NEDO ワシントン事務所
米国バイオテクノロジー関連情報

2004年1月25日発行


ペンタゴンが軍人の炭疽菌ワクチン計画を再開

ワシントンDC連邦地方判事は、ペンタゴンに対し、炭疽菌ワクチン計画の暫定的差し止めを撤回し、このワクチン計画の合法性について訴えている6名の起訴人を除く米国の全軍人に、炭疽菌ワクチン接種を義務付ける計画を再開することを認めた。Emmet G. Sullivan判事は、食品医薬品局(FDA)が、炭疽菌ワクチンは肺炭疽・皮膚炭疽症のどちらにおいても、致命的な炭疽菌からの予防に有効であることを正式に発表した後に、今回の判定を下した。

皮膚炭疽症に対してのみ効果があることをFDAが公式に表明したことから、昨年12月22日、炭疽菌ワクチンの義務付けを禁止する差し止め命令を出したSullivan判事は、このワクチンは“未承認の目的に使われている”実験段階の薬剤であるという判決を下していた。

炭疽菌ワクチン計画について起訴したワシントンDCの弁護士Mark S. Zaid氏は、Sullivan判事が差止め命令を撤回したことは一時的な後退にすぎず、訴訟依頼人が最終的には勝利を収めると語っている。

Zaid氏は、動物実験のみをベースに炭疽菌ワクチンを承認したFDAの判断に不備があることを理由に、炭疽菌ワクチン計画の差し止めを再び行うよう、Sullivan判事に要請する予定である。Zaid氏はまた、FDAが炭疽菌ワクチンを承認したとしても、軍隊においてワクチン接種が適切に行われていないことから、炭疽菌ワクチンは違法とみなすべきだとする自説を支持する証拠を法廷で発表する予定である。

Washington Post、2003年1月8日

カリフォルニア州Mendocino郡が遺伝子組み替え生物の禁止について投票

北カリフォルニアのMendocino郡は、今年3月2日、遺伝子組み替え生物を禁止するかどうかについて投票決定を行う予定である。この条例Hが可決されると、同郡での遺伝子組み替え植物・動物の栽培・飼育、もしくは保管が禁じられる。しかし、遺伝子組み替え成分を含む加工食品の店頭での販売は許されることになる。

この条例が可決されると、バーモント州からハワイ州まで、いたるところで起こっている遺伝子組み替え反対運動に拍車をかけることになるであろう。否決された場合、2002年にオレゴン州において、バイオテクノロジー成分を含むすべての食品に成分表示を義務付けるという法案が否決された時と同様、活動家たちに影を投げかけるであろう。

活動家やバイオテクノロジー関連のロビイスト達は、バイオテクノロジー農作物の普及に関する紛争をめぐって州政府・地方自治体を標的にし始めている。Pew Initiative on Food and Biotechnologyの調査によると、2001〜2002年にかけて、バイオテクノロジーに関連した158件の法令が39州で提案された。そのうち19件は、メリーランド州が2002年に可決した遺伝子組み替え魚の5ヵ年禁止などを含む、バイオテクノロジー製品に制限を加えるものである。

Mendocino郡内では遺伝子組み替え農作物は栽培されていないことと、同郡の主要農作物の遺伝子組み替えバージョンが商業化されていないことから、この条例が制定されたとしても実質上それほど打撃を受けない。バイオテクノロジー農作物禁止令によって、有機栽培生産者は、この条例を販売ツールとして利用することができるようになる。

Los Angeles Times/Associated Press、2004年1月12日

中国がSARS蔓延を防ぐために取り組む

中国広東省南部のテレビプロデューサー(32歳)がSARSに感染したことが報道され、中国政府衛生部はSARS勃発を防ぐための取り組みについて発表した。この男性のSARS感染は、昨年7月以来初めての事例となった。衛生部によると、この男性の発熱もおさまり、容体は安定している。

中国と共同調査を行っている世界保健機構(WHO)は、スイスの独立研究所が結果を確認したと述べた。

中国は先頃、SARS感染を防ぐため、広東省の野生動物市場における何千匹ものカコミスルおよび、それに関連した数種を屠殺すると発表した。中国南部では珍味として扱われているカコミスルは、市場や飲食店でも入手可能である。しかし、科学者達は、このイタチに似た哺乳動物が、SARSが動物からヒトに感染する原因であることを以前から予測しており、遺伝テストによってカコミスルとSARS患者の関連性を証明した。

