2018年05月16日 ホワイトハウス、人工知能に関するサミットを開催

ホワイトハウス、人工知能に関するサミットを開催

 

2018年5月16日
NEDOワシントン事務所

 

ホワイトハウスは2018年5月10日、医療・食料生産・製造・運輸・エネルギーを始めとする広範な産業部門に変貌をもたらす人工知能の今後について検討するため、『米国産業のためのAI (Artificial Intelligence for American Industry)』 というサミットを開催した。

同サミットには、ホワイトハウスのシニアスタッフ、政府高官、学術機関の技術専門家、企業の研究所所長、及び、AI技術を導入している米国ビジネスリーダー等100名余が参加し、AI研究開発 (R&D)、労働力開発、AIイノベーションを妨げる規制上の障壁、業界別のAI応用等に焦点をあてた2組のブレークアウトセッションに分かれて議論を行った。

同サミットの主催者である科学技術政策局 (Office of Science and Technology Policy =OSTP) のMichael Kratsios局長代行は、AI R&Dの世界的リーダーである米国が今後も第一位の座にとどまることが政権の任務であると発言。AI開発で民間部門が最大限の自由を享受できるよう、自由市場の原理に則り、政府不干渉方針をとる旨を明らかにした。Kratsios 局長代行はまた、連邦政府全体のAI R&D優先事項に関してホワイトハウスに勧告を行うAI特別委員会を、国家科学技術委員会 (National Science and Technology Council =NSTC) の下に新設することを発表した。

『米国産業のためのAI』 サミット及びAI特別委員会の概要は以下の通り。

 

1.『米国産業のためのAI』 サミット

(1)参加機関
①行政府 … OSTP、国防省、全米科学財団 (NSF)、国家情報長官室 (Office of the Director of National Intelligence =ODNI)、農務省、商務省、エネルギー省、厚生省、労働省、運輸省、及び、財務省

②民間企業 … マイクロソフト、インテル、IBM、フェイスブック、グーグル、アマゾン、ボーイング、フォード、ゼネラルエレクトリック、バンク・オブ・アメリカ、マスターカード、ランドオレークス、ユナイテッド航空、ゴールドマンサックス、ウォルマート、情報技術産業協議会 (Information Technology Industry Council =ITI) 他、計38社

③学界 … カリフォルニア工科大学、カーネギーメロン大学、ジョージア工科大学、マサチューセッツ工科大学、パデュー大学、スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校、及び、ミシガン大学の8校

(2)AI研究開発及び応用に伴う課題

  • 中国及び欧州連合が打ち出した数十億ドルに及ぶイニシアティブがもたらした、AI R&Dにおける米国の国際競争力に係る懸念
  • AIの規制要件に係る懸念
  • フェイスブック収集のユーザーデータをケンブリッジ・アナリティカ社が政治利用した先般スキャンダルで高まった、プライバシーに係る懸念

(3)ブレークアウトセッションの結論

  • 国家AI R&Dエコシステムの支援
    • 科学的発見への取り組み方法として、産官学の強みを活用する自由市場アプローチについて議論
    • AI R&Dを促進するため、産官パートナーシップを強化する新たな対応策を検討
  • AIの便益を最大限に活用するための能力開発
    • AI及び関連技術により、新しい種類の職業、及び、業種を超えた技術的スキルへの需要が発生。未来の仕事に就けるスキルセットを米国人が習得できるように、幼児期からのSTEM教育、技術研修、技能再教育、生涯学習プログラムについて議論
  • 米国内のAIイノベーションを妨げる障壁の撤廃
    • 過度な規制は、イノベーションの妨害ではなく、イノベーションの海外流出に繋がることを指摘
    • セッション参加者は、米国がAI及び新興技術でリーダーシップを維持すること、及び、同盟国間でAI R&D協力を促進することの重要性を主張
    • 市民がAI及び革新技術の用途、及び、日常生活への有効性をより良く理解できるように、AIへの認識を高める必要があると強調
  • 影響力の大きい、業界別のAI応用の実現
    • 業界別のセッションに分かれ、各業界のリーダーが、米国労働者の能力開発、事業拡大、及び、顧客サービスの改善にAI技術を利用する斬新な方法を共有

