NEDO ワシントン事務所
米国バイオテクノロジー関連情報

2003年6月8日発行


米国が欧州のバイオテクノロジー禁止法に反発

10ヶ国の支援を得た米国は、欧州が遺伝子組み替え作物を事実上禁止したことに対して貿易訴訟を起こした。米国の農業経営者達およびバイオテクノロジー企業は、数ヶ月もこの訴訟を要請していた。

米国、アルゼンチン、カナダ、エジプトは、欧州のバイオテクノロジー作物一時禁止法について世界貿易機構(WTO)に協議を求めた。1998年、一般市民が遺伝子組み替え作物に反対する中、欧州諸国はバイオテクノロジー作物一時禁止法を制定した。この禁止法が自由貿易の原則に根本的に違反していると主張する4カ国は、今回初めて協議を要請することになった。他にも以下9ヶ国が第三者として米国を支持することに合意している。

  • オーストラリア
  • チリ
  • コロンビア
  • エルサルバドル
  • ホンデュラス
  • メキシコ
  • ニュージーランド
  • ペルー
  • ウルグアイ

欧州連合(EU)は、米国の反応に対して“法的保証または経済的根拠がなく、政治的にも役に立たない”と陳述した。欧州諸国は、この新規制によってバイオテクノロジー作物の見直しを行うと主張しているが、一般市民は農業バイオテクノロジー製品に対して非常に懐疑的であり、欧州政府が迅速に対応することに疑問を抱いている。

Washington Post,2003年5月14日

アレルギー治療にも効果がある喘息治療薬を専門家が支持

何百万ものアレルギー症状にも効果があるかもしれない初めての喘息治療薬が、食品医薬品局(FDA)の陪審員に承認された。

Xolairと呼ばれるこの新薬は、Genentech社、Novartis AG社、Tanoxsha の提携によって製造され、喘息患者にとっては画期的な治療法であるという医師たちの評価を得た。

Xolairは、中等度および重症の喘息の治療薬としてFDA審議会に承認されたが、アレルギー専門家達は、花粉、カビ、動物の鱗屑、食物に対するアレルギーを持つ数千万人ものアメリカ人の治療薬としてもいずれは処方することができると考えている。

3社は、今夏にFDA最終承認を獲得し、アレルギーシーズン後半にはXolairの市場販売を開始することを期待している。しかし、Xolairは最初かなりの高価で販売される予定であり、アナリスト達は年間最高1万ドルを予測している。

Washington Post,2003年5月16日

マサチューセッツ州の立案者達が胚性幹細胞研究の利点と倫理問題を検討

先頃、マサチューセッツ州を胚性幹細胞研究の“避難場所”とする法案の支持者達は、立案者に法案を早く可決するよう申し入れた。しかし、公聴会で数々の反対派が倫理問題について警告した。

この法案が制定された場合、“クローン”胚を作製する核移植技術などを含む、同州ですでに実施された幹細胞研究をも承認することになる。しかし、この法案は、クローンベイビーを作製するための似通った手法を使った生殖型クローニングは禁止している。同州では現在、生殖型クローニングは行われていないが、このような明白な禁止法も施行されていない。

胚細胞研究反対派は、利点があるにしても、幹細胞を作製するためだけにヒト胚細胞を作製し、破壊するのは間違っていると主張している。2001年8月、ブッシュ大統領が、連邦政府助成金の交付を実験室で作製された既存の幹細胞群を使った実験のみに制限することを発表した。新しく作製された幹細胞株を使った研究は、国立衛生研究所(NIH)やその他連邦政府機関の助成金の対象から除外される。

Boston Globe,2003年5月2日

米国税関がSARS感染の可能性がある旅客を拘束

米国における重症急性呼吸器症候群(SARS)感染を防ぐための連邦政府の取り組みの一環として、ブッシュ政権は、全米の国際空港の入国管理および税関職員に対し、SARSの症状を持った旅客を拘束する権限を与えた。