CNN、2004年1月5日

狂牛病感染の可能性があるウシの3番目の隔離がワシントン州で行われる

米国農務省(USDA)は、全米で初めて確認された狂牛病事例となったカナダから出荷されたウシをもう1頭突き止めたとして、ワシントン州で3番目のウシの群を隔離した。

これによって、USDAは、2001年9月にカナダのアルバータ州からワシントン州に輸入された82頭のウシのうち11頭を同定し、残りのウシについての手がかりも十分だとしている。

USDAは、これらのウシが狂牛病を伝染させる恐れがあるという理由からではなく、これらのウシがまだ子ウシのころに摂取した飼料が汚染されていた可能性があるとして、隔離することによって飼料の出所を突き止めることができるかもしれないという理由から、今回の隔離に踏み出した。この飼料が狂牛病感染の原因である可能性もある。それにもかかわらず、米国の牛肉の安全性に関する公衆の懸念を和らげるため、隔離されたすべてのウシが屠殺される可能性もあるという。

狂牛病は、3〜5年の潜伏期間があると考えられている。USDAは、ワシントン州で確認された感染ウシは、今年初旬にカナダで確認された狂牛病感染ウシと同様、6歳〜6歳半だと確信している。USDA幹部は、狂牛病の感染源と考えられている、屠殺された動物の各部位・臓器を含む飼料を米国とカナダが禁止する以前にこの2頭のウシが生まれた可能性が高いと主張している。彼らは、1997年に施行されたこの禁止令は、それ以降の狂牛病感染を食い止めたはずであると述べている。

Washington Post、2004年1月3日

FDAがGen-Probe社のTigrisシステムを承認

血液検査技術で知られている、カリフォルニア州サンディエゴのバイオテクノロジー企業Gen-Probe社は、食品医薬品局(FDA)から、疾病診断のための高速型自動検査システムを販売する許可を受けた。

今回FDA承認を獲得したTigrisと呼ばれる同社の検査システムは、2つの性感染症(クラミジアと淋病)の診断のため、同社の従来の診断テストを行うことができる。このシステムの開発には6年以上が費やされた。Tigrisシステムは、8時間シフトで約500個のサンプルを処理することができ、人件費の大幅削減と、病院、臨床検査室における人為的なミスを最小限に抑えることを目的としている。

Gen-Probe社は、感染初期段階でウィルスを検知するようデザインされた、核酸増幅テスト(NAT)と呼ばれる遺伝子診断テストを開発している。同社は、全米のほとんどの輸血用血液を対象としたHIVやC型肝炎の感染をスクリーニングするための検査システムを初めて開発し、また西ナイルウィルスの実験検査も開発した実績がある。

San Diego Union-Tribune、2003年12月30日

インドが植物ゲノム研究とナノテクノロジーセンターを計画

インドは、植物ゲノム研究ロードマップと、ハイデラーバードにある細胞分子生物学センター(CCMB)内にナノテクノロジーセンターを開設するという2つのゲノミクス計画を発表した。

先頃行われたインド科学会議において、インド政府は、植物ゲノム研究ロードマップについて発表した。これは、植物ゲノムを使って、高たんぱくのジャガイモなどの遺伝子組み替え農作物を作製し、増大するインドの人口に対応して食料を提供していこうというものである。

一方、ハイデラーバードのCCMBは、ナノテクノロジーセンター開設のために約614万ドルの資金を調達しようとしている。このナノテクノロジーセンターは、生物学、物理学、化学などあらゆる分野の科学者達を結集し、DNAの遺伝物質の研究や、マイクロアレイおよびLab-on-a-chip(実験チップ)の利用を目的としている。

GenomeWeb、2004年1月5日

ニュージャージー州が幹細胞研究を許可

James E. McGreeveyニュージャージー州知事が、ヒト胚細胞から樹立した幹細胞を使った研究を許可する法案に署名したことにより、ニュージャージー州は、急速に発展する幹細胞研究分野の科学者達やバイオテクノロジー企業の中心となるであろう。この新しい法令によって州政府助成金が幹細胞研究に交付されるわけではないが、研究者達は、この法令の施行によって民間投資が増強することを期待している。

