2017年09月12日 SEPAが発表した『2017年発電事業規模エネルギー貯蔵の市場スナップショット』の概要

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SEPAが発表した『2017年発電事業規模エネルギー貯蔵の市場スナップショット』の概要

 

2017年9月12日
NEDOワシントン事務所

 

Smart Electric Power Alliances(SEPA)は、2007年来、電力系統に接続される太陽光発電量の調査を目的として電力事業者対象にアンケート調査を実施しているところ、本年9月、10周年号となる『2017年発電事業規模エネルギー貯蔵の市場スナップショット(2017 Utility Energy Storage Market Snapshot)』 [1]と題する市場調査レポートを発表した。

今回レポートでは調査範囲をエネルギー貯蔵[2]及びデマンドレスポンスにまで拡大し、2017年1月から3月までオンラインでアンケートを実施した。同調査へ参加した電力事業者は、米国及び米国領土で計115社。2016年末の時点で、自社サービスエリアにエネルギー貯蔵システムを持っていたと回答したのが71社で、その中の31社は2016年にエネルギー貯蔵プロジェクト第一号を立ち上げたことが明らかになった。

同レポートの概要は以下の通り。

【全米のエネルギー貯蔵市場の現状】

  • 電力事業者が2016年に電力系統へ接続したエネルギー貯蔵システムは計829件で、容量は207.5 MW(257 MWh)
    • 州別では、カリフォルニア州が最大で120.5 MW。これに続くインディアナ州は22 MW、オハイオ州が16.1 MW
    • 市場セグメント別では、家庭用が557件で4.5 MW、非家庭用[3]が243件で54 MW、商用電源用が29件で149 MW
  • 全米で導入されたエネルギー貯蔵システムの累積数は計2,399件で622 MW(661 MWh)
    • 市場セグメント別では、家庭用が1,762件で11.2 MW、非家庭用が555件で97.4 MW、商用電源用が82件で513.8 MW
  • 2016年のエネルギー貯蔵システム導入量が多かったトップ5社は、Southern California Edison(63.2 MW)、Imperial Irrigation District(加州の公営電力会社:30 MW)、Indianapolis Power & Light(20 MW)、San Diego Gas & Electric(17.2 MW)、Duke Energy Ohio(16 MW)

【エネルギー貯蔵政策】

  • 連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2016年11月17日に、エネルギー貯蔵の卸売市場参入に係る障壁を除去する「ルール設定に関する告示(notice of proposed rulemaking)」[4]を発表。
  • カリフォルニア州、メリーランド州、ネバダ州及びニュージャージー州が、以下のインセンティブを介してエネルギー貯蔵市場を促進
    • カリフォルニア州:エネルギー貯蔵等の技術を対象とする自家発電インセンティブ計画(SELF-Generation Incentive Program=SGIP )に2020年まで年間1億6,600万ドルを計上
    • メリーランド州:2018年1月1日から2022年12月31日までに設置されるエネルギー貯蔵システムに対する30%の税額控除。控除額の上限は、家庭用が5,000ドル、業務用が75,000ドル。一会計年度の予算は75万ドルで、税額控除の供与は先着順。
    • ネバダ州:州法第145号で、ネバダ州公益事業委員会に対してエネルギー貯蔵インセンティブの構築を義務付け。
    • ニュージャージー州:再生可能エネルギー貯蔵プログラム(Renewable Energy Storage Program)の下で、再生可能エネルギープロジェクトへ接続するエネルギー貯蔵プロジェクトにプロジェクト費用の30%、最高30万ドルのインセンティブを提供。インセンティブの対象は、非家庭用需要家のメーターに接続される、100 kWh以上の貯蔵システム。

【エネルギー貯蔵市場の主な動向】

  • リチウムイオン電池製造価格が2012年から60%以上低下
    • テスラがPowerwallとPowerpack電池の製造開始を発表。他の製造業者及び製品供給業者は競争力を保つために価格引き下げで対応。このため、2016年後半に価格が急落。
  • 電気自動車用及びグリッド用のリチウムイオン電池需要に応えて、蓄電池の製造能力及び供給能力が拡大
    • 2016年時点でのメガファクトリー設備容量は、中国(16.4 GWh)、米国(1.0 GWh)及び、韓国(10.5 GWh)の計27.9 GWh
    • テスラは2016年末にネバダ州リノで進めている「ギガファクトリー」の建設を約30%完了し、2017年に量産を開始
  • エネルギー貯蔵システムは、迅速に配備できる[5]柔軟な資源で、送配電アップグレードの延期又は回避に有効な資源。本調査で、2016年末時点ではエネルギー貯蔵システムを使っていないと回答した電力事業者44社のうちの31社が、送配電アップグレードを延期または回避するために、エネルギー貯蔵システムの導入を計画/調査/検討中

【電気事業者のエネルギー貯蔵プログラム】

  • 蓄電池の技術向上及び価格低下に伴い、消費者のエネルギー貯蔵技術利用の可能性が拡大
    • BTM(behind-the-meter)エネルギー貯蔵システムの質問に回答した電力事業者97社の内、9%が家庭用需要家にBTM貯蔵システムを提供し、8%が非家庭用需要家に提供
    • 家庭用需要家向けのBTM貯蔵システムを計画/調査/検討中であるという回答者が72%、非家庭用需要家向けを計画/調査/検討中という回答者が80%
  • 電力事業者は、新規ビジネスモデル、ピークシェービング能力、地域的信頼性問題の緩和、及び、発電・送配電設備投資延期を探索するプログラムを通じて、蓄電池能力を試験中。需要家所有のエネルギー貯蔵システムがアンシラリーサービスを提供することに関心を持っているという回答者は、97社の内84%

【エネルギー貯蔵+アルファ】

  • 電力事業者は、エネルギー貯蔵とその他分散エネルギー資源(distributed energy resource:DER)を組み合わせた総合的アプローチを研究中。
    • 上述97の電力事業者の中で、可変的資源(ソーラー、風力等)とエネルギー貯蔵を現在組み合わせているとの回答が14%、これを計画/調査/検討中であるとの回答が71%
    • スマートサーモスタット利用のデマンドレスポンス(DR)とエネルギー貯蔵を統合したプログラムを現在実施しているとの回答が3%、統合プログラムを計画/調査/検討中であるとの回答が66%
  • 太陽光発電とエネルギー貯蔵を組み合わせたシステムは、島のような孤立地域にとって経済性及びグリッド信頼性の面で有益。早期導入者の例は、ハワイのカワイ島、アメリカン・サモア島、グアム島等。
  • 太陽光発電とエネルギー貯蔵を組み合わせたプロジェクトの売電契約価格は、2017年初旬に4.5セント/kWhという過去最安値を記録

 

 

 

[1] 同レポートは、https://sepapower.org/resource/2017-utility-energy-storage-market-snapshot/ から入手可能

[2] 電池、フロー電池、運動エネルギー貯蔵(フライホイール等)、スーパーキャパシタ、及び、圧縮空気エネルギー貯蔵を含むが、揚水発電、熱エネルギー貯蔵、電気自動車は含まない。

[3] 商工業用需要家及び政府需要家等(家庭用需要家以外)のメーターに接続された全ての電池

[4] 一般コメント期間は2017年2月13日に終了。FERCは先ごろ、欠員を埋める新メンバーの承認によって定足数を回復したが、同規定に関する最終決定は2018年にずれ込む見通し。

[5] 2016年10月に起きたアライソ渓谷ガス漏れ事故では、緊急対応策としてエネルギー貯蔵システムを使用。70 MWのエネルギー貯蔵システムが6月以内に調達・配備された。

2017年 調査レポート

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