空港および国境の移民・税関審査を担当している国土安全保障省は、SARS感染を防ぐ政府の取り組みとして、先月、何千人もの税関審査官にマスクと手袋を支給した。

今後、税関審査官達はパスポートや手荷物の審査だけでなく、SARSの蔓延が最も深刻な北京、香港、シンガポールから毎日51本のフライトで入国する旅客の健康状態にも注意を払わなければならない。

これまで税関審査官によって拘束された旅客はまだいないことから、SARS感染者が太平洋を横断するフライトに搭乗するのを阻止しようと試みるアジア諸国の政府や主要航空会社の取り組みが成功していることが伺える。

New York Times,2003年5月6日

炭疽菌捜査のためにメリーランド州にある池の水抜き作業

2001年の郵便を使った炭疽菌事件で使われた炭疽菌を収集または廃棄した可能性があると連邦政府機関が示唆したことから、メリーランド州にある池の水抜き作業が行われるかもしれない。池の中から発見される可能性のある物の中には、危険な病原体やプラスチックで包装された水薬瓶を取り扱う際に一般的に使われるグローブ・ボックスも含まれる。

テロ攻撃主犯者が感染することなく、開けた土地に何の痕跡も残さずに致命的な炭疽菌胞子を封筒に入れ、池中に放棄した可能性があるというFBAの新しい見解から池の水抜き作業が計画された。

犯人の手口としては、空中の炭疽菌から保護するために封筒と炭疽菌をグローブ・ボックスに入れ、炭疽菌を封筒に入れるためにグローブ・ボックスを水中に沈める。その後、水中のグローブ・ボックスから取り出す前に封筒をビニール袋に入れて密封する。

Associated Press, 2003年5月12日

Genomic Profiling Systems社が生物兵器研究のためNIH助成金を受理

国立衛生研究所(NIH)の国立アレルギー疾患・感染症研究所(NIAID)は、生物兵器物質の迅速診断のためのMiltiPathテストを開発するGenomic Profiling Systems社に対し、フェーズ1SBIR助成金として11万9,820ドルを供与した。

この助成金は、高感度で特異的なマイクロビーズ標識と瞬間的フィルム画像処理を使った同社の技術の商用化を支援するものである。

マサチューセッツ州拠点の診断専門企業によると、この定量テストによって、他の迅速診断法が検出できるレベルよりも低量の炭疽菌、天然痘、ボツリヌス毒素などの生物兵器物質を検出することができる。

GenomeWeb,2003年5月19日

製造・販売過程の詳細情報を記録することによって製品を使ったテロ攻撃を防ぐ

連邦政府機関はテロ攻撃に備えて全米の食品供給を保護する計画を完了しつつある。特に、食品医薬品局(FDA)は食品会社に対し、製品の詳細情報の記録を義務付けることを計画しており、公衆衛生上、被害になりうる食品を差し止めするシステムを構築している。

FDAが連邦官報で発表した規制案は、2002年の公衆衛生安全保障バイオテロリズム法によって義務付けられた最も新しい2つの規制が12月に発効されるが、企業の規模によって規制遵守の期間は異なってくる。

一つ目の規制案は、食品製造業者、加工業者、包装業者、配給業者、受け取り業者、保管業者、輸入業者が食品の入手経路と出荷経路についての詳細情報を記録することを義務付けている。この記録によって、食品の製造経路が明確となり、どの時期に誰が食品を取り扱っていたかが正確にわかる。

二つ目の規制案は、公衆衛生に被害となりうる食品を差し止めることをFDAに許可するものである。この規制案によると、30日を越える食品の差し止めは許可されず、農務省(USDA)管轄の食品である食用肉、鶏肉と卵製品は除外される。