ニュージャージー州は、カリフォルニア州に次いで、幹細胞研究を承認した第二の州である。幹細胞研究支持者達は、今回の決定によって、パーキンソン病やアルツハイマー病、脊髄損傷などの神経変性疾患の新しい治療法を開発することを期待している。また、この新しい法令は治療型クローニングを明白に承認している。治療型クローニングでは、成人細胞から抽出したDNAを未受精卵に導入し幹細胞を樹立し複製する。

これまで1年間この法案に反対してきたローマカトリック教会や反中絶団体は、12月に議会がこの法令を可決したことに対して遺憾の意を表した。幹細胞研究反対派は、この法令によって幹細胞からのクローン人間作製を許可することにつながると強く主張している。

この法令はこれまで合法とされていなかった研究について明白に許可しているわけではない。しかし、2001年にブッシュ大統領が、提供された胚からその時点ですでに開発された数十個の細胞株の細胞を使った研究にしか連邦助成金を利用できないことを発表してから躊躇気味であった研究者達にとっては、今後の見通しを明るくするものとなった。

CNN、2004年1月5日


科学者達がディーゼルガスに対するアレルギー反応を抑制する遺伝子を同定

国立衛生研究所(NIH)の国立アレルギー疾患・感染症研究所(NIAID)支援による研究によると、ディーゼル排気による呼吸器系アレルギーを発症するリスクは、ほとんどが遺伝によるものであることがわかった。この結果、研究者達は、全米人口の最高50%が大気汚染によって健康問題を引き起こす危険にさらされていると予測した。

研究者達は、抗酸化作用に関連した遺伝子、GSTM1、GSTT1、GSTP1が、一般的な大気汚染物質であるディーゼル排気微粒子にどのように反応するかについて調べた。人体は抗酸化物質を生成し、有毒な物質を解毒し、それに関連したアレルギー反応を制御する。

研究者達は、ブタクサに対してアレルギーの体質を持つボランティアのDNAサンプルを収集し、どのタイプの遺伝子を持つかを調べた。ボランティアは鼻腔からブタクサを投与された後、プラセボの空気か、ロサンジェルスの汚染度と同等のディーゼル排気微粒子を含む空気を40時間にわたって吸入した。

ブタクサを投与された後、ディーゼル排気微粒子を吸入した場合、ブタクサのみを投与された場合に比べてより重篤なアレルギー反応を引き起こすことがわかった。また、抗酸化物質を生成するGSTM1を持たないボランティアがディーゼル排気微粒子を吸入した場合、他のボランティアに比べて極めて重篤なアレルギー反応を示した。GSTM1を持たないボランティア群のうち、GSTP1遺伝子の多型を持つボランティアは、さらに重篤なアレルギー反応を示した。研究者達は、全米人口の15〜20%がこのカテゴリーに属すると予測している。


この研究は、NIHの国立環境衛生科学研究所からも助成金を受けた。

NIH/National Institute of Allergy and Infectious Diseases、2004年1月12日

酵素が狂牛病のプリオンを完全に変性させる

ノースキャロライナ州立大学が、同州のバイオテクノロジー子会社BioResource International社、およびオランダの科学者達と共同で行った研究によると、狂牛病や動物・ヒトに感染するその他疾患に関連していると思われるプリオンを、酵素が適切な条件下で完全に変性させることができることを証明した。狂牛病(正式名:牛海綿状脳症(BSE))とヒトに感染するクロイツフェルト・ヤコブ病、ヒツジに感染するスクレイピーの原因と考えられているこの遺伝性プリオンは、比較的、劣化に対し強い抵抗性を示す。

しかし、BSEに感染したウシとスクレイピーに感染したヒツジの脳組織に見られるバクテリア酵素ケラチナーゼの効果をテストしたところ、脳組織を合成洗剤で前処理したり、合成洗剤に接触した状態にすると、ケラチナーゼ酵素がプリオンを検出感度以下まで変性させることがわかった。

