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■ 2019年04月08日
米国シンクタンクITIFが、『クリーンエネルギーの便益』報告書を発表

ITIF (International Technology & Innovation Foundation: 米国の公共政策シンクタンク) が2019年3月5日に、『クリーンエネルギーの便益:軍のエネルギー技術投資、及び、それが民生エネルギー革新にもたらす意義 (The Clean Energy Dividend: Military Investment in Energy Technology and What It Means for Civilian Energy Innovation)』と題する報告書を発表しました。

同報告書では、現状としまして、①軍のエネルギーニーズが変化しているため、可動式の分散型発電、スマートエネルギー・ネットワーク、高度なエネルギー貯蔵、及びワイヤレス送電の必要性が増していること、②変化かつ増大するエネルギーニーズに応える必要性が増大であることが挙げられています。これらの現状を踏まえて、国防省の対応としまして、今年度は、エネルギー研究・開発・実験・評価 (research, development, testing and evaluation: RDT&E) に約16億ドルを投資していること;③エネルギー省 (DOE) と国防省はエネルギー革新について共通する関心を有するものの、両省のインターアクションは限定的で、基礎研究や技術開発の共同R&D計画ですら稀であること、④新技術の導入でコストよりも性能を重視する国防省は、早期導入者として民生のクリーンエネルギー革新へ貢献可能であること等を指摘しています。また、国防省とDOEは定置型エネルギー貯蔵、蓄電池技術、ソーラー技術といったプログラムレベルで提携すべきであると提言しています。同報告書の概要をとりまとめ、調査レポートとしてアップロードいたしました。

■ 2019年03月11日
トランプ政権の2020年度予算案の概要

トランプ政権が2019311日、大統領の2020年度予算教書 『A Budget For A Better America: Promises Kept. Taxpayers First Fiscal Year 2020』 を発表しました。トランプ大統領の2020年度予算案は総額47,460億ドル。このうち、約33,200億ドル(全体の約70%)がMedicare(老齢者医療保険)やMedicaid(低所得者医療扶助)、社会保障費や純利息といった義務的支出で、残りの14,260億ドルが自由裁量予算となっています。

トランプ政権は、国防強化、国境警備、オピオイド対策、退役軍人のヘルスケア、及び未来産業(industries of the future)を促進する新技術に対する予算の確保・増額を求める一方で、非国防関連省庁に対して予算を5%以上削減するよう要請しており、この結果、国務省、環境保護庁、運輸省、エネルギー省 (国家核安全保障局予算を除くエネルギー関連プログラム)、農務省、教育省、内務省、厚生省の2020年度予算は2019年度推定額に比べ10%以上の削減要求となっています。

主な優先要望事項として、国境警備及び移民問題の取り組みとしてメキシコ国境沿いの壁建設費に86億ドル、国防強化による平和維持を目的として2020年度国防省予算を334億ドル (5%) 増額、また、エネルギー省の基礎研究及び科学ユーザー施設の支援として エクサスケール・コンピューティング開発に5億ドル、量子情報科学に16,900万ドル、AI及び機械学習に7,100万ドルが掲げられています。一方で、国防関連予算の増額を相殺するため、商務省の製造技術普及パートナーシップ計画(Manufacturing Extension Partnership)、エネルギー省のARPA-E、電力事業部 (Power Marketing AdministrationPMA)所有・運営の送電資産売却などの廃止が要求されています。トランプ政権の2020年度予算案の概要をまとめ、調査レポートとしてアップロードいたしました。

■ 2019年02月27日
『サプライチェーンのサイバーセキュリティ・リスク』 (草案) の概要

北米電力信頼度協議会 (North American Electric Reliability Corporation:NERC) は2019年2月6日に、電力系統に関し、電子アクセス制御・監視システム (Electronic Access Control and Monitoring Systems:EACMS)及び物理的アクセス制御システム (Physical Access Control Systems:PACS) に係るサプライチェーン・リスクを分析し、その対応策を提言した報告書 『サプライチェーンのサイバーセキュリティ・リスク (Cybersecurity Supply Chain Risks)』 (草案) を発表しました。

電力系統に係るサプライチェーンについて、連邦エネルギー規制委員会 (Federal Energy Regulatory Commission:FERC) は2018年10月18日にサプライチェーン基準を承認した際、将来的にEACMS及びPACSを追加的に検討する必要性を提示しており、今回報告書はこれに応えて作成されたものです。この中で、①EACMS及びPACS をサプライチェーン基準に組み込むこと、及び、②基幹電力系統 (Bulk Electric Service:BES) サイバーシステムの調達プロセスを策定する際、第三者認証及びハードウェアやソフトウェアの安全配送といった業界ガイドライン及びプラクティスを参照すること、等を提言しています。

サプライチェーン基準の発効予定が2020年7月ところ、左記までに基準を随時、時点反映・具体化する一環として、特に、EACMS及びPACSに係る検討が進められており、具体的に「構成部品の確認、供給業者の特定、当該装置に係る特定リスクの評価」等、サプライチェーンに係る対応策を盛り込んでいる点が本報告書の特徴となっています。

