ホワイトハウス、太陽光発電・エネルギー効率改善を推進する行政府施策と官民コミットメントを発表

 

2014年9月22日
NEDOワシントン事務所
松山貴代子

米国では太陽光発電の記録が塗り替えられている。バラック・オバマ大統領就任以来、米国内の太陽光発電設備容量は13倍に拡大し、今日では約16ギガワットに達している。業務用・住居用の太陽光発電価格は2013年の1年だけで12%以上低下し、これが住居やビジネスにソーラーパネルを設置する米国人増加の牽引役となっている他、全米で多くのソーラー雇用(注:1)を支えている。

ホワイトハウスは9月18日、気候変動対応努力の一環として、今後10年間に一層の成長が見込まれている太陽光発電の更なる普及と、エネルギー効率改善の推進を狙った、一連の行政府施策と官民コミットメントを発表した。今回発表された施策により、2030年までに二酸化炭素排出が約3億メトリックトン削減され、家庭やビジネスのエネルギー費が100億ドル以上節減されることになると推定されている。オバマ政権の発表した新たな行政府施策と、新たな官民コミットメントの概要は以下の通り。

 

【行政府の新たな施策】

  • 太陽光発電部門の熟練労働者の育成 

    エネルギー省(DOE)のSolar Instructor Training Networkでは今秋、コミュニィカレッジに設置されたソーラー訓練校を活用する、退役軍人対象の職業訓練パイロットプロジェクトを最高3ヶ所の軍事基地で立ち上げ。

  • 再生可能エネルギー・エネルギー効率改善への米農務省グラント及びローン

    米農務省(USDA)は、全米各地の540件に及ぶ再生可能エネルギー・エネルギー効率改善プロジェクト(内、240件はソーラープロジェクト)に6,800万ドルを投資。

  • 電化製品の効率改善

    DOEは、業務用・産業用ビルで空気調整の為に一般的に使われている、業務用一体型空調装置(commercial unitary air conditioner)の省エネ基準案を発布する。この省エネ基準が最終化されれば、2030年までに炭素汚染を6,000万メトリックトン以上削減し、エネルギー費を約100億ドル節約するものと推定。

  • 建築基準の強化

    DOEは9月18日、最新の業務用建築基準(ANSI/ASHRAE/IES基準90.1-2013)を支持する最終決定を公布。更にDOEは、最新の住居用建築基準(2015 IECC)が少なくとも2012年版基準と同等の省エネをもたらすという仮判定(preliminary determination)を発表。

  • 手頃な価格の住宅(affordable housing)へのクリーンエネルギーとエネルギー効率改善導入を支援する連邦プログラム

    住宅都市開発省(Department of Housing and Urban Development =HUD)は、地域コミュニティがHUDの地域社会開発ブロックグラント(Community Development Block Grant)Section 108資金やその他資金をクリーンエネルギーやエネルギー効率改善プロジェクトへ活用することを支援するため、再生可能エネルギー・ツールキットを作成。

  • 貧困削減の為に、サービス事業におけるエネルギー効率改善を最優先

    全国・地域サービス連邦公社(Corporation for National and Community Service)は9月中にAmeriCorps VISTAプログラムのガイダンスを発表予定。エネルギー効率改善と気候変動抵抗力(climate resilience)が初めて、低所得コミュニティにおける貧困撲滅サービス事業の選定要因として使われる見通し。

  • 連邦資源へのアクセス改善

    DOEは、太陽光発電普及促進を目的とする多様な連邦資源へのアクセスを提供するワンストップ・ショップとして、Solar Powering Americaを立ち上げ。

  • 太陽光発電を導入する融資ツールの活用

    DOEは9月18日、「エネルギー効率改善とクリーンエネルギー導入への連邦融資に関するガイド(Guide to Federal Financing for Energy Efficiency and Clean Energy Deployment)」の更新版を発表。エネルギー効率改善事業やクリーンエネルギー事業に利用可能な、財務省・HUD・USDA他の連邦政府省庁の融資プログラムを紹介。

  • 学校の太陽光発電導入進捗状況の紹介

    SunShot InitiativeのパートナーであるThe Solar Foundationは9月18日、ソーラーを導入した全米のK-12(注:2)学校に関する包括的データーベースである「National Solar Schools Census」を発表。

  • 太陽光発電価格の低下を示す新たな報告書の発表

    DOEとローレンス・バークレー国立研究所は、ソーラーエネルギー価格の低下が継続することを示す3つの調査報告(注:3)を発表。

  • 太陽光発電への投資を推進するため、キープレーヤーを召集

    ホワイトハウスは今年10月に、パーフォーマンスデータ・コントラクトの標準化・リスク評価ツール等の様々な施策を通じてソーラー市場へ更なる資本流入を推進する方法に関する円卓会議を開催。