研究者達は、前処置後のBSEプリオンに対するケラチナーゼ酵素の効果をマウスを用いてテストする計画である。この2ヵ年計画は2004年1月に開始され、全米家畜牛肉生産者協会から19万ドルの助成金を受ける。

研究者達は、ケラチナーゼが動物由来の副産物を処理する装置を洗浄するのに効果があるかどうかをテストする予定である。ケラチナーゼを使って、処理装置に付着した有害なプリオンを吸収することによって、BSE感染を低減できるかもしれないと研究者達は語っている。変性プロセスを最適化するためのこの研究は、食品医薬品局(FDA)から2年間で18万ドルの助成金を受ける予定である。

North Carolina State University、2004年1月6日

卵細胞における親の遺伝子発現の制御に新しい見解

Howard Hughes Medical Instituteおよびペンシルベニア大学の研究者達は、生存卵子の発達に必要な遺伝的プロセスに重要なステップを同定した。このプロセスはインプリンティングと呼ばれ、発達上重要な多数の遺伝子コピーのうち、父親から受け継いだコピーと母親から受け継いだコピーとを区別する。この研究結果によって、インプリティング遺伝子にはDNAメチル化によって認識されたり、メチル化から保護される重要な塩基配列があることがわかった。

哺乳類の遺伝子のほとんどが2コピーの染色体を持ち、平等に発現・調整される。しかし、中には遺伝子インプリティングと呼ばれるプロセスによって特別に調節される遺伝子もある。インプリティングとは、卵子または精子の発達過程に遺伝子につけられる化学的指標である。インプリティングは、2コピーの遺伝子が父方から受け継いだものか、それとも母方から受け継いだものかを区別するように遺伝子に物理的に印をつけて、1つのコピーがスイッチオンされている間、もう1つのコピーはスイッチオフされる。哺乳類の正常な発達に父方・母方両方の遺伝子が必要なのはインプリンティング遺伝子が原因である可能性が高い。

遺伝子インプリティングのメカニズムを研究することによって、遺伝子発現の後天的制御の謎が解明できるかもしれない。後天的制御とは、細胞機構が細胞における遺伝子発現を制御することを意味する。ゲノムを変異させる細胞機構の機能は、生物学においても大きな謎とされている。

Howard Hughes Medical Institute、2004年1月12日

ヒトの脳の進化に遺伝子が重要なカギとなる

Howard Hughes Medical Instituteの研究者達は、ヒトの脳の大脳皮質の発達に重要な役割を果たしたと考えられる遺伝子を同定した。大脳皮質の発達は、ヒトが他の霊長類から進化した特徴である。ヒトを含む霊長類だけでなく、霊長類以外の哺乳類の遺伝子塩基配列を比較することによって、科学者達は、自然選択の働きによって、特にヒトへの進化につながる霊長類系統の遺伝子変化が促進されたことを証明した。

研究チームは、ASPM遺伝子(Abnormal Spindle-Like Microcephaly Associated Gene)と呼ばれる遺伝子の研究を行った。ASPM遺伝子の機能喪失はヒト小頭症に関連している。小頭症とは、計画、抽象的推理などの高度な脳機能をつかさどる大脳皮質の形成不全により発症する。研究者達は、ヒトと、ホモサピエンスへの進化過程において遺伝的に重要と考えられる6種(チンパンジー、ゴリラ、オランウータン、テナガザル、マカク、ヨザル)の霊長類のASPM遺伝子の塩基配列を比較した。

研究者達は、各霊長類種において、生成されるたんぱく質の構造を変化させるASPM遺伝子の変異と、たんぱく質の構造に影響しなかったASPM遺伝子の変異を同定し、たんぱく質の構造に影響するASPM遺伝子変異のみが進化の対象となることを発見した。また、たんぱく質の構造に影響しないASPM遺伝子変異は、総体的な突然変異率を示唆している。突然変異率とは、進化の原因となる無作為の突然変異のバックグラウンドを意味する。

研究者達は、ASPM遺伝子が、ヒトへと進化する霊長類系統における進化の圧力によって遺伝子の突然変異が促進されたことを示し、この突然変異の促進が、チンパンジーから分岐した後のヒトの進化にもっとも重要であることを発見した。