FDAは、食品の差し止め規制にかかる費用を最高3,800万ドル、製品の情報記録に関する規制にかかる費用を平均3億8,300万ドルと予測している。  
           
HealthSouthNews,2003年5月6日

AstraZeneca社のがん治療薬IressaがFDA承認を受ける

AstraZeneca Plc社のIressaは、他の治療法では効果が認められない肺がん末期患者の治療薬として食品医薬品局(FDA)の承認を受け、新しい抗がん剤の中で初めてのFDA承認となった。

Iressaは上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤として知られる新しい治療薬の一種で、がん細胞を正確にねらい、増殖を促進するシグナル伝達を阻害する。FDAは、最も一般的な進行非小細胞肺がん(NSCLC)の患者のうち、プラチナ製剤とdocetaxelの併用化学療法を受けたにもかかわらず、がんの進行を阻止することができない患者のための治療薬としてIressaを承認した。プラチナ製剤とdocetaxelを用いた化学療法はNSCLCの一般的な治療法である。

しかし、昨年の併用療法臨床試験でIressaは効能を発揮できず、また日本ではIressaに関連した246件の患者死亡例が確認されており、安全性についての懸念が持ち上がったことから売上が後退した。FDAは、Iressaの副作用、間質性肺炎によって死亡したこれら246名の患者のうち、AstraZeneca社の“拡張アクセスプログラム”の一環としてIressaを投与していた患者は日本で約2パーセント、アメリカではたったの0.3パーセントだったことを確認した。
FDA承認によってIressaの売上は2007年までに年間最高10億ドルにまでのぼる可能性もあるとアナリスト達は予測している。

Reuters,2003年5月5日


イースト菌の遺伝子が長寿研究のカギに

ハーバード大学医学部(HMS)の研究者達は、イースト菌のある種の遺伝子が寿命の主要調節因子であることを発見した。多数の生物の寿命に影響することで知られる環境要因に特別な反応を見せたのはPNC1と呼ばれるこの遺伝子が初めてである。研究チームによると、熱量を制限された環境でイースト菌が延命するためにはこのPNC1が必要であることが明らかとなった。PNC1を5個持つイースト菌は、イースト菌種の中で最も寿命が長い野生種よりも70パーセントも長生きする。

この研究結果によって、寿命は単に新陳代謝を低下することに依存するのではなく、研究者達が提言したように、細胞の活発な遺伝子プログラムによって部分的に制御される。理論的にはこの遺伝子プログラムを活性化することが可能である。

この研究は国立老化研究所(NIA)とHarvard-Armenise財団によって資金援助され、研究奨学金はEllison Medical Research財団、John Taplan Posdoctoral Fellowship Program、米国国立科学財団(NSF)、American Federation of Aging Researchによって援助された。

Harvard Medical School,2003年5月8日

新しい大腸がんの原因遺伝子を同定

ヒトゲノム計画への投資により実現された研究において、Howard Hughes Medical Instituteの研究者達は現在知られている全チロシンキナーゼを綿密に検査し、大腸がんで高頻度に起こる新しい遺伝子突然変異を同定した。

キナーゼは、他のたんぱく質をリン酸化することによって、そのたんぱく質の活性を調節する酵素である。大腸がんで活性化されているキナーゼのキノームを解析するにあたって、研究チームはチロシンキナーゼ活性を持つ酵素を研究した。研究者達はチロシンキナーゼ活性を持つ酵素をコードする遺伝子群の全DNA塩基配列は解読せずに、“キナーゼ領域”に焦点を絞って突然変異の有無を解析した。このキナーゼ領域が、主に酵素活性に関連しているため最も重要だと考えられている。

研究者達はまず、キノーム・データベースからチロシンキナーゼと類似した138個の酵素のキナーゼ領域を同定した。次に、35個の大腸がん細胞株からDNAを抽出し、キナーゼ領域の塩基配列を解読して比較検討した。その結果、14個のチロシンキナーゼ遺伝子のキナーゼ領域において突然変異が確認された。研究者達は他の147個の大腸がん細胞株におけるキナーゼ領域の突然変異を同じ手法で解析し、突然変異が生じたキナーゼ遺伝子の塩基配列を解読した。全部で46種類の今までには報告されていない突然変異が確認された。