  • イノベーションによって太陽光発電のソフトコスト削減

    DOEのSunShot Catalyst計画(注:4)の第二弾となるBusiness Innovation Contestを9月8日に開始。2014年11月7日まで提案を受付。

  • 連邦政府の太陽光発電調達推進 

    Capital Solar Challengeの民間部門アウトリーチ努力の一環として、総務庁(General Services Administration =GSA)は10月23日に首都ワシントンで、市場調査の実施、及びGSAの調達方法に関する開発業者や投資家の質問に応じるIndustry Dayを主催。

  • エネルギー生産性の向上

    Monizエネルギー長官は9月17日、2030年までに米国のエネルギー生産性を倍増するという大統領目標を支援するイニシアティブ 「Accelerate Energy Productivity 2030」に着手するため、DOE、競争力協議会(Council on Competitiveness)、及びエネルギー節約同盟(Alliance to Save Energy)が提携することを発表。 

 

【官民コミットメント】

  • 太陽光発電普及促進の為の新コミットメント

    商業部門のリーダーや低所得者向け住宅公団、及びコミュニティが9月18日、大統領の要請に応えてオンサイトの太陽光発電拡大を約束。

    • シスコ・システムズは、2015年までに世界各地の自社施設のオンサイト太陽光発電容量を2.7MWまで拡大することを確約。
    • BD(Becton、Dickinson and Company)は、プエルトリコのCayeyにある製造工場に太陽光発電を650kW増設することを確約。更に、プエルトリコとコネチカット州及びニュージャージー州に地上設置型太陽光発電装置を5MW設置する提案を検討中。
    • 3M、シスコ・システムズ、キンバリークラーク社、その他業界リーダーは従業員に、太陽光発電設置の大幅割引を提供することを約束。2016年までに北米の従業員宅で総計5MWの設置に繋がると推定。
    • マサチューセッツ州公共住宅局は、合計で13MWを超えるバーチャル・ネットメータリング(virtual net metering)クレジットの合意書に調印。
    • コロンビア特別区住宅局は、管轄地20ヶ所に総計962kWの太陽光発電設備容量を設置する機会を確認することを確約。
    • オレゴン州ビーバータウン市は、市が所有する1,500万ガロンの貯水池の上に433kW級の太陽光発電システムを建設することを確約。発電された電力は、同市の揚水施設で使用。
    • メリーランド州モンゴメリー郡は、2016年末までに、図書館やレクリエーションセンター、役所ビルや駐車場ビルといった17余の公共施設に6MW級の太陽光発電システムを設置することを約束。
    • バージニア州シャーロッツビル市は、2015年末までに250kW以上の太陽光発電を設置することを約束。
    • カリフォルニア州ジャクソン・ファミリー・ワインは、2016年までにカリフォルニア州に散在するワイン醸造所に6.5MWの太陽光発電を設置することを確約。
  • エネルギー効率改善投資推進の為の新コミットメント

    全米各地のリーダーは9月18日、大統領のエネルギー効率改善要請に応え、エネルギー効率改善投資を推進する更なる努力を約束。

    • 新たに、28の州政府・市政府・集合住宅・小売業者・商業不動産業者・製造団体が、大統領のBetter Buildings Challengeにパートナー(注:5)として参加し、今後10年間に4億平方フィート余の床面積でエネルギー効率を最低20%改善すると発表。
    • ロードアイランド州エネルギー資源局、ミシンガン州南東部エネルギー地方事務所、カリフォルニア州南部エネルギー地方事務所、メイン州ポートランド市、及びミシガン州フリント市が新たに、Better Buildings High Performance Outdoor Lighting Acceleratorに参加。

 

(White House Blog 'A New Solar Energy Job-Training Pilot Program for Veterans' September 18, 2014; White House Office of the Press Secretary 'FACT SHEET: White House announces Executive Actions and Commitments from Across the Country to Advance Solar Deployment and Energy Efficiency' September 18, 2014)

 


注釈:

1: 2013年のフルタイム雇用者は約14.3万人。

2: 幼稚園から高等学校までを指す。

3: Utility Scale Solar 2013Tracking the Sun VIIHow Much Do Local Regulations Matter? の三冊。

4: 太陽光発電のソフトコスト削減を目的にDOEが開始したコンテストで、「Ideation Contest」、「Business Innovation Contest」、「Prototyping」、「Incubation Contest」に分かれた四段階式コンテスト。「Incubation Contest」優勝者(最高5団体)への賞金は各10万ドル。

5: 2014年春時点のパートナー数は197。今回新たに28が加わり、パートナーの総数は225となる。

 

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