億ドル。
  • ARPA-Eには2014年度予算として3億7,900万ドルを計上。
  • 州政府によるエネルギー効率化・エネルギー浪費削減の政策実施を支援する「Race to the Top」アワードの予算は2億ドル。
  • 米国企業がエネルギー消費を減らすことによって製造コストを削減する一方で、製品の品質と製造工程を改善することを可能にする、先進製造技術の研究開発に3億6,500万ドルを投資。
  • 配電・エネルギー信頼度(Electricity Delivery and Energy Reliability)部が行う、スマートグリッド投資;エネルギー制御装置のサイバーセキュリティの向上;立地・許認可・分析活動の研究開発に1億5,300万ドルを投資。
  • 化石エネルギー研究開発プログラムの予算は4億2,100万ドル
    • コスト効率的な炭素回収貯蔵(carbon capture and storage =CCS)や先進発電システムの開発に2億6,600万ドル
    • 天然ガスを大規模CCSに統合する、天然ガス複合発電所第1号建設に2,500万ドルの賞金を提供。

 

3. 全米科学財団(2014年度予算は76億ドル)

  • 科学・技術・イノベーションの進歩を支える基礎研究に62億ドルを計上。
  • 未来のバイオ経済に向けた学際的研究を奨励するため、生物学・数学・物理化学・工学の境界面に位置する革新的研究提案に5,100万ドル; サイバーインフラ・イニシアティブには2012年水準を倍増し1億5,500万ドルを計上。
  • 画期的製造技術の基礎研究予算は1億6,000万ドル。
  • 国家ロボティクス・イニシアティブ(National Robotics Initiative)に対するNSF予算は3,200万ドル;先端材料の開発・導入に要する時間を短縮するマテリアル・ゲノム・イニシアティブ(Materials Genome Initiative)の予算は4,200万ドル。
  • 未来のクリーンエネルギー技術(太陽光発電や省エネ等)に直接関係する基礎研究に3億7,200万ドルを計上。
  • 「イノベーション部隊(Innovation Corps)」プログラムに2,500万ドル。

 

 

 


注釈:

1: 大統領予算教書は「1990年包括財政調整法(Omnibus Budget Reconciliation Act of 1990)」によって、2月第1月曜日までに提出と規定されている。とはいえ、諸々の理由により同期日までの予算案提出が困難な事態が生じることもある。実際、同法規定の対象第一号となったクリントン大統領の1994年度予算教書、ブッシュ大統領の2002年度予算教書、及びオバマ大統領の2010年度予算教書も発表が4月にずれ込んだという前例がある。

2: 当初資金は1億1,300万ドル。

3: 研究施設建設予算を除く。

4: 2012年度水準の5.7%増。

 

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