がん細胞で特異的な突然変異を解析することによって、突然変異がチロシンキナーゼの機能、特に活性化調節に影響することが明らかとなった。研究者達によると、大腸がんの約30パーセントの少なくとも1つのキナーゼに突然変異が起こることがわかり、理論的にはキナーゼの機能を阻害する薬剤によって障害を受けやすいことを意味する。

Howard Hughes Medical Institute,2003年5月9日

バクテリアが食品加工廃棄物を水素に転換

ペンシルベニア大学の環境エンジニアは、同州の食品加工業者の廃水を使ったテストの結果によると、巨大食品製造業者はでんぷんを豊富に含んだ廃水から水素を生成することが可能であると予測している。これによって、食品製造業者は年間500万ドル以上の利益を得ることができるかもしれない。

研究者達は、食品製造業者から出た廃水サンプルに水素産生バクテリアを加えた。バクテリアは同大の土壌から採取され、胞子を生成するバクテリアを除くその他すべてのバクテリアは加熱殺菌された。不活発な胞子は耐熱性を備え、不利な環境でも生存でき、有利な環境では成長を開始するように適応している。水素を生成するバクテリアが持つ胞子は、廃水に接触すると通常の発酵プロセスによって廃水の食物を貪食して水素を生成する。

この手法の資本コストは高額であるが、食品加工業者にとっては、長期的に見て環境的にも財政的にも利益をもたらすと研究者達は予測している。既存の処理場の多くは、装備を改良してより安価な資本コストで水素とメタンを生成することができる。

American Society for Microbiology,2003年5月20日

骨髄幹細胞によって損傷された肝臓を治療

ワシントン大学セントルイス校医学部の研究によると、骨髄もしくは臍帯血の幹細胞によって、肝硬変、ウィルス感染、外傷、化学療法、放射線治療などによる肝臓の損傷を治療できるかもしれない。

免疫不全のマウスを使って行われた研究によると、通常は血液細胞を産生するヒト幹細胞は、損傷された肝臓において肝臓様細胞を産生することができる。

研究者達は、非常に精製されたヒト幹細胞を骨髄と臍帯血から抽出し、肝臓の損傷を誘導された免疫不全マウスに移植した。その後、幹細胞は循環血液へと移動して損傷された肝臓にとどまり、そこで肝臓様細胞へと転換して肝臓しか産生できないたんぱく質、アルブミンを産生したと考えられる。

これによって、ヒト骨髄と臍帯血から抽出された幹細胞を使ってどのように肝臓疾患を治療できるかについての研究のための動物モデルが初めて成功したことになる。この研究は、国立心臓、肺、血液研究所(NHLBI)および国立糖尿病・消化管腎臓疾患研究所(NIDDK)の助成金によって支援された。

Washington University School of Medicine,2003年5月15日

通常の細胞を卵細胞に転換

ペンシルベニア州の科学者達は、実験室の培養皿において通常のマウス胚細胞を卵細胞へと転換することに成功した。これによって、“デザイナー”卵細胞を作製する道が開け、ヒトに応用した実験に成功した場合は父親と母親の生物学上の境界線が不明確になるかもしれない。

この研究では、女性の細胞だけでなく男性の細胞から卵細胞を作製することに成功したことから、男性でも卵子を生成する生物的能力を持ちえることを意味するため、今までの標準的な親の観念が根本から覆されることになった。

ヒト細胞を用いた実験でもマウス実験と同じような結果が得られた場合、同性愛者も近い将来、一人が精子を、もう一人が独自の遺伝子を持った卵子を提供し、有性生殖によって子供をつくることができるかもしれない。