現行のサプライチェーン基準の概要、及び、今回報告書のポイントをまとめ、調査レポートとしてアップロードいたしました。

■ 2019年01月25日
連邦航空局、小型ドローンの頭上飛行に関する規則設定案告示 (草案) を発表

チャオ運輸省長官は1月14日、運輸交通研究委員会 (Transportation Research Board:TRB) の年次総会 で、連邦航空局 (Federal Aviation Administration:FAA) が小型ドローン (unmanned aircraft systems:UAS) の規制を緩和・改正し、免除措置 (waiver) を必要とせずに夜間飛行及び頭上飛行を許可する提案を発表予定であることを明らかにしました。FAAは連邦広報での正式発表に先立って、「小型ドローンの頭上飛行に関する規則設定案告示 (Notice of proposed rulemaking (NPRM) – Operation of Small Unmanned Aircraft Systems over People) 」  (草案) を自局のウェブサイトで公開しており、4.4ポンド未満のマイクロUASについて、安全上のリスクを削減する一方で、技術・操作面の進歩を阻害することのないよう、バランスをとった規制案 を提案しています。

今後のステップとして、FAAが同NPRMを連邦広報に掲載してから60日間パブリックコメントを募集し、受領コメントを検討しつつ、最終規制の策定に着手する方針です。一方でFAAは、(機体識別が小型UAS運航における安全上の懸念緩和に対して極めて重要であることから、)免除措置を必要としない小型UASの夜間飛行及び頭上飛行を認める規制を最終的に策定する前に、小型UASの遠隔からの機体識別対策をまとめる予定となっており、このため、免除措置なしでの夜間飛行及び頭上飛行に関する規制の成立は1年以上先になることも予想されています。 同NPRMの主要な規制条項の概要をまとめ、調査レポートとしてアップロードいたしました。

■2019年01月07日
国家インフラ諮問委員会、『大停電を切り抜けるために』と題する報告書を発表

大統領の国家インフラストラクチャー諮問委員会(President’s National Infrastructure Advisory Council: NIAC)が12月12日に、『大停電を切り抜けるために:国家ケイパビリティ強化方法 (Surviving a Catastrophic Power Outage: How to Strengthen the Capabilities of the Nation) 』と題する報告書を発表しました。

同報告書は、米国が大規模災害、及びその結果生じる停電への対応能力を着実に改善してきたことを評価する一方で、自然災害、サイバー・フィジカル攻撃、エレクトロマグネティック現象等の脅威の増大によって、大停電からの全米電力系統の防護、及び、迅速な復旧といった新たな課題が浮かび上がっていることを指摘しているほか、現行の国家計画・緊急時対応資源・相互支援計画は「大停電」への対処には不十分であるため、新たな対応策が必要であると主張しています。

NIAC報告書では、こうした新たな課題に対応すべく、(1)クロスセクター・省庁間戦略の構築に向けた、大停電への準備・対応・復旧に関する国家的アプローチの策定、(2)クロスセクターの相互依存性及び連鎖障害による被害を軽減するため、連鎖障害が重要部門(特に天然ガス・通信)に及ぼす影響の確認、という2つの包括的戦略をかかげ、7つの提言を行っています。ここでは、「大停電」の定義及び7提言の概要をまとめ、調査レポートとしてアップロードいたしました。

■ 2018年12月07日
環境保護庁、新規発生源性能基準 (NSPS) の改定案を発表

環境保護庁 (EPA) は、トランプ大統領が2017年3月28日に公布した「エネルギー自立及び経済成長促進に係る大統領令 (Executive Order on Promoting Energy Independence and Economic Growth)」に従い、2015年にオバマ政権が発表した「新規発生源性能基準 (New Source Performance Standards:NSPS)」の最終規定の見直し作業を実施し、12月6日に改定案を発表しました。

オバマ政権の2015年NSPS最終規定では、部分的炭素回収貯留 (partial CCS)技術を排出削減ベストシステム (Best System of Emission Reduction:BSER) と特定し、この設置を新規石炭火力発電装置 (electric generating unit:EGU) に義務付けていたのに対して、トランプ政権下のEPAは、適切な費用及びCCSの地域的可用性に関する分析に基づいて見直した結果、CCS技術を立証されていない技術と判定し、部分的CCS技術導入義務付けを撤回しています。CCSにつきましては、現政権においても推進の立場で、DOE化石燃料局が中心となって技術開発・実証を推進しており、規制的手法ではなく、他方で税額控除等を通じてCCS導入を推進し、並行して各種技術開発も継続する方針となっております。NSPSの改定案の概要をまとめ、調査レポートとしてアップロードいたしました。

