2014年06月19日 米国8州の州知事、 「多数州無公害車アクション計画(Multi-State ZEV Action Plan 」を発表

米国8州の州知事、「多数州無公害車アクション計画
(Multi-State ZEV Action Plan 」を発表

2014年06月19日
NEDOワシントン事務所
松山貴代子

 

カリフォルニア州、コネチカット州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ニューヨーク州、オレゴン州、ロードアイランド州、及びバーモント州の州知事が5月29日、「多数州無公害車アクション計画(Multi-State ZEV Action Plan)」を発表した。

「多数州無公害車アクション計画」は、8州の州知事が2013年10月24日に調印した、2025年までに8州で合計330万台の無公害車(zero-emission vehicles =ZEVs)注1を普及させることで協力するという覚書に基いて策定されたもので、ZEV市場の拡大に向けて州政府が講じるべき11の主要アクションを説明している。

11の主要アクションは、ZEV市場の確立;インフラストラクチャーの構築;政策や規格・基準の調整、という3つのカテゴリーに分類・整理されている。ここでは、インフラストラクチャーの構築(Action #5~Action #7)と、政策や規格・基準の調整(Action #8~Action #10)を報告する。

 

Action #5 職場充電の推進

8州政府の優先的アクション

  • 州政府機関が手本を示し、職場充電を推進。目標は、2020年までにプラグイン電気自動車(PEV)注2を所有する州政府職員全員に充電の場所を提供。
  • 公共交通の拠点地に、通勤者用の充電インフラを設置することを促進。
  • 職場充電(特に大企業や大学や病院での充電)の普及を促進・奨励する為、州知事主催行事のような注目を集める官民プログラムを実施。
  • 職場充電インフラのニーズとベネフィットを大手雇用主に教示する為、エネルギー省(DOE)の職場充電チャレンジ(Workplace Charging Challenge)イニシアティブと連携。
  • 雇用主が従業員の関心度を見定め、適切な充電装置を決定し、資本・運転コストを算定し、設置要件を理解する上で有用な、アンケート資料や啓発資料を策定、配布。
  • 自動車メーカーや自動車販売店、及び充電提供会社(charging company)が、職場充電の推進で大手の雇用主と対話することを奨励。

各州が個々に検討する追加的アクション

  • 電気自動車充電設備(electric vehicle supply equipment =EVSE)供給業者を活用して、自州の大手雇用主を対象とする、充電インフラ設置に係るプロセスとそのベネフィットに関するアウトリーチ・キャンペーンを開発。
  • 主要な新事業開発に対するZEV充電インフラ政策を策定し、州政府の環境プロジェクト審査にPEV充電施設の基準を抱合。

 

Action #6 公共・民間団体によるZEVインフラ企画・投資の推進

8州政府の優先的アクション

  • 非住宅用充電設備のニーズを判断するため、ドライバーの充電パターンを調査。
  • 長距離PEV旅行(米国北東部のI-95や東海岸のI-5等の高速道路)を容易にする為、主要な州間道路沿いにおけるDC急速充電器の組織的普及に協力。
  • 効率的な充電網の設計・実施に関する情報を提供する為、多数州のマッピング及びモデリング分析の実施で研究者と連携。
  • カリフォルニア州を除く7州政府の為に水素燃料電池自動車インフラの予備調査を行う、リソース連携(resource partnerships)を推進。
  • 公的資金を受けて設置される全ての充電/燃料補給設備が一般に開放され、全てのPEV/FCEVドライバーにとって利用しやすいものであることを確認。
  • 電気や水素の販売に関する連邦規制に対応する為の対話を開始。

各州が個々に検討する追加的アクション

  • 当面の間、公共充電所に対する自州の奨励金プログラムを継続又は拡大。
  • 燃料供給所設備を、地方・州・連邦政府機関を通して協同調達する機会を探求。
  • ZEVデータの収集と普及:
    • 効果的な充電網設計の情報を提供するZEVランディングページを通じて、ZEV所有者の動向データ(ownership trends data)を電力事業者・EVSEプロバイダー・地方及び地域計画機関・その他の当事者に提供する為、自動車メーカーと連携。
    • ZEV充電の需用パターン、必要なシステムアップグレード、及びグリッドへの影響に対する理解を深める電力事業者の努力を促進・支援。
  • 商業施設の運営者や小売業者を対象に、PEV用駐車スペースやEVSEへの便利なアクセスに対するビジネス事例に焦点をあてたアウトリーチを、他の利害関係者と協力して実施。

 

Action #7 ZEV利用者を充電・燃料供給の場所や駐車場へ案内する正確で分かり易い標識

8州政府の優先的アクション

  • 電気自動車充電シンボル標識(Alternative Electric Vehicle Charging Symbol Sign)を使った定型の標識が連邦道路に十分に掲示されているよう、連邦道路管理局(Federal Highway Administration =FHWA)と連携。
  • ドライバーを充電所や水素燃料補給所へ案内する為、州や地方の道路用にFHWAの統一交通管制装置便覧(Manual on Uniform Traffic Control Devices)に一致する定型の標識を策定し、これを設置。
  • 水素燃料供給所を意味する幹線道路の標識に、国家基準を採用することを支持。

各州が個々に検討する追加的アクション

  • ZEV駐車場の有無を特定する交通規制標識プログラムを設定する為、地方自治体や民間部門と協力。
  • 充電如何に拘わらずPEVを駐車出来るスペース、又はPEV駐車が充電中のみに制限されるスペースを示す、定型の効果的な交通規制標識を策定。

 