しかし、これによって、卵子を提供した男性が実母として認識されるかどうかという難しい問題も浮上してくる。

Washington Post,2003年5月2日

SARSの脅威が衰えていないことが判明

重症急性呼吸器症候群(SARS)感染が勃発してから、この病原ウィルスの突然変異に関する初めての詳細解析が行われ、科学者達の期待に反してSARSの脅威は弱まっていないことが判明した。

世界中のSARSウィルス14種を比較したところ、予想よりもはるかに突然変異が少なく、ウィルスの危険性が低減された様子は全く見られなかった。最近、動物だけでなくヒトにも感染するようになったSARSウィルスであるが、感染者を移るごとに感染力が弱くなるという一般的な感染パターンを予測していた科学者達にとっては非常に残念な結果となった。

反対に、大きな遺伝子変異がないということは、エイズのように治療薬の影響を受けないよう巧みに突然変異を引き起こす可能性が低いことを意味するため、有効なワクチンや治療法の開発が可能になる。しかし、SARSウィルスが属する病原体群であるコロナウィルスに対して、ワクチンを開発するのは困難で、薬剤への抵抗力(耐性)を獲得することが非常に早いことで知られていることから、この利点は相殺されるかもしれないと専門家達は語っている。

Washington Post,2003年5月9日

炭疽菌の毒性のカギは遺伝子コードにある

およそ3年間の厳密な分析の結果、科学者チームは炭疽菌の要因である細菌の遺伝子コードを解明した。

メリーランド州RockvilleのInstitute for Genomic Research (TIGR)の研究者達は、炭疽菌の細菌と、医学的には良性で毒性を持たない近種の細菌の全ゲノムを比較することによって、土壌に生息する細菌がヒトに感染し、免疫防御システムを克服し、毒素で死亡させる能力をどのように獲得したかについての解明に取り組んでいる。

B. anthracis(炭疽菌)に特異的なDNA配列を同定することによって、より正確なバイオテロ検知システムや、炭疽菌感染を同定する診断テストの開発が急速に進む可能性も考えられる。しかし、これが新しい薬剤やワクチンの開発へと進むには、細菌の何千もの遺伝子がどのように相互作用するかを同定する困難な研究など、まだまだ多くの研究が必要とされる。

Washington Post,2003年5月5日


Meditech Pharmaceuticals社とElan Bio社がBIO 2003でスキャナーのデモを実施

Meditech Pharmaceuticals社とジョイント・ベンチャー・パートナーのElan Group社は、今月下旬にワシントンDCで開催されるBIO 2003国際会議において、バイオハザード・化学・反テロソリューション(biohazard, chemical anti-terrorism solution)を発表する予定である。両社の非侵襲的・分光分析スキャン技術によって、炭疽菌などの危険な毒素や病原体を即座に検知することができ、郵便仕分け施設のベルトコンベアーに挿入したり、携帯電話サイズのスキャナーとして持ち運びができたり、給水システムに設置することもできる。

バイオテクノロジー産業機構(BIO)主催で6月22〜25日にかけて開催されるBIO 2003国際会議は、パートナーシップやネットワーキングの機会を狙っている世界中の企業が集まるものと思われる。Meditech社とElan社のジョイント・ベンチャーは、資本や戦略的提携を募り、独自の非侵襲的バイオテロ・ソリューションについて説明する。両社はこのジョイント・ベンチャーによる新しい企業を共同で所有することになると思われる。

Elan社は、封筒の中の炭疽菌種を100パーセントの確率で検知することができるこのプロトタイプが大評判になることを自負している。同社はすでに、オーストラリア郵政公社、Airservices Australia、豪防衛科学技術機関(DSTO)と検知技術のテスト契約を締結した。

Business Wire,2003年5月8日

米国郵政公社がCepheid PCR Technology社のバイオハザード検知システムを導入

Cepheid社のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術GeneXpertは、米国郵政公社(USPS)の郵便仕分け施設に全国的に導入されるバイオハザード検知システムに使用されることが決定した。