Howard Hughes Medical Institute、2004年1月13日

ゲノム塩基配列の解読によってライス染色体セントロメアの活性遺伝子が同定される

国際科学者チームが、これまであまり知られていなかった、ライスゲノムの重要な領域のゲノム塩基配列の解読に成功した。ウィスコンシン大学マディソン校の園芸学部のJiming Jiang教授と、メリーランド州RockvilleのInstitute for genomic Research (TIGR)のC. Robin Buell氏率いる研究グループは、ライス染色体セントロメアのさほど重要ではないと考えられていたこの領域のゲノム塩基配列を同定した。この研究によって、本来、膨大な長さで遺伝子を翻訳しない、解読不可能なDNAからなる染色体セントロメア領域に活性遺伝子が存在することが初めて明らかとなった。

この功績によって、重要な遺伝子の謎を解明し、染色体の科学的理解を追求することができるかもしれない。染色体とは全ての動物・植物細胞にある分子構造で、遺伝情報を運ぶ重要な役割を持ち、細胞分裂や複製のプロセスを可能にする。

Jiang教授によると、この研究は、植物の人工染色体を作製するという科学界の長年の目標を達成するために重要なステップである。現在のところヒトとイースト菌にのみ可能な人工染色体作製ツールは、 精密な植物エンジニアリング技術のベースとなり、 科学研究にとって非常に貴重なツールである。

University of Wisconsin-Madison、2003年1月13日

NHGRIの研究チームがミツバチゲノムのドラフトをGenBankに登録

国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)が、 初めてのミツバチゲノム塩基配列のドラフトを一般公開した。ヒューストンにあるべイラ−大学医学部のヒトゲノムシーケンシングセンター率いる研究チームによって解読されたApis melliferaのゲノムには、約3億個の塩基対、すなわちヒトゲノムの10分の1が含まれている。

配列カバー倍数6倍のデータがGenBankに登録され、欧州分子生物研究所の核酸塩基配列データベースおよび日本のDNAデータバンクに送られる。

ミツバチゲノム・プロジェクトは2003年初旬に開始され、NHGRIから 690万ドルおよび米国農務省から75万ドルの 助成金が供与された。

GenomeWeb、2003年1月8日


GeneSeek社が狂牛病に感染したウシを同定するためUSDAを支援

米国農務省(USDA)は、米国で初めて確認された狂牛病感染ウシの身元を突き止めるため、今年初旬にネブラスカ州Lincoln拠点のGeneSeek社を選定した。

12月31日〜1月1日にかけて、USDAは、狂牛病に感染したウシの脳組織から抽出したDNAを分析するようGeneSeek社に要請し、同社は短い繰り返し配列の“拡張セット”を使ってDNAを解析した。同社は、感染したウシのDNAと、関連種のDNA、および他多数の無関連の対照群のDNAとを比較解析し、Wequenom社のMALDI-TOFベースのMassArray Platformを使って解析結果を出した。

同社は先頃、USDAの全国スクレイピー撲滅計画の一環として、米国におけるヒツジのプリオンたんぱく質のゲノムタイプを特定する許可をUSDAから受けた。

GenomeWeb、2004年1月8日

GenVec社とNIHがHIVワクチン候補の製造契約を拡張

GenVec社は、国立衛生研究所(NIH)の国立アレルギー疾患・感染症研究所のワクチン研究センター(VRC)との複数年契約の拡張を発表した。

先頃、SAIC-Frederick社が発行・管理していた下請け契約を拡張したことによって、助成金は約1,600万ドルから2,800万ドルへと増強した。この拡張によって、GenVec社は、独自のアデノウィルスベクター技術を使ってHIVワクチン候補を製造し、ワクチン製造に最適で拡張性のあるプロセスを使った後期臨床治験を支援する。GenVec社は、先頃買収したCharlestownにある製造施設の製造力、職員、専門性を利用して、この臨床治験を支援する予定である。

この下請け契約の拡張には、 GenVec社の高度拡張性製造プロセスおよび、製品の商用化を支援するための特性化手法の使用も含まれる。そのため、GenVec社の主要がん研究製品候補TNFeradeの製造計画に好影響を与える可能性もある。