■ 2018年12月04日
第4回国家気候アセスメントを発表

トランプ政権が2018年11月23日に、米国地球気候変動研究プログラム (U.S. Global Change Research Program:USGCRP) 作成の 『第4回国家気候アセスメント:第二巻 (Fourth National Climate Assessment Volume II)』 と題する報告書を発表しました。USGCRP (DOE、EPA、DOD等関係省庁及びスミソニアン・インスティテュートで構成) の同報告書は、気候変動がもたらす甚大な影響を定量的に示し、対策の必要性を警告しています。報告書の方向性がトランプ政権の基本的方針と異なるため、具体的な政策に結びつく可能性は低いものの、連邦議会における議論に一定の影響を及ぼすことが想定されます。

同報告書は、「1990年地球気候変動研究法 (Global Change Research Act of 1990)」により4年に一回、大統領及び議会への提出が義務付けられているもので、今回4回目となる同報告書では、気候変動が米国及び米国領土にもたらす影響、リスク、及び、適応対策を重点的に調査しています。同報告書の主要な調査結果、及び、気候変動が米国全体及び米国10地域に及ぼす具体的影響をまとめ、調査レポートとしてアップロード致しました。

■ 2018年11月08日
運輸省、自動走行車の政策及びルール作成に関する最新ガイダンスを発表

米国運輸省は10月4日に、『自動走行車3.0:未来の交通に備えて (Automated Vehicles 3.0: Preparing for the Future of Transportation)』 と題する、自動走行システム (autonomous driving system: ADS) に関する連邦ガイダンスの更新版を発表しました。『自動走行車 3.0』は、2017年9月に発表された『自動走行システム2.0: 安全性へのビジョン』を踏まえて作成されたもので、運輸省の自動走行車(autonomous vehicle:AV)政策策定の基本原則を設定し、AVの安全性及びイノベーション推進の戦略を示しています。

特筆に値するのは、運輸省/国家道路交通安全局 (NHTSA) が、イノベーション進展と (安全性に係る) ルール整備のバランスをとるべく、包括的な方針・総論を示しながら、ベストプラクティス/自主的技術基準を先行して推進し、その後、パブリックコメントを通じて、連邦自動車安全基準 (Federal Motor Vehicle Safety Standards:FMVSS) の見直し・例外規定検討を進める方針をとっている点で、今後、具体的なFMVSSの見直し、各州法制度との整合性が注目されます。

ここでは、①運輸省のAV に関する政策及びプログラム策定の6原則;②利害関係者 (連邦政府、州・地方政府、自動車メーカー、部品供給業者、IOO、及び、運送業者) が自動化技術を輸送システムへ統合する際に果たすべき役割;③運輸省におけるルール作成活動についてまとめ、調査レポートとしてアップロード致しました。

■2018年10月11日
米国の量子情報科学に関する戦略

ホワイトハウスの科学技術政策局 (OSTP) 及び国家技術科学会議 (NSTC)  科学委員会の量子情報科学小委員会 (Subcommittee on Quantum Information Science=SCQIS) が2018年9月24日、国内の量子情報科学 (Quantum Information Science=QIS) 研究開発促進を協議するQISホワイトハウスサミットを開催しました。政府高官、技術専門家、大学指導者、研究者、産業界の代表者ら100名余が参加した同サミットでは、「サイエンスファースト」量子戦略の策定、量子に精通する労働力の確保、QIS技術コミュニティとの協働が討議されました。

同サミットに合わせ、エネルギー省 (DOE) 及び 全米科学財団 (NSF) が各々、QIS研究開発プロジェクトへの資金提供を発表したほか、SCQISが 『国家量子情報科学戦略の展望 (National Strategic Overview for Quantum Information Science)』 と題する報告書を発表しました。同報告書では、QISが米国経済及び国家安全保障に及ぼし得る影響の考察、QIS研究開発に伴う課題の指摘、米国が目指すべきQIS政策目標及び提言を概説しています。同報告書の概要をとりまとめ、調査レポートとしてアップロードいたしました。

■2018年09月25日
国立標準規格技術局、「マニュファクチャリングUSA年次報告:2017年度版」を発表

NISTの先端製造国家プログラム局 (Advanced Manufacturing National Program Office =AMNPO) が2018年8月10日、マニュファクチャリングUSAの2017年度業績報告を発表しました。オバマ前政権により開始された同プログラムは、製造技術開発に係る産学官連携の取組(コストシェア型)であり、NISTがとりまとめています。全14件のうち、8件が国防省が主担当で、中核拠点はオハイオ、ミシガン、イリノイ、ニューヨーク、ペンシルバニア等、北東部に重点がおかれています。内容については、3Dプリンティング、ワイドハンドギャップ半導体、デジタル製造、繊維・織物技術、バイオ医薬品、ロボット等多岐に亘り、参加者は約1,300機関(うち中小企業が約550)に拡大しました。特徴として、共同研究・開発のみならず、産学官間のネットワーキング、中小企業支援、職業訓練・人材育成、地域経済振興にも力を入れており、特に2016年から2017年にかけて、中小企業の参加件数が大幅に増加しています。今回代表例として、立ち上げから3-4年経過し具体的な成果が出始めている、いずれも国防省が主担当のDMDII(デジタル製造)とNextFlex(フレキシブル電子基板)の実績をまとめ、調査レポートとしてアップロードいたしました。

 

 

 

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