USPSは、Northrop Grumman社のSecurity Systemsを主契約業者およびシステム・インテグレーターとして選定し、この1億7,500万ドル計画は2004年1月から10月にかけて実施される予定である。

Northrop Grumman社は、Cepheid社のGeneXpert PCRを使って、 GeneXpertが郵便処理装置を通る際に収集された空気サンプルを高速で解析し、炭疽菌胞子やその他生物物質のDNAのトレース・レベルを検知する。Cepheid社によると、このシステムは30分以内にサンプルからPCRテストの結果を提供することができる。

GenomeWeb,2003年5月19日

EntreMed社が損失を低減、方向性も転換

メリーランド州Gaithersburg拠点のEnreMed社は、今年度第1四半期の損益を低減したと発表した。

EntreMed社は昨年同期に1,450万ドルの赤字を計上したが、研究開発費を76%まで削減したことで、今年度は3,700万ドルに留めた。収益は6万ドルから51万4千ドルへと増強した。これは食品医薬品局(FDA)から、医薬品開発許可を得たことが理由と思われる。

がん治療のため、たんぱく質製剤の長期開発を行った後、EntreMed社は、さまざまな疾病に効能を見せる微粒子の非たんぱく療法へと方針転換をした。微粒子製剤はたんぱく質製剤より開発コストが低く、がんのみでなく多くの疾病の治療法として利用できる。また、経口用や局所用、その他の投与法でも使用できる。

Washington Post, 2003年5月15日

国際的機関と企業がウィルス試験の権利をめぐって競争

米国では、疾病管理予防センター(CDC)が、重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因とされているコロナウィルスとそのゲノム塩基配列に関して特許を求めている。香港の科学者達も独自の特許を求めていて、同時にカナダの研究者もウィルスの遺伝子に関して特許を出願している。この特許が承認された場合、いかなる企業が治療方法を確立した場合でも、特許料を支払わなければならない。

多くの企業が世界中でこの危険なウィルスの診断・治療法を開発しようとしていることから、法的な問題へと発展し、この疾病の治療薬の開発と販売を複雑にしている。このようなリスクがあるにしても、企業は社会への貢献や将来的な利益の為に、特許出願を行っている。診断・治療法は基礎実験をベースに開発が進められているが、同時に規制問題も整備されつつある。

どのくらいの範囲でSARS関連の特許が出願され、どのくらい承認されるかにもよるが、診断専門企業は診断テストを販売するために様々な特許契約を締結する必要がある。

Washington Post, 2003年5月15日

マイクロアレイ技術がトキシコゲノミクス市場を牽引する

DNAマイクロアレイ技術は、現在トキシコゲノミクス分野の定義づけにおいて大きな役割を果たしている。有害の可能性のある化合物を評価するためのより正確で迅速な手法を求め、毒物学者は、毒性刺激物への反応のゲノム・スケールでの遺伝子発現パターンを同定するために、マイクロアレイを活用している。トキシコゲノミクスの研究結果より得られた何千ものデータより、研究者達は、今までは不可能だった精度で化合物の毒性について解明することが可能になった。この技術によって、製薬会社は新薬開発段階の早い時期に、化合物を診断することができ、以前よりも早く安価で製品開発することが可能になった。

バージニア州拠点のライフサイエンスのコンサルティング会社であるBioinformatics社によると、トキシコゲノミクスに関するマイクロアレイの利用は、現在の利用者の間で来年には33%増加するという。同社の最近の調査では、ガラスチップとガラススライドおよび膜型のシステムが、毒物学者の間で有力なマイクロアレイプラットフォームとされている。