Bio.com、2004年1月6日

FluMist値下げの可能性

MedImmune社は、FluMist製造パートナーであるWyeth社と、この鼻腔スプレー型インフルエンザワクチンの価格値下げについて交渉中である。卸売価格が46ドルであることが、発売一年目のFluMistの販売不振の原因のひとつであると非難されていた。中には、 FluMistを一投与分120ドルという、通常のインフルエンザワクチン注射の8倍の価格で販売している医師もいる。

メリーランド州Gaithersburg拠点のMedimmune社とその共同販売業者であるニュージャージー州Madison拠点のWyeth社は、2003年秋にFluMistの発売を開始し、2003〜2004年のインフルエンザシーズンには400万投与、1億2,000〜1億4,000万ドルの収益を見込んでいた。

しかし、12月までに40万投与分しか販売できず、MedImmune社は、予測収益を5,500万〜8,500万ドルへと引き下げた。 製造業者のあいだで通常のインフルエンザ注射が不足してきたことから 売り上げが安定して上昇した。同社は1月29日に年末の売上高を発表する予定である。

MedImmune社はFluMistの販売不振の原因として、高価であること、薬局での入手が制限されていること、発売延期、生きたウィルスを吸引することに対する消費者の懸念、などを挙げた。 通常のインフルエンザ注射は死滅したウィルスを使っているのに対して、FluMistは生存しているが弱毒化したウィルスを使っており、5歳〜49歳の健常人にだけ使用が許可されている。同社は次のインフルエンザシーズンに、5歳以下、または50歳以上を対象にワクチンのテストを行い、FDAに承認申請を行うことを期待している。

WashingtonPost、2004年1月13日

バイオテクノロジー農作物のための栽培地が増加

世界の遺伝子組み換え農作物の栽培面積が昨年15%増加し、これで7年連続で2桁の成長率を見せていることになる。これはバイオテクノロジーの安全性に関する論争が、農業経営者に対し遺伝子組み替え農作物を受け入れる態勢にそれほど影響を与えていないことを示唆している。2002〜2003年にかけて、世界中の百万人の農業経営者が遺伝子組み替え農作物を受け入れ、これで計700万人となった。そのうち、600万人は中国の綿花栽培者で、中国は農業分野の技術革新において最前線をいっている。

害虫や雑草に対する耐性を備えるよう遺伝子組み替えされた農作物の栽培面積は、米国でも増加し続けているが、以前に比べて増加率は低迷している。著しい増加を見せているのは、綿花などのバイオテクノロジー農作物を栽培する小規模農家が増え続けている発展途上国である。

バイオテクノロジーの計栽培面積の大部分を米国や、大農場を所有する国々が占めているが、ブラジル、インド、インドネシアなどがバイオテクノロジー技術を導入し始めたことから、この傾向は変わるものと思われる。

Washington Post、2004年1月14日

マサチューセッツ州の2003年のバイオテクノロジー製剤承認が最高記録

2003年に食品医薬品局(FDA)が承認した25 件 の新薬剤のうち、8件 がマサチューセッツ州の企業によって開発された。マサチューセッツ州バイオテクノロジー協議会によると、この数字は記録的である。2001年、マサチューセッツ州で開発された薬剤で承認されたのは1件 、2002年は2件であった。

2002年、FDAは合計35件のバイオテクノロジーを承認し、2000年には32件を承認している。ワシントンDCにある業界団体であるバイオテクノロジー産業機構(BIO)によると、2003年の承認件数は2001年と同数の37件である。

2003年の承認件数は記録を更新することはできなかったが、BIOやバイオテクノロジー産業関連者の多くは、Mark B. McClennan FDA局長を高く評価している。同局長は、FDAが局長不在の2年間を経た後、2002年11月に局長として就任した。

Boston Globe、2004年1月2日

バイオテクノロジー産業が2003年の新しい資金調達で164億ドルを獲得

2003年中に食品医薬品局(FDA)は、新しいバイオテクノロジー薬剤に関して2002年に比べ25%増の25件を承認し、すでに承認されたバイオテクノロジー製品の新しい適応12件を承認した。バイオテクノロジー産業機構(BIO)によると、これらの承認によって、2003年のナスダック市場におけるバイオテクノロジー指数が46%もあがり、企業は2002年よりも56%増にあたる164億ドルの新規資金調達に成功した。第3四半期では、ライフサイエンス業界はソフトウェア産業よりもベンチャーキャピタルを獲得したことになる。