Action #8 ZEVの充電/燃料供給所設置に対する障壁の撤廃

8州政府の優先的アクション

  • 州政府と地方政府によるPEV充電インフラ設置関連要件の策定において整合性を推進する為、模範となる規格・基準を開発している非営利団体と協力。
  • 国家建築基準と州政府建築基準の改正によって、ZEVインフラ用に一貫した規格・基準を確立。
  • 充電所配備を促進する為、一貫した政策と規格・基準の策定を推進。
    • 新築ビルがZEV対応となるよう、州政府の建築基準や電気工事規定の改正を検討。
    • EVSEを新築の集合住宅や非居住用ビルに取り入れる州政府要件の模範、及び駐車場の一部をPEV充電専用にすることを義務付ける条例の模範を策定。
    • DC急速充電器設置をタイムリーに認可する為に州政府が利用できる、合理化された許可手順とゾーニング(土地の区割り)手順の模範を開発。
    • 公共充電設備の立地基準や費用配分基準(cost allocation criteria)を策定。
    • PEV充電の電力需要料(utility demand charge)と接続料を策定。
  • 地方自治体やその他の地方計画機関に、企画・立地面での援助や資源を提供。
  • 地方政府のZEVチャンピオンを表彰する州知事認定プログラムを策定。

各州が個々に検討する追加的アクション

  • 充電設備リクエストへの対応方法に関して企業や住宅所有者管理組合(Homeowners Association =HOA)を指導する政策、及び、こうしたリクエストを無視してはならないという条項を策定。
  • 充電設備を設置する企業にインセンティブを提供し、HOAに損害賠償保険を提供。
  • 一定の割合の駐車スペースを充電用とすることを義務付け。
  • EVSEについて地方政府を教育する為、地域計画ワークショップを開催。

 

Action #9 PEV充電網のアクセス、互換性、及び相互運用性の推進

8州政府の優先的アクション

  • EVSE相互運用性に関する国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology =NIST)基準の採用・実施を支援。
  • PEVドライバーがあらゆる公共充電設備を利用する自由を持っていることを保証する為、EVSE提供業者と協力。定期会員やメンバーシップ制ではなく、一般的な支払形式を導入。オープンソース・プロトコルの利用を奨励し、料金をトランスペアレントにする。
  • 利用可能な充電所の検索、及び、充電のタイプとコストの確認を行う簡潔な手段をPEVドライバーに提供する為、全てのZEV充電/燃料補給所を国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory =NREL)の代替燃料データセンターのデータベースに登録。
  • 公的資金を受けた全ての充電設備に対して、Open Charge Point Protocol(開放型充電ポイントプロトコル)通信基準の適用を義務付け。
  • PEVがCHAdeMO又はSAE(Society of Automotive Engineers)のいずれの充電ポートを装備しているかに拘わりなく、あらゆる公共充電設備を利用出来るようにする為、新設される全ての公共DC急速充電所を二重適合(dual compatibility)にすることを奨励。
  • 水素燃料供給インフラ(燃料供給所の配置、燃料品質、ディスペンシングの精度)の規格・基準を策定する努力で、国家及びカリフォルニア州の取り組みを追従・支持。
  • 充電所が確実に米国障害者法に準拠するように、連邦政府の指導を要請。

各州が個々に検討する追加的アクション

  • 有効な連邦政府アプローチや業界基準が不在の中で州政府規制措置のニーズを評価する為、相互運用性とビジネスモデルの策定をモニター。

 

Action #10 輸送用燃料としての電気・水素の小売販売を妨げる障壁を撤廃し、魅力的なPEV充電料金を推進

8州政府の優先的アクション

  • EV充電装置と水素を輸送用燃料として商業販売することを可能にする為に必要な法令、規制、基準又は証明書を推進。
  • 公益事業委員会(Public Utility Commission/ Public Service Commission)に以下の手続きを公開するよう要請:
    • EVサービスプロバイダーや電気を輸送用燃料として提供することを唯一の目的として充電施設を運営する企業は「公益事業」に定義されず、従って、規制の対象とならないことを確認。
    • 充電施設のプロバイダー(電力事業者と非電力事業者を含む)を対象とする、適度の消費者保護と規制監視を決定。
  • オフピーク時に電力を通常よりも安価で提供する、家庭・企業向けの電力料金体制やその他料金メカニズムを評価。
  • オフピーク時充電を推進し、需要家の節約とグリッドの信頼性を最大化する為に、PEV充電データ・需要家登録数・その他の需要家フィードバックに基いて料金体制を評価・改訂することを電力事業者に奨励。
  • 電力事業者・ESCO(energy service company)・その他の公共または民間団体が、ZEV燃料供給インフラ、特に、長距離旅行や自宅に専用充電器のないZEVの充電を容易にする急速充電インフラ の展開で果たし得る役割を探求。
  • PEV充電の電力需要料と接続料に関する政策を評価。
  • グリッド支援での水素利用、特に、再生可能資源で生産された余剰電力の貯蔵に関連する水素利用を探求。

各州が個々に検討する追加的アクション

  • 住宅所有者と業務用PEVフリートを持つ会社が既存の電気料金オプションと潜在的なコスト削減を認識していることを確認する為、彼らに的を絞ったアウトリーチの推進で電力事業者と協力。
  • 各電力会社のサービスエリア内でのPEVアウトリーチ努力を調整。
  • 在来型燃料利用と比較した節約を明示する為、電力供給業者や公益事業委員会と連携して、需要家の電気料金請求書にPEV電気消費を明確に特記する可能性を探求。
  • 住宅所有者がPEV特別料金にアクセスするメーターを設置する際の費用を削減し、プロセスを簡略化する政策を確立。
  • 再生可能エネルギー利用発電をPEVに接続する機会を探求する為、電力供給業者・公益事業委員会・州政府エネルギー部と連携。

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