DNAマイクロアレイとして初めて商用化されたAffymetrix社のGeneChipが、プラットフォームの有力製品とされ、業界のスタンダードとなっている。しかし、毒物学者は非商用的にマイクロアレイを入手することもある。例えば調査対象の12パーセントはは共同研究者から、20パーセントは社内でマイクロアレイチップを調達している。

PRNewswire, 2003年5月8日

Human Genome Science社がAbgenix社 からライセンス権を取得

Human Genome Science(HGS) 社は、Abgenix 社とのライセンス権契約に合意し、研究開発を進めている。

HGS社は、2003年に多くの新薬を次の臨床治験段階に進め、年末までには2~3の新薬の新薬治験申請(IND)を行う予定である。

HGS社はまた、CCR5受容体のモノクローナル抗体を開発・商用化する国際ライセンス契約をAbgenix 社と締結した。CCR5受容体は、ヒトケモカイン受容体で、HIV感染の際に必要とされている。HGS社はAbgenix 社の技術を利用して抗体を開発した。

1999年の契約後、また2001年の改正を経て、抗体が開発されて商品化された場合、HGS社は臨床治験の報奨金と特許使用料をAbgenix 社に支払うことになる。

Dow Jones Business News, 2003年5月12日

Diversa社がJGIの微生物遺伝子配列プロジェクトチームの一員に

微生物ゲノム企業のDiversa社は、米国エネルギー省のJoint Genome Institute (JGI)と共同研究を行い、あらゆる環境状態に生息する新しい微生物遺伝子の発見とDNA塩基配列の解読を行う。

Diversa社が環境サンプルからDNAを抽出して遺伝子ライブラリーを作製し、JGIは、これら生物の遺伝子の塩基配列を解読する。

Diversa社によると、この共同研究によって得られる全塩基配列データは同社に提供され、更に解読完了後6ヶ月間はGenBankに蓄積される。

Diversa社とJGIは、深海にある温水源、核兵器製造所の土壌、樹木の外皮に生息する熱帯林の寄生植物が収集した水等、極端な環境に生息する微生物のゲノム塩基配列を解読すると語っている。

Diversa社によると、現在遺伝子ライブラリーには300万件の特殊な微生物の完全ゲノム塩基配列が保存されている。

Genome Web, 2003年5月5日

US Genomics社、2500万ドルの調達により救済

マサチューセッツ州Woburn拠点のUS Genomics社は、巨大投資企業Fidelity Investment社の傘下にあるボストン拠点のFidelity Bioscience Group社(FBG社)から2,500万ドルの投資を受けることとなった。1998年創立のUS Genomics社は、これまでの3回のベンチャーキャピタル投資ラウンドで1,930万ドルを獲得している。

今回の投資には、これまでの投資企業であるニュージャージー州Princeton拠点のHealthCare Ventures社に加え、マサチューセッツ州Cambridge拠点のZero Stage Capital社、台湾のChina Development Industrial Bankが名を連ねている。

今回の資金調達によりUS Genomics社は、FBG社社長のMark Peterson氏、Zero Stage Capital社のBen Bronstein氏を常務として迎え、役員7人の体制とした。尚、最高経営責任者を務めたIan Chang氏は、個人的理由により辞任した。

Genome Web, 2003年5月7日

インドで初めての遺伝子組み替え綿花を収穫

インドで、害虫への抵抗力を持つBtと呼ばれる初めて承認された遺伝子組み替え綿花の栽培が行われていた。セントルイス拠点のMonsanto社によって開発されたこの新しい苗種は、4年間にわたる厳しい審査を経て承認された。多量の殺虫剤による土壌の悪化という、インド農業の悪循環に対する対応策として期待されている。

インド全体の農業経営者の約2パーセントにあたる5万5千人の農業経営者は、7州において遺伝子組み替え綿花Bollgardの栽培を開始した。Monsanto社によると、Bollgardは綿花に最も甚大な被害を与えるワタキバガと呼ばれる線虫に対して抵抗力を持つ。しかし、遺伝子組み換え作物の長期的な影響に対する不安と、インドの農業経営者が欧米の企業にコントロールされる事をよしとしない自然主義者の懸念によって、インドにおけるバイオテクノロジー農業の進展が遅れているのが現状である。