BIOは、米国はじめ33カ国のバイオテクノロジー企業、大学機関、州立バイオテクノロジーセンターおよび組織など、1,000以上で成り立っている。

St. Louis Business Journal、2004年1月5日

狂牛病で死亡した動物の処理に圧力鍋のような機械を利用

Albany Medical Collegeの2人の教授によって創立されたインディアナ州のWaste Reduction社は、狂牛病に感染して死亡した動物の死体処理に利用できる効果的な方法を開発したと発表している。同社は、排水を浄化するのに使用するような化学物質を使うことによって、プリオンとして知られる病原性たんぱく質を安全に分解することができると述べている。

プリオンは、狂牛病の原因と考えられている奇形たんぱく質である。プリオンは、他の機能を果たしているたんぱく質を異常型に変化させることによって脳組織を侵食し、これが連鎖反応を起こす。感染したウシの死体を処理するのに焼却処理がもっとも一般的な方法として使われてきたが、研究者達によると、プリオンは焼却処理でも死滅せず、灰分から浮上することが証明された。

Waste Production社によると、ステンレスの圧力鍋のようなダイジェスターと呼ばれる機械は、プリオンを無害なアミノ酸に変換するだけでなく、有毒ガスを放出せず、焼却処理にかかるコストに比べてほんのわずかなコストしかかからない。ダイジェスターは、ナトリウムおよび水酸化カリウムの溶液を動物の死体にかける。加熱すると化学反応がおこり、この化学反応によって熱が発生することから、質量が減少し、テスト用のスラリーになる。この方法で、たんぱく質、核酸、感染性細菌は、糖質と小さなペプチドの滅菌溶液へと変換される。

このダイジェスターの運転コストは、死体1ポンド(約450グラム)について約25セントで、燃料のコストが高価であることから、1ポンド80セント〜1ドルかかる焼却処理よりも安価である。

Reuters、2004年1月12日

Orchid社が食品トレーサビリティ市場を標的に

ニュージャージー州プリンストンにあるOrchid BioSciences社、はDNAベースの食品トレーサビリティ市場への進出を計画している。現在、疾患感受性や動物のDNA同定テストに焦点をしぼった食品安全性事業に取り組んでいる同社は、独自のSNPゲノムタイピング技術と既存の研究設備を利用して、新しいマーケティングの取り組みを開始しようと計画している。同社は、昨年、英国の高性能研究施設において50万頭ものヒツジをテストした。

Orchid社はスクレイピーの感受性ゲノムタイピングテストを販売する市場リーダーである。スクレイピーとは、感染したヒツジの脳に見られる異常たんぱく質、プリオンの蓄積を特徴とする神経変性疾患で、ウシに感染する牛海綿状脳症とヒトに感染するクロイツフェルト・ヤコブ病と似ている。

同社は初めての肉質判定アッセイを2004年の事業の一環として発売する予定である。

GenomeWeb、2003年12月31日


Cambridge Healthtech Institute: BioMEMS&NANOtechnology World

日付: 2004年8月16-17日

場所: Washington, D.C.

参照: http://www.biospace.com/calendar/detail.cfm?CID=522020

Bio-IT World Conference + Expo

日付: 2004年3月30-4月1日

場所: Boston, MA

参照: http://www.bioitworldexpo.com/boston03/V40/index.cvn

Cambridge Healthtech Institute: Transmissible Spongiform Encephalopathies

日付: 2004年2月23-24日

場所: Washington, D.C.

参照: http://www.biospace.com/calendar/detail.cfm?CID=509520

BioCapital Career Expo 2004

日付: 2004年2月24日

場所: Bethesda, MD

参照: http://www.biospace.com/calendar/detail.cfm?CID=527620

Pharmaceutical Marketing Compliance Congress

日付: 2004年1月26-27日

場所: Washington, D.C.

参照: http://www.biospace.com/calendar/detail.cfm?CID=508720


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