オバマ大統領の2015年度予算案:概要

2014年3月6日
NEDOワシントン事務所
松山貴代子

オバマ大統領が2014年3月4日、2015年度の大統領予算案を発表した。大統領が要求する2015年度予算は総額3兆9,010億ドルで、2014年度予算(3兆6,510億ドル)を2,500億ドル上回る金額となっている。

2015年度予算の69.6パーセントは、Medicare(老齢者医療保険)やMedicaid(低所得者医療扶助)や社会保障といった義務的(mandatory)支出(2兆4,580億ドル)(注:1)、利息支払(2,520億ドル)(注:2)、及び、大災害発生時の災害救済予算(60億ドル)(注:3)で占められており、米国議会で審議・決定を行う自由裁量(discretionary)予算の方は1兆140億ドル(注:4)と、2014年度よりも190億ドル少ない要求額となっている。

 

主要省庁の自由裁量予算

 

省庁別の予算ハイライト



1. 商務省(2015年度予算は88億ドル)

  • 最高45ヶ所の製造イノベーション研究所(manufacturing innovation institute)から成る全米製造イノベーション網(National Network for Manufacturing Innovation)の構築を支援。

  • 国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology =NIST)に6億8,000万ドルを計上
    • 製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership)の予算は1億4,100万ドル(2014年度比1,300万ドル増)
    • 米国企業が直面する共通の製造関連課題に取り組む技術ロードマップの策定を支援する官民パートナーシップ、「先進製造技術コンソーシアム(Advanced Manufacturing Technology Consortia =AMTech)」に1,500万ドルを計上
    • 連邦政府全体にわたって技術移転を加速・推進するNISTの活動に600万ドルを計上

  • 米国製品の輸出と米国への対外投資を促進する、国際通商・投資局(International Trade and Investment Administration)に4億9,700万ドルを計上
    • 雇用創出、経済成長及び米国競争力の促進のために、企業投資を米国内に誘致し、これを維持・拡大することを目的とするSelectUSAイニシアティブの拡充に2,000万ドル
    • 企業と連邦政府のリソースを効率的・効果的に結びつけるワンストップ窓口である「BusinessUSAイニシアティブ」の展開を引続き支援。

 

2. エネルギー省(2015年度予算は279億ドル)

  • 連邦政府基礎研究支援機関の予算増大に対する大統領コミットメントの一環として、クリーンエネルギーや基礎物理学の基礎科学分野において基礎研究を行い、リサーチ・インフラに投資するDOE科学局に2015年度予算として50億ドル余を計上。
    • 科学局のクリーンエネルギー基礎研究予算は9億ドル

  • エネルギー効率化・再生可能エネルギー(EERE)部に23億ドルを計上  
    • 持続可能な自動車技術と燃料技術の開発・実証予算は2014年度予算比15%増
      • EV Everywhereイニシアティブを含む自動車技術活動の予算は3億5,900万ドル
      • 先進バイオ燃料の生産技術を開発・実証するバイオエネルギー技術への予算は2億5,320万ドル
    • 省エネルギー活動及び先進製造活動の予算は2014年度比39%増
      • 先進製造技術への予算は3億510万ドル
    • SunShotイニシアティブのプロジェクトを始めとする革新的な再生可能発電プロジェクトの予算を2014年度比で16%増
      • ソーラーエネルギーの予算は2億8,230万ドル
      • 風力エネルギーの予算は1億1,500万ドル

  • ARPA-Eにには2015年度予算として3億2,500万ドルを計上。

  • 配電・エネルギー信頼度(Electricity Delivery and Energy Reliability)部の予算は1億8,000万ドル
    • スマートグリッド研究開発予算が2,440万ドル
    • エネルギー制御装置のサイバーセキュリティの向上に4,200万ドル
    • エネルギー貯蔵に1,900万ドルを計上

  • 先進小型モジュール炉(Small Modular Reactor)の研究開発予算を含む、原子力エネルギー部の予算は8億6,300万ドル

  • 化石エネルギー研究開発プログラムの予算は4億7,600万ドル
    • コスト効率的な炭素回収貯蔵(carbon capture and storage =CCS)や先進発電システムの開発に対する予算は3億240万ドル。

 

3. 全米科学財団(2015年度予算は73億ドル)

  • 科学・技術・イノベーションの進歩を支える基礎研究に58億ドルを計上。2015年には約7,900件のリサーチを助成予定。

  • 未来のバイオ経済に向けた学際的研究を奨励するため、生物学・数学・物理化学・工学の境界面に位置する革新的研究提案に2,900万ドル; 全研究分野での発見を加速させるサイバーインフラ・イニシアティブに1億2,500万ドルを計上。

  • 画期的製造技術の基礎研究予算は1億5,100万ドル。

  • 国家ロボティクス・イニシアティブ(National Robotics Initiative)に対するNSF予算は2,900万ドル;先端材料の開発・導入に要する時間を半減するマテリアル・ゲノム・イニシアティブ(Materials Genome Initiative)の予算は2,200万ドル。

  • 未来のクリーンエネルギー技術(太陽光発電や省エネ等)に直接関係する基礎研究に3億6,200万ドルを計上。

  • イノベーションの研究所から市場への移転を加速する、「イノベーション部隊(Innovation Corps)」プログラムに2,500万ドル。

  • 科学・工学研究で将来リーダーとなりうる数千名の優れた大学院生の支援に3億3,300万ドル; 学生教育で革新的なアイディアを探求する大学へ助成金を給付する、大学院教育イノベーション促進という新プログラムに700万ドルを計上。 未来のクリーンエネルギー技術(太陽光発電や省エネ等)に直接関係する基礎

 

 

 


注釈:

1: 2014年度予算よりも2,040億ドルの増額。

2: 2014年度よりも290億ドル増。

3: 2014年度よりも40億ドルの増額。

4: 予算全体に占める自由裁量予算の割合は、2013年度が33.2%、2014年度が32.15%、2015年度が30.4%と、縮小の一途にある。

 

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