インドにおける綿花栽培は非常に非効率的である。インドの綿花栽培面積は他のどの国よりも大きいが、生産性については最低の水準である。収穫量を高めるにあたり最大の障害は、増大する害虫の問題である。このため殺虫剤を用いるが、土壌を悪化させ、水資源を汚染し、更に害虫自身が抵抗力を身につけてしまう。

この問題に対して、遺伝子組み替え綿花が提案されている。

Washington Post, 2003年5月4日

Digene社、今四半期の損失低減

メリーランド州GaithersburgにあるDigene社は、今四半期の売上高を1,800〜1,950万ドル、収益を60万ドルと予測しているが、今年度の損失は最高400万ドルに上る見込みである。
先月、子宮頚部がんの主要診断テストとしてHPVテストの販売許可を獲得したDigene社は、2004年度の成長を予測しており、売上は9,500万ドル、収益は最低でも650万ドルに達すると見込んでいる。

同社は6月、パップテスト併用DNA診断テストの販売を正式に開始する予定である。アナリスト達によると、米国市場において年間最高3,500万人の女性を対象とし、4億ドルの売上が予測される。

Washington Post, 2003年5月7日

中国がSciClone社のSARS治療薬を導入したことから同社の売上が3倍増 

カリフォルニア州San Mateo拠点のSciClone Pharmaceutical社は、第2四半期におけるZadaxinの売上が、3倍増の1500万ドルに達する見通しであることを発表した。これは、医師達がZadaxinの静脈内投与によって、重症急性呼吸器症候群(SARS)治療を試みている結果である。この薬剤は、免疫能改善の目的で中国で販売されている。

これまでSARSに対する効果的な治療法は確立されておらず、政府や民間企業の科学者達は、この生命を脅かす疾患の検知・治療方法の発見を競い合っている。

SciClone社は、今期、中国におけるSARS関連の売上が伸びることから、初めて利益を計上する見込みである。Zadaxinは、B型肝炎の治療薬として中国で承認されており、がんや感染性疾患の治療薬としても臨床治験が実施されている。米国においては未だ承認されていないが、現在C型肝炎の後期臨床治験が行われている。

サイモシンα1の化学合成物質であるZadaxinは、体内で自然生成される物質で、SciClone社によると、白血球の産生を促進し、免疫反応を高める働きがあるという。

The Chronicle, 2003年5月7日

バージニア州Ashburnで5億ドルをかけて生物医療研究センター開発

Howard Hughes Medical Instituteの生物医療研究センター建設が開始された。この研究センターは、バージニア州Ashburnにある281エーカーの敷地に5億ドルをかけて建設される。

同センターには、遺伝子発見の時代において新しい医療研究ツールの開発に取り組む生物学者、化学者、物理学者、コンピューター専門家などの交流を促進するように3階建てのビルが建設される予定である。

Washington Post,2003年5月6日

メリーランド大学が8,000万ドルをかけて施設拡張

国立衛生研究所(NIH)とメリーランド大学ボルティモア校は、感染性疾患およびプロテオミクスの研究スペース拡張のために7,800万ドルをかけて施設を開設した。

6階建て10万1,000平方フィート(約9,400平方メートル)のこの施設は同大学の保健科学施設に隣接しており、医学部および薬学部の科学者250名が利用することになるが、施設の大部分は医学部が利用する。

保健科学施設IIと呼ばれるこの新しい施設の開設によって、同大が、特にゲノミクスやバイオインフォマティックスなどの分野に関連した新しい教職員を募集するのにも役立つであろう。

GenomeWeb,2003年5月8日


トップページへ / バイオ・インフォのトップへ