トランプ政権、自動車等の燃費に関するCAFE基準に代わるSAFE基準を発表
NEDOワシントン事務所
2018年8月2日
環境保護庁(EPA)は現政権下において、運輸省 国家道路交通安全局 (NHTSA) と共同で、自動車及び軽量トラック向けの新たなCAFE基準案作成及びカリフォルニア州等との調整を進めてきたところ。
こうした中、同庁は本日8月2日、「2021-2026年型乗用車及び軽量トラック向けの安全かつ適切な費用負担(Affordable)の自動車燃費基準 (Safer Affordable Fuel-Efficient Vehicles Rule for Model Years 2021-2026 Passenger Cars and Light Trucks:以下、「SAFE車両規定」)」案を正式に発表した。
主なポイントは、①2021年型から2026年型までの乗用車及び軽量トラックの平均燃費」を2020年水準で凍結、②カリフォルニア州独自の基準を作る権限を廃止、の2点。今後、パブリックコメントを経て、早ければ今冬に確定の見通し。他方、カリフォルニア州等は本案撤回を求めて訴訟の構えであり、依然流動的な要素が残っている。詳細は以下のとおり。
1.主要な変更案:
(1) 目標燃費の緩和
- 「2021年型から2026年型までの乗用車及び軽量トラックの平均燃費」を2020年水準で凍結
- 乗用車のCAFE(企業平均燃費)が7マイル/ガロン、軽量トラックのCAFEが31.3マイル/ガロン、乗用車と軽量トラックの平均CAFEが36.9~37.0マイル/ガロン
- その他オプション案 … (i) 乗用車及び軽量トラックの燃費を毎年5%改善、(ii) 乗用車の燃費を毎年最高2%、軽量トラックの燃費を毎年3%改善、等
乗用車及び軽量トラックに対するCAFE (企業平均燃費) 及びCO2の平均推定義務要件案
年型 | OEMの推定義務要件 | |||||
乗用車 | 軽量トラック | 乗用車と軽量トラックの平均 | ||||
CAFE (mpg) | CO2 (g/ml) | CAFE (mpg) | CO2 (g/ml) | CAFE (mpg) | CO2 (g/ml) | |
2017 | 39.1 | 220 | 29.5 | 294 | 34.0 | 254 |
2018 | 40.5 | 210 | 30.1 | 283 | 34.9 | 244 |
2019 | 42.0 | 201 | 30.6 | 277 | 35.8 | 236 |
2020 | 43.7 | 191 | 31.3 | 269 | 36.9 | 227 |
2021 | 43.7 | 204 | 31.3 | 284 | 36.9 | 241 |
2022 | 43.7 | 204 | 31.3 | 284 | 36.9 | 241 |
2023 | 43.7 | 204 | 31.3 | 284 | 36.9 | 241 |
2024 | 43.7 | 204 | 31.3 | 284 | 37.0 | 241 |
2025 | 43.7 | 204 | 31.3 | 284 | 37.0 | 240 |
2026 | 43.7 | 204 | 31.3 | 284 | 37.0 | 240 |
(出典:「SAFE車両規定」の表I-1、I-2及び I-3を基にNEDOワシントン事務所が作成)
(2)(カリフォルニア州が連邦政府基準よりも厳格なテールパイプGHG排出基準を設定することを認めてきた)カリフォルニア州のクリーンエア法免除を撤回する(=カリフォルニア州独自の基準を作る権限を廃止)
(3) 本改正案のもたらす便益(試算)
● 車両事故による死亡者の減少 (年間推定1,000人、2029年までに12,700人)
● 新車所有経費を平均2,340ドル削減
● 米国の社会的費用(societal cost)を5,000億ドル以上節減
2.今後のプロセス
- EPA及びNHTSAは、本日発表の提案に関して、一般からのコメントを60日間受け付けるほか、ワシントンDC、ミシガン州デトロイト、及びカリフォルニア州ロサンジェルスにおいて共同公聴会を開催予定。
- 最終規定を今冬に確定・発表の予定。
- なお、カリフォルニア州ほか18州及びDCは、本案の撤回を求めて訴訟の構え。