2017年08月24日 エネルギー省、『電力市場及びその信頼度に関するスタッフレポート』を発表

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エネルギー省、『電力市場及びその信頼度に関するスタッフレポート』を発表

 

2017年8月24日
NEDOワシントン事務所

 

エネルギー省(DOE)のリック・ペリー長官の要請により、再生可能エネルギーが電力系統に及ぼす影響を調査していたDOEは8月23日、予定より約1ヶ月遅れで 『電力市場及びその信頼度に関するスタッフレポート(Staff Report to the Secretary on Electricity Markets and Reliability)』を発表した。

同報告書は、ベースロード発電所閉鎖の最大要因は安価な天然ガスであり、これに続いて、電力需要の横ばい、環境規制及び再生可能エネルギー導入拡大が原因となっていることを指摘しているほか、石炭火力発電所の閉鎖は新設の天然ガス、風力、太陽光発電及びデマンドサイドの省エネプログラムで補充され、グリッドは確実に作動していると結論づけている。

ペリー長官が4月14日の覚書で明示した3つの課題に対する調査結果及び本調査で確認された課題に対応するための政策提言は以下のとおり。

 

【調査結果】

1.卸売電力市場の進化。特に、連邦政府の政策介入及び発電用燃料ミックスの変化は、現電力市場の形成時に使われた政策仮定に対してどの程度の影響をもたらしているのか?

(1)中央組織的(centrally-organized)な電力市場は、短期的には経済効率の改善によって卸売電気を確実に送配電しているが、卸売電力市場の状況変化は中央組織的な市場、及び程度は小さいながらも垂直統合された市場に対しても影響をもたらしている。

 (2)進化する電力市場及び可変的な再生可能エネルギー電源(variable renewable energy=VRE)へ対応する必要性から、発電及びグリッド関連のその他資源が柔軟に運用されている。一方、ベースロード用として設計された発電技術の全てが柔軟な運用を目的としているわけではなく、原子力発電の場合、柔軟な運用を認める規制制度を欠いている。

(3)米国民及び選出議員は、発電所がコミュニティにもたらす多様なベネフィット(雇用、経済開発、排出削減、地方税納税、レジリエンス、エネルギー供給保証等)を重視。こうしたベネフィットの多くは卸売電力市場では実現しないことから、州政府及び民間部門でVRE発電を奨励する活動が生まれている。

 2. 卸売エネルギー市場及び容量市場(capacity market)は、グリッド強靭化及びオンサイト燃料供給といった特性(attribute)に十分な報酬を行っているか?報酬が不十分な場合、グリッドの信頼性及びレジリエンスに将来どの程度の影響をもたらすか?

(1)市場はグリッド信頼性が重要であることを認識し、これを補償している。しかし、在来型発電所の閉鎖、及びVRE導入推進に起因する課題へ対応するためには、電力部門関係者の間の調整及び協力強化が必要である。

 3. 規制面の負担、税制及び補助金政策はどの程度、ベースロード発電所の早期閉鎖の原因となっているのか?

(1)豊富で低コストな天然ガス発電所が、石炭火力発電所及び原子力発電所の閉鎖に係る最大要因。

(2)1990年代後半には年率2.5%で伸びた電力需要が、2008年以降ほぼ横ばいであることが、発電所閉鎖をもたらすもう一つの要因となっている。

(3)VREが利用可能な場合には、ベースロード電源に先立って送配電されるため、VREはベースロード発電所の経済性にマイナスの影響を与えている。

(4)環境規制遵守に必要な投資も、ベースロード発電所の経済性にマイナスの影響を与えており、発電所閉鎖がピークとなった2015年は、水銀・大気有害物質基準(MATS)順守期限、及び環境保護庁によるクリーン発電計画(CPP)最終案発表と時期が一致。

 

【政策提言】

1. 卸売市場

  • 連邦エネルギー規制委員会(FERC)は、州政府、地域送電機関(RTO)、独立系統運用事業者(ISO)及びその他利害関係者と協力して、中央組織的な卸売電力市場のエネルギー価格形成を改善する作業を迅速に進めるべき。

2. 不可欠な信頼度サービス(Essential Reliability Service=ERS)の査定評価

  • FERCは、信頼できる送電系統運用の支援に必要なサービスに参加する系統運用事業者に対する報酬提供メカニズムを構築し、新規及び既存ERSの査定評価を義務付ける活動に係る調査及び提言を行うべき。メカニズム及び規制は、燃料・技術ニュートラルであるべき。
  • DOEは、こうした活動を強化及び促進するため、技術及び政策面で支援するべき。

3. 基幹電力系統(Bulk Power System=BPS)のレジリエンス

  • DOEは、BPSのレジリエンスを向上するため、電気事業者、系統運用事業者及び消費者を支援すべき。
  • RTO及びISOは、レジリエンスの基準を明確に定義づけ、ビジネス慣行にレジリエンスを含める方法を特定し、自社の資源ミックスへの影響を査定評価すべき。

4. 次世代(21世紀)グリッドの信頼性ツール及びレジリエンス・ツールの研究開発推進

  • DOEは、次世代(21世紀)グリッドの信頼性及びレジリエンスの向上を目的とする研究開発を推進すべき:
    • 次世代技術の運用を促進するグリッド関連技術ツールの開発及びDOE国立研究所の最大限の活用
    • 北米(米国、カナダ、メキシコ)全体のグリッド信頼性に関する協力を拡大
    • 全米科学財団とともに、次世代グリッド研究コミュニティ用の新たなオープンソースのソフトウェア開発に出資
    • グリッド近代化技術を介したVRE統合の向上に係る研究開発。グリッド近代化イニシアティブではまた、高性能コンピューティングをグリッド・モデリングに追加適用することを検討すべき。

5. 電力部門労働者育成及び転職支援に係る連邦及び地方政府施策の支援

  • DOEは、電力部門労働者の育成に係るプログラム及び地方政府アプローチを促進すべき。
  • 連邦政府は可能な限り、労働力に関する既存の政府・NGO・労働組合・業界コンソーシアムを活用すべき。

6. エネルギー自立及び経済成長を推進する行政命令第13783号

  • エネルギー生産、経済成長、及び雇用創出の妨げとなる規制を最小限に減らすと同時に、エネルギー資源のクリーンかつ安全な開発を推進するアプローチを概説する行政命令第13783号は、特定のエネルギー政策及び気候変動関連政策の撤回を求め、主要な環境規制の見直しを命じている。

7. インフラ整備

  • DOE及び関連する連邦省庁は、原子力、水力、石炭、先進発電技術、及び送電といったグリッドインフラのライセンス、再ライセンス、及び許認可に係る手続きの迅速化及びコストの削減を行うべき。

8. 電力業界と天然ガス業界の調整強化 

  • 電気事業者、州政府、FERC、及びDOEは、電力業界と天然ガス業界の組織面及びインフラ面での相違に起因する信頼性及びレジリエンスに係る懸念に対応するため、両業界間の調整強化を支援すべき。

 

 

2017年 調査レポート

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