2.AI特別委員会

(1)目的及び活動範囲

  • 連邦政府のAIに関連した研究開発計画の有効性・生産性の改善について、NSTCに勧告・支援を提供すること
  • 省庁間の政策調整、及び、連邦政府のAI R&D (自律システム、生体認証、人とコンピューターのインターアクション、機械学習、自然言語処理、ロボティクス等) 策定のためのメカニズムを提供すること
  • 大統領府に対して、以下のような省庁間AI R&D優先事項について勧告すること:
    • バランスのとれた包括的なAI R&Dプログラム (産学との提携を含む) の策定
    • 連邦政府のAI R&D企画・調整方法を改善する体制の確立
    • 連邦各省庁に散在する連邦データ及び計算資源 (computational resource) の活用
    • 米国AI人材の支援

(2)主要な機能

  • AI R&Dに関する連邦省庁間の企画・調整・情報交換の促進
  • AIに係る省庁間優先事項及び計画 (国家安全保障にとって不可欠なAI R&D優先分野を含む) の特定及びNSTCへの勧告、及び、行政府R&D優先事項の選択肢の提言
  • 世界・国家・地域・州・地方の競争力を強化し、長期的な経済成長及び雇用創出を促進する、連邦省庁のAI関連プログラム及びイニシアティブ (産学との提携を含む) の推進
  • AI応用のための連邦データセットの質向上の機会の同定。及び、必要に応じて法律で認められる限り、連邦データ及び計算資源に対する非政府AI R&Dコミュニティのアクセスの拡大

(3)委員会メンバー

  • 各省:
    • Walter Copan商務省標準規格技術担当次官
    • Mike Griffin国防省研究工学担当次官
    • Peter Highnam国防省国防先端研究事業局 (DARPA) 局長
    • Paul Dabbarエネルギー省科学担当次官
    • France Cordova NSF長官
    • Jason Matheny ODNI情報先端研究事業局 (Intelligence Advanced Research Projects Agency) 局長
  • 大統領府:
    • Suzette Kent OMB連邦最高情報責任者 (Federal Chief Information Officer)
    • 国家安全保障会議 (NSC) 代表者
    • 行政管理予算局 (OMB) 代表者
    • OSTP代表者
  • 共同委員長:OSTP、NSF、及び、DARPA

(4)活動期間

  • 2020年12月31日で満期終了

3.産業界の主な反応

  • ホワイトハウスAIサミット参加者の多くは、規制緩和を含むトランプ政権のアプローチは自動運転及びドローンの導入促進に役立つとして、これを歓迎する一方で、米国がAIで世界リーダーシップを維持するためには、緩和された規制環境だけでは不十分であると指摘。
  • インテル社CEOのBrian Krzanich氏の発言:産業界が行っている研究を増補するため、政府R&D予算でAIを優先する国家戦略が必要。中国・日本・インド・フランス・欧州連合がAIを経済成長及び社会的進歩のための手段と見なして、野心的な国家計画を策定しているのに対し、米国はAI作業部会を2016年に解散。国家的AI戦略なしでは、他国に遅れをとる。
  • ITIのDean Garfield会長の発言:ホワイトハウスAIサミットは産官協力を構築する重要な一歩。AIにおける米国のリーダーシップを維持するためには、行政府はAI R&Dへの投資を継続し、労働者が将来必要なスキルを授けるプログラムを促進すべきである。

 

 

参考資料

White House Hosts Summit on Artificial Intelligence for American Industry,’ White House News, May 10, 2018

SUMMARY OF THE 2018 WHITE HOUSE SUMMIT ON ARTIFICIAL INTELLIGENCE FOR AMERICAN INDUSTRY” The White House Office of Science and Technology Policy, May 10, 2018

White House convenes AI summit with US tech leaders, as Europe forges ahead,” Enterprise IOT Insights, May 10, 2018

White House Assures Google, Goldman AI Won’t Get Heavy Hand,” Bloomberg, May 10, 2018

 

 

 

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